「伝統市場などの境界から20キロメートル以内の範囲を伝統商業保存区域に指定しよう」。
与党「共に民主党」の金禎鎬(キム・ジョンホ)議員が代表発議した流通産業発展法改正案はこうした内容を含んでいる。零細小商人を保護するには現行の伝統市場半径1キロメートルの制限はとても狭いということだ。この発議が現実化すれば今後全国に大型マートやショッピングモールが進出できる所はない。
◇全国で店舗新設を元から封鎖
たとえば伝統市場であるソウル・永東(ヨンドン)市場から半径20キロメートルには南側には城南市板橋(ソンナムシ・パンギョ)と義王市(ウィワンシ)が入る。北側には議政府(ウィジョンブ)まで、売り場面積合計3000平方メートル以上の大規模店舗を作ることはできない。永東市場から北西側へは金浦(キンポ)国際空港までの距離が約20キロメートルだ。市場1カ所でソウル全域へのショッピングモールや大型マートの進出を基本的に封鎖できることになる。なぜ半径20キロメートルなのかに対する根拠は発議の中にない。地方も同様だ。金議員の地元である慶尚南道金海(キョンサンナムド・キムヘ)の東上市場から半径20キロメートルを設定すれば昌原(チャンウォン)と梁山(ヤンサン)、釜山(プサン)一帯まで大規模店舗を作ることができなくなる。
金禎鎬議員室関係者は「法案は大手流通企業が大規模店舗が飽和状態のソウルや首都圏から抜け出し地方に入ってくることを防ぐためのもの」と説明した。同関係者は「河南(ハナム)スターフィールドができて近隣商圏をすべて吸収し小商工人の困難が加重された。金海でも酒村面(チュチョンミョン)に倉庫型店舗のコストコが進出する計画があり、中小商人保護が必要だ」と話した。
◇すでに強い規制、超強力規制で再誕生
企業規制法案が豊作だ。財界は国会で議論される商法、公正取引法、金融グループ監督法改正案のいわゆる企業規制3法(公正経済3法)が企業活動を固く締めつけるとして総力阻止に乗り出したが、規制3法は序幕にすぎない。国際労働機関(ILO)核心協約批准に向けた労働関係法(労働組合法、公務員労組法、教員労組法)改正案も待機中だ。
流通産業発展法改正案はこの中でも、より強い法律だ。流通企業が超緊張状態の理由は、民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表まで出て流通産業発展法改正案に対し「最優先民生公約として通過させる」と最近公言したためだ。既存の流通産業発展法規制存続期間は11月23日までだ。規制効力が消える前に新しいルールを決めなければならないだけに、第21代国会では流通産業発展法改正案が大量に提出された。23日まで12件の案が提出され審査中だ。提出された法案には最初から事業をするなという水準の要求も多い。保存区域を伝統市場の半径20キロメートルに拡大しようという金禎鎬議員の案が代表的だ。
現在もソウルなど各都市で大規模店舗の進出は難しい。ロッテショッピングのソウル・上岩洞(サンアムドン)ショッピングモールは2万644平方メートルの敷地を用意したが土地用途変更承認を受けられないまま7年にわたり宙に浮いている。近隣伝統市場17カ所のうち1カ所と共生合意がまとまっていないためいつ解決するか見通しが立たない。
2016年に3万4000平方メートルの用地を取得したスターフィールド昌原は地域商人の深刻な反対により3年間にわたり漂流し、昨年市民200人が参加した公論化委員会で6カ月の議論の末に出された賛成案が受け入れられ推進を継続することになった。
京畿科学大学スマート経営科のチョ・チュンハン教授は「法案趣旨とは違いすでにショッピングインフラが整備されているソウル首都圏は生かし、不十分な地方は殺す規制になるだろう」と話した。チョ教授は「羅州(ナジュ)革新都市失敗の原因を見るとショッピングインフラなどがないため。広州(クァンジュ)や清州(チョンジュ)など地方の消費者が週末に首都圏のアウトレットや複合ショッピングモールに集まり地域商圏が衰退する現象を見なければならない」と話した。
