「コロナワクチン大乱を自ら招いた核心的な原因はコントロールタワー不在のためだった」
22日、政府高位関係者が中央日報の電話取材で打ち明けた言葉だ。この人物は「6月末、金尚祖(キム・サンジョ)青瓦台政策室長が主導してワクチンタスクフォース(TF、作業部会)チームを構成したが、TFを実務者に押し付けながら自分は外れた」とし「誰も責任を取らないのに公務員がどうしたら数兆ウォンもかかるワクチンの契約ができるだろうか」と話した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任直後、「すべての重大災難・災害のコントロールタワーは青瓦台(チョンワデ、大統領府)だ。重大災難は青瓦台がコントロールタワーではないという道理がない」と話したことがある。朴槿恵(パク・クネ)政府時期、セウォル号惨事の反省から出た確約だった。しかし、今回のワクチン大乱で、文大統領は自身の約束を守ることができなかったという指摘を受けている。
◇「ピンポンゲーム」で逃したゴールデンタイム
ワクチン導入TFの「会議運営現況」資料によると、TFは6月29日の第1回会議を皮切りに公式会議を17回行った。TF構成を主導したのは金尚祖室長だったという。しかし構成段階で青瓦台は抜けた。結局、TFには保健福祉部と疾病管理庁、科学技術情報通信部などの実務者だけが残った。
当時一日の感染者数は50人前後で安定基調だった。青瓦台の関心事も急速にコロナから不動産に移った。特に、当時青瓦台参謀の多住宅保有問題が相次いで取り上げられている時期だった。金室長がTFから事実上手を引いた背景もそのような雰囲気と関連があるのではないかという見方もある。
TFは効果的に動くことができなかった。TFに参加したある要人は「災難支援金支給のために企画財政部もワクチン関連の財政確保に難色を示した」とし「結局、福祉部の予算のうち1000億ウォン(約93億円)程度をかろうじて調達したが、疾病庁と福祉部の間で責任の押し付け合いに汲々とする会議が続いた」と伝えた。
当時TF会議では「いっそ自分がすべての責任を負ってワクチンを導入した後、もしかして何か間違いが起きて後日逆賊扱いされても壮烈に散りたい」という、自嘲混じりの愚痴が続いたという。政府関係者は「公務員には過去に新型インフルエンザ・中東呼吸器症候群(MERS)の時に果敢な行政を進めて次々と重い懲戒を受けた経験がトラウマとして残っている」とし「『上層部』が、開発段階にあったワクチンを確保するための果敢な決断を回避したせいでゴールデンタイムを吹き飛ばしてしまった」と話した。
実際、会議中に特定ワクチンに関連する言及があったのはアストラゼネカ導入を議論した第9回会議(9月2日)だけだった。残りは「コバックス・ファシリティ(COVAX Facility)」関連の議論に集中した。コバックスはワクチンの公平分配のために世界保健機関(WHO)等が作ったプロジェクトだ。ワクチン開発を推進していた特定製薬会社との個別契約にともなうリスクを避けるための苦肉の策だったものとみられる。
その間に先進国はワクチン開発の可能性が高かったファイザー・モデルナなどと事前に接触して初回物量を確保した。米国はトランプ大統領、日本は安倍晋三前首相が直接動いた。
◇「虚偽報告」になってしまったワクチン導入計画
韓国政府はTF会議の内容はもちろんTF構成員も公開しないでいる。TF関係者は中央日報の電話取材で「会議録はあるが契約関連の内容が含まれていて公開できない」とし「委員名簿も非公開事案」と明らかにした。
高位当局者はこれに関連して「TFはワクチンを購入した経験もなく、ワクチンとは関係のない防疫関係者で構成された」とし「ここに各部署まで責任回避に汲々としているうちに、担当者が福祉部出身の権ジュン郁(クォン・ジュンウク)国立衛生研究所(NIH)所長からワクチンの経験がない羅聖雄(ナ・ソンウン)疾病庁次長に交代する混乱もあった」と伝えた。
この当局者は特に「このような非専門家は尻に火がついたあとになってファイザーなどと接触したが『生産2カ月前に注文すれば物量を間に合わせることができる」という言葉だけを信じて、これをそのまま上部に報告してしまった」と指摘した。
実際、政府は今月8日、「4400万人分のワクチンを確保した」と発表した。「ファイザーなどから2カ月以内にワクチンの供給を受けることができる」という報告が発表の根拠になったと推定される。
しかし、丁世均(チョン・セギュン)首相は20日、「ワクチン購入交渉に入ったもののワクチンはなかった。ファイザー・モデルナ・ヤンセンなどと契約が迫っているが、1-3月期供給の約束を受けたものはない」と告白した。
これに対して高位当局者は「政府が過去の口頭確認だけを信じてファイザー・モデルナなどに物量を要請したところ、製薬会社から『韓国に供給する物量は現在のところない』という回答が返ってきた状況」としながら「結果的にTFの報告は事実上虚偽になってしまったし、このために政府に対する国民の信頼を自ら失わせる契機を差し出すことになった」と話した。
「いっそ逆賊になるほうがいい」…ゴールデンタイム逃した韓国ワクチンTFの内部事情(2)
