もともとオリンピック(五輪)やワールドカップ(W杯)のような国際スポーツイベントは民族主義的な感情が噴出しやすいが、今回の北京冬季五輪はそれが特に激しい。7日夜、男子ショートトラック1000メートルで韓国の黄大憲(ファン・デホン)・李俊瑞(イ・ジュンソ)の2選手が納得しがたい判定で失格し、反中感情がさらに悪化した。
事実、北京冬季五輪は開幕式(4日)から論争が事欠かなかった。56人の中国少数民族代表が各自伝統衣装を着て五星紅旗を伝達したが、韓服を着てリボンを頭に飾った少女がこれに含まれていたためだ。「韓国に対する文化侵奪」という激しい怒りの声があがった。これに先立ち、韓国ショートトラック国家代表の郭潤起(クァク・ユンギ)は「中国のホーム態度」に言及したが発端となり、中国ネットユーザーからの悪質コメントテロに苦しめられた。懸念は現実になった。北京冬季五輪の傍点は「冬季五輪」ではなく「北京」についているようだ。
◆386世代「なぜ中国がそこまで嫌いなのか」
再び深まる韓中ネットユーザー間の葛藤を見ると、常々386世代(学生運動を行っていた世代)をはじめとする年配の人々(?)が口にしている「最近の若者はなぜ中国がそこまで嫌いなのか」という質問が思い浮かぶ。おもしろいのは、私と同じような年齢の友人と話をするときは正反対の質問をよく受けるということだ。「いま執権している『その世代』はなぜそこまで中国が好きなのか」。両側からこのような質問を受けながら、中国を巡る世代間の克明な認識の違いを肌でひしひしと感じる。
既成世代は「我々だって中国が好きなわけではないが、実用的に中国の立場に合わせているのだ」と抗弁する。だが、現在の青年層の反中感情はそれ以上を要求する。損害を甘んじてでも中国に言うべきことは言ってほしいと思っている。既成世代が当惑する部分がまさにここだ。「そこまで嫌いなのか?」
だが、青年層の視点から見ると、むしろ中国を嫌いにならないほうがおかしい。彼らは映画や武侠小説のような香港文化、あるいは『三国志』に代表される中国古典などの影響力が韓国から急速に退潮しつつあるころに生まれ育った。中国に初めて接した通路はインターネットだった。そして当時流行した「大陸の気像」というミームからも分かるように、インターネットは高度成長期の中国が体験するアノミーをリアルタイムで確認できる空間だった。これが問題だった。
中国が高度成長期の混乱を乗り越えて急速に現代化したことを受けて、中国に対する認識はさらに悪化した。ここには習近平政府になってさらに顕著になった中国当局の高圧的な姿勢、そして西側に矛先を向ける対決構図が大きな役割を果たした。これがすべてではない。青年たちにとって、中国は韓国の文化領域を侵す国だ。韓流が中国に拡散し、逆説的に中国は官民問わず韓国の大衆文化に強大な影響力を行使する国になった。中国ネットユーザーがキムチや韓服など韓国伝統を自分たちのものだと主張しながら深まった葛藤、不正行為のためにハック(hack)プログラムを使う中国ゲームユーザーとの出会い、「一つの中国」のせいで起きる台湾などとの不便な関係等等、その種類は多様だ。
◆文化戦争の前線で戦うMZ世代
K-POPアイドルに対象を狭めてもこれは同じだ。BTS(防弾少年団)が韓米関係に寄与した功労で2020年にヴァン・フリート賞を受賞したとき「両国(韓米)が共に体験した苦難の歴史を永遠に記憶しなければならない」と受賞の感想を述べたことによって中国ネットユーザーから攻撃を受けた。「米国に対抗した中国共産軍を侮辱した」という理由だった。その年「中国の象徴」パンダを素手で触ったという理由で韓国ガールズグループのBLACKPINKも攻撃を受けた。2021年ガールズグループMAMAMOO(ママムー)の所属事務所であるRBWのSNSに「『一つの中国』を支持する」という掲示文が突然投稿されてその後削除された一件があった。RBWとMAMAMOOは韓国と中国の両方のネットユーザーから攻撃を受けてアルバムの初動販売量が直前の半分に急減した。
また、韓国K-POPファンの間では中国での活動をしようと契約が終わる前にグループEXO(エクソ)から脱退した中国人メンバーのクリスをはじめ、中国活動だけに集中しようとする中国人メンバーのデビューそのものを快く思わない雰囲気がある。事実、このような葛藤はすでに2015年TWICE(トゥワイス)の台湾出身メンバー、ツウィが台湾の国旗を持ったという理由で中国ネットユーザーの途方もない攻撃を受けたあげく、事務所ではなくツウィ本人が公開謝罪をしたときからすでに予告された。
昨年、韓国ネットユーザーがドラマ『朝鮮駆魔師』を「親中ドラマ」として放映初期に打ち切りに追い込んだ驚くべき事件の背景には、このような事件と向き合いながら累積した中国に対する警戒心、危機感、反感があった。すでに「文化戦争」の暗雲が立ち込めていたということだ。
このような「オンライン文化戦線」を認知できない人間は青年層の反中感情を非理性的なものだといって片付ける。だが、前線で毎日中国と戦っている青年層の目には、むしろ「あの明白な威嚇がどうして386世代には見えないのか」と不思議でならない。
