韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2020年9月11日、忠清北道清州(チュンチョンブクド・チョンジュ)疾病管理本部緊急状況センターで鄭銀敬(チョン・ウンギョン)初代疾病管理庁長に任命状を授けた後、記念撮影に臨んでいる。[写真 青瓦台写真記者団]
苦しみが長くなった原因は政府にあるという事実を国民は皆知っている。接種完了率70%が基準という「ウィズコロナ」が遅れた理由は事態初期にK防疫成果を自慢する一方でワクチン確保を怠った政府のせいだ。まだ接種完了率は40%台だ。
集合許容人員は2、4、6、8人を行ったり来たりして国民を混乱させた。論理も、根拠も弱い政府の奇異な防疫基準に振り回される日々が長くなって忍耐にも限界が表れている。大田(テジョン)では政府の防疫指針を無視して深夜営業を強行するカラオケや遊興飲食店が増えている。ソウル梨泰院(イテウォン)駅に設置されたNetflix(ネットフリックス)ドラマ『イカゲーム』広報セット場に多くの人が集まって運営を早期終了する事態も起こった。「私的な集まりをキャンセルせよ」という政府の要請が面目を失う。
文在寅大統領は23日、「来月末にワクチン接種率が70%を超えるとみられるが、その時になれば韓国もウィズコロナを検討しなければならない」と話して期待をもたせた。その2日後、歴代最多感染者が報告され、鄭庁長は「今後1~2週間で感染者が大きく増える可能性がある」と言って期待に冷水を浴びせた。7月、文大統領が「短く太く終わらせることさえできるなら日常の復帰を操り上げる近道」と述べた翌日、鄭庁長が「感染者がさらに発生する可能性がある」と言った寸劇の続編だ。ワクチンがカギとはいうが、最近医療界ではモデルナワクチンの予約と供給に混乱が心配されるという声も挙がっている。
来月4日に実施される新防疫指針には再びどのような規制が入るのか、知るのが怖いという国民が多い。「11月に入って寒くなり始めれば感染者が一日4000~5000人まで一瞬で増える可能性がある」という梨大木洞病院呼吸器内科のチョン・ウンミ教授の指摘は、10月末を逃せば日常回復は遠ざかるという事実を物語っている。
感染者が急増する状況で「ウィズコロナ」に入るには国民が政府を信じて従わなければならない。拙速規制を整理して市民の人生を制限する時は科学的根拠を提示しなければならない。防疫は机ではなく現場で行うものだ。特に防疫責任者は落ち着く必要がある。今のように一進一退の防疫には市民の自発的協力を得にくい。
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