今月２６日（現地時間）、米国ニューヨーク・マンハッタン・チェルシーにあるイベント空間「スタジオ５２５」。Ｎｅｔｆｌｉｘ（ネットフリックス）の韓国ドラマ『イカゲーム』の中の主人公を連想させる緑色のトレーニングウエアを着たニューヨーカーが自分の場所を決めて床に座った。

ピンク色のジャンプスーツを着た進行要員がタルゴナ（カルメ焼き）の型抜きが入っているステンレスの容器を配った。容器を開くと嘆きと歓呼が交差した。傘の形をしたタルゴナを受け取った参加者は茫然自失とし、円や三角の形を受け取った参加者は喜々とした。

制限時間は８分。天井を見ながらずっとタルゴナをなめる人、針に唾をつけながら型に沿って針を刺す人など、それぞれのやり方で勝利に向かった。「傘チーム」が次々と脱落していく中で終了を数秒控えて歓声が起こった。「０３９」をつけた参加者が傘形の型抜きを完ぺきにクリアして大きな拍手を浴びた。


この日の行事は韓国観光公社ニューヨーク支社が用意した「イカゲームと共にするニューヨークの中の韓国旅行」だった。３０００人以上集まった申込者の中から抽選で選ばれた８０人が「タルゴナ型抜き」「めんこ」「ムクゲの花が咲きました（だるまさんが転んだ）」の各ゲームを順番に楽しんだ。ドラマのようにサバイバル形式で進めて最終優勝者に韓国行き往復航空券をプレゼントとして贈呈した。

めんこゲームは進むにつれてヒートアップしていった。なかなか自分のものにならないめんこをひっくり返すために参加者は全身を使ってプレイした。韓国語が響いた「ムクゲの花が咲きました」の号令に合わせて参加者は機敏に動いた。

最終優勝は型抜きで真っ先に成功し、「ムクゲの花が咲きました」ゲームで最初に決勝ラインを越えたチャールズ・トレスさんだった。トレスさんは「米国のゲームはひたすら勝負に焦点が当てられているが韓国のゲームは面白さの要素がある。いろいろな力学が存在する」として韓国遊びの魅力を紹介した。

参加者はイカゲームの成功に対する各自の解釈を披露した。音大を卒業して歌手として活動しているブリトニー・ヒュイットさん（２３）は「資本主義の弊害を赤裸々に表現したことが世界の人の心を動かしたようだ」としながら「韓国人が借金に悩まされているように、米国も学資金融資のせいで長い間借金に苦しむ若年層が多い」と説明した。ヒュイットさんは「私も返済しなくてはならない学資金融資が数万ドルほどになる」としながら「米国も中産層が消えて階層間の格差が徐々に広がっている」と懸念した。

看護学を専攻しているケイトリン・ブラウンさん（２２）は「米国も超富豪（ｕｌｔｒａ－ｒｉｃｈ）が過度に権力を振りかざしているという問題意識がある」としながら「ただし、韓国より少しましなのは若年層が仕事を簡単に探すことができる点」と付け加えた。

タルゴナの傘の型抜きに成功したメキシコ系移民者出身のクリスチャン・ゴルディロさん（２６）は「ドラマの主人公のように休まないでなめて砂糖を溶かした」としながら「何より重要なのは傘の形を受け取っても挫折しないこと」と達成感に満ちた表情を見せた。美大を卒業してアーティストのアシスタントとして仕事をしているというゴルディロさんは「冷静になれば成功することができると思う。希望はいつもある」としながら「いつかは自分の作品で活動するアーティストになる」と意気込みを語った。

この日参加者はゲームに先立ってニューヨークのメトロポリタン美術館内の韓国室を観覧し、ニューヨークの韓国文化院で展示中の「韓国映画俳優２００人写真展」を見学した。コリアンタウンにある韓国スーパーマーケットと書店でショッピングをしてニューヨークで接することができる韓国を「フルコース」で体験した。