韓国と北朝鮮でそれぞれ一種の「文化戦争」が起きているようだ。韓国では36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)国民の力代表が起こした変化の風が激しい。世代交代を予告する文化戦争とみられる。最大野党代表なのに地下鉄と自転車に乗って国会に登庁し、主要時事争点に対する意見をSNSにリアルタイムで表出する姿が新鮮に思える。まるで人気芸能人が新しい文化を広めるように、彼の一挙手一投足が関心の対象だ。もう少し見守らなくてはならないが、虚偽意識を投げ捨てる「開かれた文化」の全面登場とみても良さそうだ。
北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が強力な「文化取り締まり」を行っているようだ。最近のニューヨーク・タイムズの報道によると、金委員長が「K-POP」に対し「悪性がん」というレッテルを貼り処罰レベルを高めたという。報道が事実ならば、李俊錫より1歳年上でスイスに留学もした金委員長が韓流大衆文化の拡散を制御するものとみられる。K-POPが北朝鮮の若者たちのファッションやヘアスタイル、言葉、行動を堕落させるためだという。北朝鮮内部的にはそれ相応の事情があるだろうが、内側に門戸を閉ざす「閉ざされた文化」への退行が問題は解決できなさそうだ。
韓国でも「文化取り締まり」が行われたことがある。筆者の記憶でも70~80年代に欧米で流行するロック音楽は禁止曲判定を受けたりした。風俗を害するという理由だった。最近北朝鮮がK-POPを禁止して掲げた理由と特に変わらないように見える。女性のスカートの長さと男性の髪の長さまで国でいちいち統制したりもした。70年代に禁止曲というレッテルが貼られた最も有名な歌がキム・ミンギの『朝露』だ。その歌が作られて今年で50周年とは感慨も新ただ。その歌を歌って民主化を叫んだ青春はもう50代後半から70代にさしかかる年齢になった。その既成世代に『朝露』は愛国歌(韓国国歌)に劣らない響きとして依然として近づいてくる。だがスタイルが全く違うヒップホップになじんだ20~30代に既成世代のような感じを強要することはできないだろう。強要して良いことでもない。20~30代には既成世代の耳にはあまり聞こえない彼らだけの「また別の朝露」が作られていると見なければならないようだ。
今日の大韓民国で権力による「大衆文化取り締まり」とは考えるのが難しいことになった。私たちの市民意識はそれほど成長した。文化取り締まりを郷愁のように記憶する既成世代と取り締まりがなくなった時代に生まれた20~30代の間の文化的対立は避けられないように見える。K-POPに禁止曲のレッテルを付ける過程を経た後の北朝鮮も、韓国がそうだったように市民意識の成長を通じて開かれた文化に発展していくことができるだろうか。そうなるには北朝鮮にも70~80年代の韓国のように『朝露』を歌う一種の青年文化が形成されなくてはならないだろう。北朝鮮にそのような文化が存在するのだろうか。
最近の北朝鮮の若い女性たちがデート相手を「オッパ(お兄さん)」と呼ぶ現象が現れているという。韓国ドラマと映画の影響を受けて育った世代だ。理念を重視する世代の恋人の呼称は「同志」だった。「同志」が「オッパ」に変わって現れるかもしれない社会的変化を北朝鮮の指導層は懸念するようだ。ソン・イェジンとヒョンビンが主演したドラマ『愛の不時着』が北朝鮮でも人気という。ひとつのアイロニーは『愛の不時着』が韓国で一種の理念議論が起きたドラマという点だ。ヒョンビンのようなハンサムな俳優を北朝鮮軍将校としてキャスティングすることにより北朝鮮を美化しているのではないかという議論だった。戦争を知らずに育った若い世代に北朝鮮に対する誤った認識を持たせかねないという懸念だった。そんなドラマが北朝鮮で別の方式で消費され変化の媒介役をしているとは。文化は予想できない方向に流れる。
ペ・ヨンデ/近現代史研究所長
北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が強力な「文化取り締まり」を行っているようだ。最近のニューヨーク・タイムズの報道によると、金委員長が「K-POP」に対し「悪性がん」というレッテルを貼り処罰レベルを高めたという。報道が事実ならば、李俊錫より1歳年上でスイスに留学もした金委員長が韓流大衆文化の拡散を制御するものとみられる。K-POPが北朝鮮の若者たちのファッションやヘアスタイル、言葉、行動を堕落させるためだという。北朝鮮内部的にはそれ相応の事情があるだろうが、内側に門戸を閉ざす「閉ざされた文化」への退行が問題は解決できなさそうだ。
韓国でも「文化取り締まり」が行われたことがある。筆者の記憶でも70~80年代に欧米で流行するロック音楽は禁止曲判定を受けたりした。風俗を害するという理由だった。最近北朝鮮がK-POPを禁止して掲げた理由と特に変わらないように見える。女性のスカートの長さと男性の髪の長さまで国でいちいち統制したりもした。70年代に禁止曲というレッテルが貼られた最も有名な歌がキム・ミンギの『朝露』だ。その歌が作られて今年で50周年とは感慨も新ただ。その歌を歌って民主化を叫んだ青春はもう50代後半から70代にさしかかる年齢になった。その既成世代に『朝露』は愛国歌(韓国国歌)に劣らない響きとして依然として近づいてくる。だがスタイルが全く違うヒップホップになじんだ20~30代に既成世代のような感じを強要することはできないだろう。強要して良いことでもない。20~30代には既成世代の耳にはあまり聞こえない彼らだけの「また別の朝露」が作られていると見なければならないようだ。
今日の大韓民国で権力による「大衆文化取り締まり」とは考えるのが難しいことになった。私たちの市民意識はそれほど成長した。文化取り締まりを郷愁のように記憶する既成世代と取り締まりがなくなった時代に生まれた20~30代の間の文化的対立は避けられないように見える。K-POPに禁止曲のレッテルを付ける過程を経た後の北朝鮮も、韓国がそうだったように市民意識の成長を通じて開かれた文化に発展していくことができるだろうか。そうなるには北朝鮮にも70~80年代の韓国のように『朝露』を歌う一種の青年文化が形成されなくてはならないだろう。北朝鮮にそのような文化が存在するのだろうか。
最近の北朝鮮の若い女性たちがデート相手を「オッパ(お兄さん)」と呼ぶ現象が現れているという。韓国ドラマと映画の影響を受けて育った世代だ。理念を重視する世代の恋人の呼称は「同志」だった。「同志」が「オッパ」に変わって現れるかもしれない社会的変化を北朝鮮の指導層は懸念するようだ。ソン・イェジンとヒョンビンが主演したドラマ『愛の不時着』が北朝鮮でも人気という。ひとつのアイロニーは『愛の不時着』が韓国で一種の理念議論が起きたドラマという点だ。ヒョンビンのようなハンサムな俳優を北朝鮮軍将校としてキャスティングすることにより北朝鮮を美化しているのではないかという議論だった。戦争を知らずに育った若い世代に北朝鮮に対する誤った認識を持たせかねないという懸念だった。そんなドラマが北朝鮮で別の方式で消費され変化の媒介役をしているとは。文化は予想できない方向に流れる。
ペ・ヨンデ/近現代史研究所長
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