22日、政府高位関係者が中央日報の電話取材で打ち明けた言葉だ。この人物は「6月末、金尚祖(キム・サンジョ)青瓦台政策室長が主導してワクチンタスクフォース(TF、作業部会)チームを構成したが、TFを実務者に押し付けながら自分は外れた」とし「誰も責任を取らないのに公務員がどうしたら数兆ウォンもかかるワクチンの契約ができるだろうか」と話した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任直後、「すべての重大災難・災害のコントロールタワーは青瓦台(チョンワデ、大統領府)だ。重大災難は青瓦台がコントロールタワーではないという道理がない」と話したことがある。朴槿恵(パク・クネ)政府時期、セウォル号惨事の反省から出た確約だった。しかし、今回のワクチン大乱で、文大統領は自身の約束を守ることができなかったという指摘を受けている。
◇「ピンポンゲーム」で逃したゴールデンタイム
ワクチン導入TFの「会議運営現況」資料によると、TFは6月29日の第1回会議を皮切りに公式会議を17回行った。TF構成を主導したのは金尚祖室長だったという。しかし構成段階で青瓦台は抜けた。結局、TFには保健福祉部と疾病管理庁、科学技術情報通信部などの実務者だけが残った。
当時一日の感染者数は50人前後で安定基調だった。青瓦台の関心事も急速にコロナから不動産に移った。特に、当時青瓦台参謀の多住宅保有問題が相次いで取り上げられている時期だった。金室長がTFから事実上手を引いた背景もそのような雰囲気と関連があるのではないかという見方もある。
TFは効果的に動くことができなかった。TFに参加したある要人は「災難支援金支給のために企画財政部もワクチン関連の財政確保に難色を示した」とし「結局、福祉部の予算のうち1000億ウォン(約93億円)程度をかろうじて調達したが、疾病庁と福祉部の間で責任の押し付け合いに汲々とする会議が続いた」と伝えた。
当時TF会議では「いっそ自分がすべての責任を負ってワクチンを導入した後、もしかして何か間違いが起きて後日逆賊扱いされても壮烈に散りたい」という、自嘲混じりの愚痴が続いたという。政府関係者は「公務員には過去に新型インフルエンザ・中東呼吸器症候群(MERS)の時に果敢な行政を進めて次々と重い懲戒を受けた経験がトラウマとして残っている」とし「『上層部』が、開発段階にあったワクチンを確保するための果敢な決断を回避したせいでゴールデンタイムを吹き飛ばしてしまった」と話した。
実際、会議中に特定ワクチンに関連する言及があったのはアストラゼネカ導入を議論した第9回会議(9月2日)だけだった。残りは「コバックス・ファシリティ(COVAX Facility)」関連の議論に集中した。コバックスはワクチンの公平分配のために世界保健機関(WHO)等が作ったプロジェクトだ。ワクチン開発を推進していた特定製薬会社との個別契約にともなうリスクを避けるための苦肉の策だったものとみられる。
その間に先進国はワクチン開発の可能性が高かったファイザー・モデルナなどと事前に接触して初回物量を確保した。米国はトランプ大統領、日本は安倍晋三前首相が直接動いた。
◇「虚偽報告」になってしまったワクチン導入計画
韓国政府はTF会議の内容はもちろんTF構成員も公開しないでいる。TF関係者は中央日報の電話取材で「会議録はあるが契約関連の内容が含まれていて公開できない」とし「委員名簿も非公開事案」と明らかにした。
高位当局者はこれに関連して「TFはワクチンを購入した経験もなく、ワクチンとは関係のない防疫関係者で構成された」とし「ここに各部署まで責任回避に汲々としているうちに、担当者が福祉部出身の権ジュン郁(クォン・ジュンウク)国立衛生研究所(NIH)所長からワクチンの経験がない羅聖雄(ナ・ソンウン)疾病庁次長に交代する混乱もあった」と伝えた。
この当局者は特に「このような非専門家は尻に火がついたあとになってファイザーなどと接触したが『生産2カ月前に注文すれば物量を間に合わせることができる」という言葉だけを信じて、これをそのまま上部に報告してしまった」と指摘した。
実際、政府は今月8日、「4400万人分のワクチンを確保した」と発表した。「ファイザーなどから2カ月以内にワクチンの供給を受けることができる」という報告が発表の根拠になったと推定される。
しかし、丁世均(チョン・セギュン)首相は20日、「ワクチン購入交渉に入ったもののワクチンはなかった。ファイザー・モデルナ・ヤンセンなどと契約が迫っているが、1-3月期供給の約束を受けたものはない」と告白した。
これに対して高位当局者は「政府が過去の口頭確認だけを信じてファイザー・モデルナなどに物量を要請したところ、製薬会社から『韓国に供給する物量は現在のところない』という回答が返ってきた状況」としながら「結果的にTFの報告は事実上虚偽になってしまったし、このために政府に対する国民の信頼を自ら失わせる契機を差し出すことになった」と話した。
「いっそ逆賊になるほうがいい」…ゴールデンタイム逃した韓国ワクチンTFの内部事情(2)
この記事を読んで…