中国北京市内の風景。カン・チャンス記者
昨年春にソウル市保健環境研究院が公開したソウル地域の空気中のマイクロプラスチック濃度は1立方メートル当たり平均2個に満たなかった。
それなら北京の空気中のマイクロプラスチックはソウルの200倍にもなるのか。
結論から言えば研究方法の違いのために差が現れただけで実際にはそれほどの違いはないものとみられる。
◇北京など5都市で調査
中国・温州大学の研究チームは27日に国際学術誌「環境科学技術」に北京など中国5都市の空気を2019年8~9月に採取しマイクロプラスチック濃度を分析した論文を発表した。
中国の研究チームは空気試料の中のマイクロプラスチックを蛍光顕微鏡で観察し、大きさと形を測定した。
これとは別にマイクロフーリエ変換赤外線分光器(μFTIR)でマイクロプラスチック成分を確認した。
分析の結果、北京の空気にはマイクロプラスチックが1立方メートル当たり393個、天津で324個、上海で267個、杭州で246個、南京で177個含まれていた。
首都圏の北京と天津は平均358個で、揚子江デルタ地域3都市は平均230個だった。
北京のマイクロプラスチック濃度は昨年ソウル市保健環境研究院が室外空気で測定した平均濃度1.96個のちょうど200倍だ。
◇濃度の差は調査範囲が違うため
ソウルと北京のマイクロプラスチック濃度が大きな差を見せたのは、分析方法や調査対象で違いが生じたためだ。
ソウル市保健環境研究院はFTIR分析法を使ったが、大きさが20マイクロメートル以上のものだけ分析した。
中国の研究チームは5マイクロメートル以上のマイクロプラスチックはすべて分析した。
中国の研究チームは論文で75個の試料から検出された空気中のマイクロプラスチックは2万1099個で、大きさは5.9~1475.3マイクロメートルの範囲だったと説明した。
このうち30マイクロメートル未満が1万3006個で全体の61.6%を占めた。
30~100マイクロメートル未満が6991個で33.1%、100~300マイクロメートル未満が993個で4.7%、300~1000マイクロメートル未満が104個で0.5%、1000マイクロメートル以上が5個で0.03%だった。
◇小さいものまで分析すればはるかに多く検出
中国の研究チームの分析結果を考慮すれば、ソウルでは半分以上のマイクロプラスチックが測定されていなかったかも知れない。
ソウル市が発表した数値だけで安心できない理由だ。
中国の研究チームもやはり5マイクロメートル未満のマイクロプラスチックは測定しなかったが、5マイクロメートル未満のマイクロプラスチックが5マイクロメートル以上のものより空気中に多く存在する可能性もある。
北京の空気中のマイクロプラスチック、ソウルの200倍? 安心できない理由(2)
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