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【コラム】「2020年はぞっとする年」…金正恩リーダーシップに危機迫るのか(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
◆南北首脳の親書「同床異夢」

朴智元院長の国家情報院でなければ、文大統領は大きな危機を迎えるしかなかった。死亡事件発生のわずか数日前に金正恩委員長に送った親書で「国務委員長の生命尊重に対する強い意志に敬意を表する」と書いた文大統領だ。公務員射殺事件の報告を受けて焦りを感じただろう。しかし金正恩委員長の「謝罪」を重視する与党側の論客やメディアの世論形成で危機を乗り越えることができた。金正恩委員長と交わした親書の内容も先制的に公開し、取材や他のルートからその内容が出てくる場合の影響を遮断した。意外な人物の国家情報院長起用に首をかしげた人たちは今「策士・朴智元」に納得している。

しかし南北関係の春をまた迎えるのは容易でないようだ。何よりも先月交わした文在寅-金正恩の親書は、両首脳間の同床異夢を確認させる。「互いに助け合えずにいる現実は残念だ」という文大統領の言葉に対し、金正恩委員長は「ぞっとする今年のこの時間が早く流れて…」と答えたのが代表的だ。新型コロナ関連の対北朝鮮支援や協力を強調すると、金正恩委員長は「私はいま本当に大変だ」と白々しい応酬をした。


文大統領が「国務委員長様」と呼んだのに対し、金正恩委員長は「文大統領」水準にとどめた。親書を交わすチャンネルは存在しながらも、北朝鮮軍の銃口の前で死亡した国民の命を助ける意思疎通はしなかったという批判世論は、人権弁護士出身の大統領に重荷になるしかない。6月に金与正第1副部長主導の開城(ケソン)南北連絡事務所爆破とアンサンブルを見せる平壌兄妹の蛮行は、南北関係に対する韓国国民の支持が以前と同じでないことを予告する。

◆「経済失敗」を認めた立場から急変

金正恩が自ら「ぞっとする」と告白した2020年も終盤に差し掛かっている。年初に、いわゆる「正面突破戦」を掲げて派手に出発した金正恩委員長の北朝鮮は、コロナ事態に続いて集中豪雨・台風という自然災害までが重なってつまずいた。北朝鮮制裁の苦痛の上に蓄積した疲労感が金正恩委員長の悩みを深めるのは間違いない。米大統領選の結果が金正恩委員長が望む方向に向かうかも分からない状況だ。

経済と外交、内政でも、的確な助言をしてくれる頼もしい後見人や側近を探すのも難しい。長距離ミサイル開発に寄与したという最側近の李炳哲(イ・ビョンチョル)党副委員長と朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長に元帥称号と勲章を授与するセレモニーをしたが、変わるものはない。金正恩委員長の執務室の門番をする歌手出身の玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏の反応を気にして何もできない労働党と軍部の幹部では明らかな限界がある。興味深いのは、経済の失敗を自ら認めた先月19日の労働党全員会議の決定をわずか半月の間に変えてしまう点だ。「計画された国家経済の目標が不十分で人民の生活が明確には向上しなかった」と明らかにした金正恩委員長は、5日の政治局会議では「(今年)成し遂げた勝利と成果に陶酔して万歳も呼び、この勢いを弱めてはいけない」と主張した。そして来年初めの第8回労働党大会まで「80日戦闘」に入ると宣言した。経済の失敗を認めれば金正恩リーダーシップの損傷につながることを懸念して立場を変えた姿だ。

「勝利者の大祝典で迎えよう」と叫んできた労働党創建75周年(10月10日)は、失敗したリーダーシップを見せる場になりかねない状況だ。いま金正恩委員長ができることは軍事パレードにどんな武器体系を登場させるか程度を決めることだろう。突破口を見いだせず、戻る道も見えないジレンマに直面している。額のしわがさらに深まるしかない理由だ。

イ・ヨンジョン/統一北朝鮮専門記者/統一文化研究所長


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