９日午後、米連邦上・下院議員団が海軍ＶＩＰ輸送機に乗って台湾台北を訪問した。この日晩、中国国防部は「民進党当局は無謀な行動をすべきでない」とし「深刻な災難が近づくだろう」と警告した。米国防総省は「すでに今年２回目（の訪問）」とし、特別なことではないと反論した。米国と台湾は最近、米軍特殊部隊の台湾駐留事実を公開したのに続き、この日は軍用機と議員団を動員し、中国の「レッドライン」探索の動きを続けた。

米議員訪問団を乗せた米海軍軍用機Ｃ－４０Ａクリッパーはこの日午後６時１７分（現地時間）に台北松山空港に着陸し、７時１０分に離陸した。議員らは台湾に残った。台湾外交部は「今回の日程は米国・台湾協会の台北事務室（ＡＩＴ／Ｔ）が用意した」とし「訪問した客の希望を尊重し、関連の内容は適当な時期に対外発表する」と伝えた。軍用機はフィリピン・マニラを離陸した。

米国防総省のカービー報道官はこの日の定例記者会見で、米国会議員の台湾訪問事実を確認し、中国の反発を一蹴する姿を見せた。カービー報道官は「これは今年２回目であり、非正常なことではない」とし「米国が台湾の自己防衛を支援することにした台湾関係法の義務に基づく」と説明した。米連邦議員の軍用機利用は米軍の慣例であり、台湾訪問も初めてではなく、問題になることはないという釈明だ。ただ、搭乗した議員の名簿は明らかにしなかった。


カービー報道官の発言のように米国議員団の台湾訪問は今回が初めてではない。台湾が新型コロナ防疫に苦戦していた６月６日、タミー・ダックワース議員（民主・イリノイ）、ダン・サリバン議員（共和・アラスカ）、クリス・クーンズ（民主・デラウェア）の連邦上院議員３人がＣ－１７軍輸送機を利用し、新型コロナワクチン７５万ドーズを載せて韓国烏山（オサン）空港を離陸し、台湾の松山空港を訪問したことがある。これに先立ち４月１４日にはバイデン米大統領の友人クリス・ドッド元上院議員と元高官のリチャード・アーミテージ氏、ジェームズ・スタインバーグ氏ら代表団が台湾を訪問した。７月には米軍用機が外交行嚢運送を理由に松山空港に２回着陸した。

中国は強く反発した。中国国防部の譚克非報道官はこの日、「中国は米国が直ちに挑発行為と台湾情勢の緊張を高めるすべての破壊的な行動をやめて、『台湾独立』分裂勢力に誤った信号を送らないよう厳粛に告げる」と公式ＳＮＳ「国防部発布」に述べた。続いて「我々は民進党当局が情勢を誤認したり無謀な行動をしないよう警告する」とし「そうでなければ台湾に深刻な災難が近づくだろう」と強調した。

譚報道官はは米国と台湾に向けてそれぞれ異なる言葉を使って程度を調節した。米国に対しては「厳粛に告げる（正告）」とし、台湾に向けては「警告」という強い言葉を使用した。来週に予定されたバイデン米大統領と習近平国家主席の初のオンライン米中首脳会談を考慮した用語の選択とみられる。

この日、中国戦闘機の殲１６（４機）、運８偵察機、対潜哨戒機など６機が台湾西南部の防空識別圏に進入したと、台湾国防部は発表した。

一方、中国国粋主義新聞の環球時報は１０日付の社説で「今回、米議員団が台湾を訪問し、米軍行政専用機を利用して『軍用機』のエッジに触れた」とし「米国と台湾を見ると、次にもこうした『エッジボール』を打つようだ」と評価した。社説は「彼らは決して中国大陸が引いたレッドラインを正面から突破できない。それほどの度胸はない」と嘲弄した。