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38ノース「北朝鮮の洪水被害衝撃的…言葉だけ『平壌速度』で復旧できず」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が2015年、羅先市(ラソンシ)先鋒(ソンボン)地区に水害復旧作業の現地指導に現れたときの様子。[中央フォト]

「数十年間にわたり北朝鮮を訪問してきたが、今年北朝鮮住民たちが強いられている困難は非常に衝撃的だ」

北朝鮮にとって2020年は非常に過酷な年だと米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」が23日(現地時間)、伝えた。

20年以上にわたり北朝鮮を訪問してきた匿名の国際救援要員が伝えた言葉だ。年初に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)を防ぐために国境を閉鎖して経済状況が悪化したことに続き、夏の間に相次いで台風や洪水の風水害を被ったためだ。


特に、この夏の梅雨期には3個の台風(8号、9号、10号)が相次いで北朝鮮を襲ったうえ、降雨量は過去25年間の観測の中で歴代2位を記録するほど多かった。

◆洪水に脆弱な北朝鮮の地形

匿名の国際救援要員は急斜面の山や狭い渓谷が多い北朝鮮の地理的特性が洪水被害を大きくしたと伝えた。短時間に大雨が降る場合、自然配水システムが初期に無力化して土砂崩れや浸水による農作物被害、住宅とインフラ崩壊が続くという。

北朝鮮の集落は急な山の斜面の間の渓谷や小川に沿って海岸平地まで造成されているが、上流で洪水が起きて小川が急流に変われば下流まで一瞬で焦土化する。北朝鮮で5番目に大きな都市である元山(ウォンサン)が今月大きな風水害を受けたが、北朝鮮当局は避難警報を発令して異例となる「現場中継報道」を許容したという。ただし、外部には被害の規模がどの程度になるのかは明らかにしておらず、外部支援を要請することもなかった。

◆「被害復旧もできていないのに冬が来る」

その間に北朝鮮住民の生活はどん底に突き落とされた。38ノースによると、今年の風水害で浸水した農耕地と村住民たちは、飢謹と伝染病の危険に置かれたうえに被害復旧もできない状況だ。

9月と10月はとうもろこし、大豆、米など北朝鮮の主要食糧作物の収穫期間だが、作物は収穫する前に畑で腐る危険に直面した。道路と電気線が破損し、作業のためのインフラ機能がすべて停止したためだ。家を失った移住民が避難施設を求めて集まれば新型コロナや結核など伝染病の拡散の危険も高まる。汚染された水源も復旧せず、生存まで脅かされている。

38ノースは「家屋・道路・橋梁を再建して農地を整備するまでには数カ月要する非常に厳しい作業」としながら「新型コロナ拡大懸念でほぼすべての外部物資供給が中断されたため、回復まではるかに遠い」と伝えた。

「苦難の行軍」は簡単に終わらない見通しだ。すでに住民たちの栄養失調は深刻な状況で、近づく冬への備えさえできなくなっているためだ。救援要員は「異例の深刻な困難に、平壌(ピョンヤン)当局さえどのように介入するべきか決定をなかなか下すことができないようだ」とし「悲しいことに、救援と再建のための人道的支援は当面難しいようだ」と付け加えた。

◆北朝鮮「平壌速度で台風被害復旧」宣伝

北朝鮮は労働党創建75周年記念日(10月10日)と第8次労働党大会を控えて台風被害の痕跡を消すために宣伝戦を展開している。党機関紙「労働新聞」は今月19日に社説を通じて「被害復旧戦闘での勝利の砲声は、翌年の進軍でさらに大きな勝利を勝ち取るための決定的担保」とし「党第8次大会を意味深く迎えるためには被害復旧戦闘を急いで結束し、経済全般と人民の生活を安定した軌道の上に乗せなければならない」とした。大会準備に拍車を加える中で民心をなだめるための布石だ。

24日には「平壌速度」を強調して迅速な水害復旧を求めた。労働新聞は黄海道(ファンヘド)、咸鏡道(ハムギョンド)など水害地域に派遣された首都党員師団を絶賛し、「平壌時間に準じてすべてのことを創造しなければならないという精神で、14分に1世帯の住宅を組み立てる驚異的な平壌速度を作り出す闘争の先頭に立っている」とした。

大々的な宣伝前の裏側には、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の崩れた体面がある。昨年、ベトナム・ハノイまで行ってドナルド・トランプ米国大統領と繰り広げた会談が決裂したうえ、2018年に大々的に広報した「元山葛麻(カルマ)観光地区」造成事業まで新型コロナで危機に直面しているというのが専門家の分析だ。



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