大手流通企業関係者は「流通産業は新規店舗を出して成長する業態なのに、結局何もせずに成長も止めろということ。オンライン流通による市場の激変と新型コロナウイルスまである状況で企業に足かせをはめるもの」と話した。
◇流通雇用蒸発
さらに大きな問題はこのように足かせをはめれば雇用が消えるということだ。大型マートや百貨店、大型ショッピングモールは雇用誘発効果が高い業種だ。2016年にオープンしたスターフィールド河南は地域住民5000人、2017年にオープンしたスターフィールド高陽(コヤン)は3000人を雇用した。首都圏の大型マート核心店舗1カ所の雇用平均人数は200人水準だ。地域開発のためショッピングモール誘致がしばしば使われる理由だ。スターフィールド昌原の市民公聴会で賛成が70%を超えたのも地域開発効果を期待した世論が力を得たためだ。新世界関係者は「スターフィールド昌原建設にともなう生産誘発効果は1兆ウォン、雇用効果は年間1万7000人と推算する」と話した。
義務休業を拡大しても雇用は減少する。韓国経済研究院は全国の複合ショッピングモールが月2回休業すれば6161件の雇用が減ると分析した。百貨店、ショッピングセンターでだけ義務休業を拡大しても5万件余りの雇用が消えると推定した。一部改正案に入っている免税店、フランチャイズ型チェーンまで加えれば失われる雇用は急増する見通しだ。
◇規制期待効果と違った「副作用」
2013年に始まった大型マートの月2回義務休業が小商工人保護という期待効果を上げたのかは論争の的だ。義務休業の予想できなかった影響のひとつが準大規模店舗を運営して規制から抜け出た食材マートの浮上だ。食材マートは伝統市場近くに店舗を出し、マート義務休業日の需要を吸い込んでいる。
大規模店舗開設を登録制から許可制に転換しようという提案も簡単な問題ではない。営業の自由はさておき、消費者の選択権の過度な制限という結果につながりかねない。このため公正取引委員会も「新規事業者の参入を制約し競争を制限する規制となって価格引き上げと消費者厚生の減少をもたらしかねず慎重な検討が必要だ」との意見を出した。ここに小売業市場へのアクセスを自由にした世界貿易機関(WTO)サービス協定違反の素地もあるとの指摘も出る。
◇免税店がそこでなぜ出てくるのか
流通産業の均衡的発展、小商工人保護という表向きの趣旨とかけ離れた法案も多い。民主党の李東洲(イ・ドンジュ)議員が発議した法案は、免税店(保税販売店)も営業時間を制限し月1回日曜日の義務休業を適用しようという。秋夕(チュソク、中秋)と旧正月は必ず義務休業日に指定し、流通産業従事者の長時間労働を防ぐという趣旨だ。だが免税店関係者は「免税店はグローバル競争で休日に営業しなければ2泊3日の週末旅行圏である韓日中免税店競争で不利になる。月1回の日曜日と名節まで含め年間14日の休業で売り上げへの直接的な影響だけ計算しても9500億ウォンに達する」と話した。さらに特許事業で競争入札を通じて事業権を確保した免税店事業者に流通産業発展法で規制するのは二重規制に該当する。
李東洲議員の案は免税店のほかにもそれなりの規模のオフライン事業者をすべて義務休業と営業制限対象に含めた。複合ショッピングモールと百貨店だけでなく、アウトレットと大企業から商品を供給される商品供給店、大規模店舗や準大規模店舗に準ずる企業が直営する直営店型チェーン事業、フランチャイズ型チェーン事業が月2回の公休日に休業しなければならない。民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)議員は複合ショッピングモールの月2回休業は自治体首長が決めようと提案した。韓国経済研究院によると複合ショッピングモールが月2回の公休日義務休業をすれば売上額は4851億ウォン減少する。義務休業対象を百貨店、ショッピングセンター、専門店にまで広げれば2兆5221億ウォン減ると分析される。