【私は告発する】民主党議員の皆さん、青年の目には中国が嫌いではないほうがおかしいです=韓国(2)
事実、北京冬季五輪は開幕式(4日)から論争が事欠かなかった。56人の中国少数民族代表が各自伝統衣装を着て五星紅旗を伝達したが、韓服を着てリボンを頭に飾った少女がこれに含まれていたためだ。「韓国に対する文化侵奪」という激しい怒りの声があがった。これに先立ち、韓国ショートトラック国家代表の郭潤起(クァク・ユンギ)は「中国のホーム態度」に言及したが発端となり、中国ネットユーザーからの悪質コメントテロに苦しめられた。懸念は現実になった。北京冬季五輪の傍点は「冬季五輪」ではなく「北京」についているようだ。
◆386世代「なぜ中国がそこまで嫌いなのか」
再び深まる韓中ネットユーザー間の葛藤を見ると、常々386世代(学生運動を行っていた世代)をはじめとする年配の人々(?)が口にしている「最近の若者はなぜ中国がそこまで嫌いなのか」という質問が思い浮かぶ。おもしろいのは、私と同じような年齢の友人と話をするときは正反対の質問をよく受けるということだ。「いま執権している『その世代』はなぜそこまで中国が好きなのか」。両側からこのような質問を受けながら、中国を巡る世代間の克明な認識の違いを肌でひしひしと感じる。
既成世代は「我々だって中国が好きなわけではないが、実用的に中国の立場に合わせているのだ」と抗弁する。だが、現在の青年層の反中感情はそれ以上を要求する。損害を甘んじてでも中国に言うべきことは言ってほしいと思っている。既成世代が当惑する部分がまさにここだ。「そこまで嫌いなのか?」
だが、青年層の視点から見ると、むしろ中国を嫌いにならないほうがおかしい。彼らは映画や武侠小説のような香港文化、あるいは『三国志』に代表される中国古典などの影響力が韓国から急速に退潮しつつあるころに生まれ育った。中国に初めて接した通路はインターネットだった。そして当時流行した「大陸の気像」というミームからも分かるように、インターネットは高度成長期の中国が体験するアノミーをリアルタイムで確認できる空間だった。これが問題だった。
中国が高度成長期の混乱を乗り越えて急速に現代化したことを受けて、中国に対する認識はさらに悪化した。ここには習近平政府になってさらに顕著になった中国当局の高圧的な姿勢、そして西側に矛先を向ける対決構図が大きな役割を果たした。これがすべてではない。青年たちにとって、中国は韓国の文化領域を侵す国だ。韓流が中国に拡散し、逆説的に中国は官民問わず韓国の大衆文化に強大な影響力を行使する国になった。中国ネットユーザーがキムチや韓服など韓国伝統を自分たちのものだと主張しながら深まった葛藤、不正行為のためにハック(hack)プログラムを使う中国ゲームユーザーとの出会い、「一つの中国」のせいで起きる台湾などとの不便な関係等等、その種類は多様だ。
◆文化戦争の前線で戦うMZ世代
K-POPアイドルに対象を狭めてもこれは同じだ。BTS(防弾少年団)が韓米関係に寄与した功労で2020年にヴァン・フリート賞を受賞したとき「両国(韓米)が共に体験した苦難の歴史を永遠に記憶しなければならない」と受賞の感想を述べたことによって中国ネットユーザーから攻撃を受けた。「米国に対抗した中国共産軍を侮辱した」という理由だった。その年「中国の象徴」パンダを素手で触ったという理由で韓国ガールズグループのBLACKPINKも攻撃を受けた。2021年ガールズグループMAMAMOO(ママムー)の所属事務所であるRBWのSNSに「『一つの中国』を支持する」という掲示文が突然投稿されてその後削除された一件があった。RBWとMAMAMOOは韓国と中国の両方のネットユーザーから攻撃を受けてアルバムの初動販売量が直前の半分に急減した。
また、韓国K-POPファンの間では中国での活動をしようと契約が終わる前にグループEXO(エクソ)から脱退した中国人メンバーのクリスをはじめ、中国活動だけに集中しようとする中国人メンバーのデビューそのものを快く思わない雰囲気がある。事実、このような葛藤はすでに2015年TWICE(トゥワイス)の台湾出身メンバー、ツウィが台湾の国旗を持ったという理由で中国ネットユーザーの途方もない攻撃を受けたあげく、事務所ではなくツウィ本人が公開謝罪をしたときからすでに予告された。
昨年、韓国ネットユーザーがドラマ『朝鮮駆魔師』を「親中ドラマ」として放映初期に打ち切りに追い込んだ驚くべき事件の背景には、このような事件と向き合いながら累積した中国に対する警戒心、危機感、反感があった。すでに「文化戦争」の暗雲が立ち込めていたということだ。
このような「オンライン文化戦線」を認知できない人間は青年層の反中感情を非理性的なものだといって片付ける。だが、前線で毎日中国と戦っている青年層の目には、むしろ「あの明白な威嚇がどうして386世代には見えないのか」と不思議でならない。
【私は告発する】民主党議員の皆さん、青年の目には中国が嫌いではないほうがおかしいです=韓国(2)
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