「鈴は付けた人がはずさなければならない。いまボールは米国側に渡った。中国を脅威やライバルとして接するのを止め、中国が渡した『２つのリスト』と『３つの限界線』に積極的に呼応しなければならない」。

中国の王毅国務委員兼外相が１日、天津を訪問しているジョン・ケリー米大統領気候問題担当特使とオンラインで会談し、このように鋭く言い放った。中国共産党機関紙の人民日報は２日、王外相が前日にケリー特使とオンラインで面会し、「実際に行動を取って米中関係を改善すべきで、古い借金を清算していないのに新しい借金を重ねることはできない」と話したと報道した。気候変動対応に向けた米中協力は中国の要求事項の解決がなくては難しいという拒絶と解説される。

王外相は７月２６日にも天津を訪問した米国務省ナンバー２のシャーマン副長官に「２つのリスト」と「３つの限界線」を要求した。だが当時王外相はシャーマン副長官とオンラインではなく直接対面で会談するほかなかった。当時中国は外交部序列５位である謝鋒次官の出席に固執し、米国が格を理由に取りやめを宣言した。大詰めで王外相が出席することで最終会談に合意した。


ケリー特使の訪中もやはり４月１５～１６日の上海訪問に続く２度目だ。当時中国の序列７位の韓正副首相とオンラインで面会したケリー特使としては、中国側に儀典上意図的に「無視」された格好だ。

中国の最大懸案を網羅した「２つのリスト」と「３つの限界線」は、先月２９日のブリンケン米国務長官と王外相の電話会談でも登場した。国連安全保障理事会のアフガン決議案採択を議論した会談で王外相は米国に中国共産党党員と家族に対する米国ビザ制限解除などを含む要求事項の解決を協力条件として圧迫した。

１日の王外相とケリー特使の会談の本主題である気候変動議論は空回りした。王外相は「米国は気候変動協力を米中関係の『オアシス』にすることを希望するが、もしオアシス周辺がすべて『砂漠』ならばオアシスは近く砂漠化する。米中気候変動協力は米中関係という大きな環境から抜け出すことはできない」と協力に同意しなかった。

ケリー特使は「米国はパリ協定の目標を実現するルールをまとめ、米中関係が直面した難題を解決するための機会を作ることを希望する」と話したと中国外交部が伝えた。米国務省は２日までケリー特使の訪中成果について発表していない。