産業通商資源部の公務員らが2019年12月、監査院の監査直前に削除した「北朝鮮地域原発建設推進案」文書には、新ハンウル原発3・4号機の生産電力を送電する案などを含む3つのシナリオが入っていたことが確認された。写真は新ハンウル原発1・2号機。 [韓水原提供]
その後、政府・与党・青瓦台は一糸乱れず動いた。産業部が1日に該当文書を公開したのに続き、2日には与党代表と青瓦台政務首席秘書官が反撃の先鋒に立った。与党・共に民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表は昨日行われた国会交渉団体代表演説で、与党代表としては異例にも105秒を野党批判に注ぎ込んだ。李代表は「野党第1党の指導者が線を越えた。完全に誤認し、黙過できない攻撃を大統領にした」と主張した。
崔宰誠(チェ・ジェソン)政務首席秘書官も4・27首脳会談で文大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に渡したUSBを公開すべきという要求を「絶対不可」としながらも「野党が責任を負うのなら公開するかどうか検討することができる」と述べた。また「選挙用の宣伝戦でなければ野党も命運をかけるべき」と「脅迫性」条件を付けた。
与党の立場では4月の補欠選を控えた今、野党の攻撃を宣伝戦と受け止める可能性があり、また選挙戦略上で相手が有利になるかもしれない。しかし関連疑惑に対する国民の疑問まで宣伝戦とするのは誤算だ。検察の捜査過程で出てきた北朝鮮原発建設疑惑に国民が疑問を抱くのは明らかだ。「脱原発」を核心哲学とするこの政権で公務員が北朝鮮原発建設をアイデアとして出したことは納得しがたく、アイデアレベルだったのならなぜ関連文書を削除したのかも疑問だ。しかし政府・与党・青瓦台の人たちの反撃のどこにも答えはない。「原発の『原』の字もなかった」と言いながら事実を否認したり、「李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権当時も推進した」と前政権のせいにしたり、「根拠がない攻撃」と言いながら宣伝戦でもみ消している。
与党のこうした態度は、国民の疑問が何であるかを正しく理解できていないか、または背を向けているかだ。国民は北朝鮮原発建設推進だけに疑いの目を向けているのではない。根底には、絶えず挑発する北朝鮮にいかなる対応もできなかった政府に対する不信感がある。それで北朝鮮原発建設疑惑に対していつよりも透明に実体的な真実を知りたいと考えているのだ。今は政治的宣伝戦をして事案の本質を曇らせる時ではない。疑問を抱いた国民にありのまま説明すれば済むことだ。
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