◇流通パラダイムの変化反映できず
雨後のタケノコのように発議された流通産業発展法が流通の現実を反映できていないという指摘も出る。統計庁によるとオンライン市場規模は2014年の45兆3000億ウォンから昨年は79兆6000億ウォンと急激に成長している。今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン市場の規模はさらに大きくなる見通しだ。これに対しオフライン市場規模は2012年の291兆ウォンから昨年は293兆ウォンと成長停滞期だ。
淑明(スクミョン)女子大学経営学科のソ・ヨング教授は「複合ショッピングモールは流通店舗というよりはレジャー・観光施設で、これを休日に義務的に休ませる規制はオフライン流通の競争力を弱め関連雇用をなくすこと以外に意味はないだろう」と懸念する。続けて「新型コロナウイルスを契機に完全に電子商取引が主導する小売り産業の変化を全く理解できていない法案」と話した。
韓国流通学会が7月に発表した研究結果によると、大型マート義務休業日に消費者は近隣のスーパーマーケットで買い物をするケースが23.66%で最も多く、伝統市場を利用するケースは5.81%と多くないことがわかった。義務休業規制が適用される日曜日に大型マート利用者のカード使用額減少率が平日に比べ大きかった。これに対しオンラインショッピングは持続して日曜日の使用額増加率が高いことが明らかになり、義務休業の恩恵はオンラインに回っていると分析した。
与党「共に民主党」の金禎鎬(キム・ジョンホ)議員が代表発議した流通産業発展法改正案はこうした内容を含んでいる。零細小商人を保護するには現行の伝統市場半径1キロメートルの制限はとても狭いということだ。この発議が現実化すれば今後全国に大型マートやショッピングモールが進出できる所はない。
◇全国で店舗新設を元から封鎖
たとえば伝統市場であるソウル・永東(ヨンドン)市場から半径20キロメートルには南側には城南市板橋(ソンナムシ・パンギョ)と義王市(ウィワンシ)が入る。北側には議政府(ウィジョンブ)まで、売り場面積合計3000平方メートル以上の大規模店舗を作ることはできない。永東市場から北西側へは金浦(キンポ)国際空港までの距離が約20キロメートルだ。市場1カ所でソウル全域へのショッピングモールや大型マートの進出を基本的に封鎖できることになる。なぜ半径20キロメートルなのかに対する根拠は発議の中にない。地方も同様だ。金議員の地元である慶尚南道金海(キョンサンナムド・キムヘ)の東上市場から半径20キロメートルを設定すれば昌原(チャンウォン)と梁山(ヤンサン)、釜山(プサン)一帯まで大規模店舗を作ることができなくなる。
金禎鎬議員室関係者は「法案は大手流通企業が大規模店舗が飽和状態のソウルや首都圏から抜け出し地方に入ってくることを防ぐためのもの」と説明した。同関係者は「河南(ハナム)スターフィールドができて近隣商圏をすべて吸収し小商工人の困難が加重された。金海でも酒村面(チュチョンミョン)に倉庫型店舗のコストコが進出する計画があり、中小商人保護が必要だ」と話した。
◇すでに強い規制、超強力規制で再誕生
企業規制法案が豊作だ。財界は国会で議論される商法、公正取引法、金融グループ監督法改正案のいわゆる企業規制3法(公正経済3法)が企業活動を固く締めつけるとして総力阻止に乗り出したが、規制3法は序幕にすぎない。国際労働機関(ILO)核心協約批准に向けた労働関係法(労働組合法、公務員労組法、教員労組法)改正案も待機中だ。
流通産業発展法改正案はこの中でも、より強い法律だ。流通企業が超緊張状態の理由は、民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表まで出て流通産業発展法改正案に対し「最優先民生公約として通過させる」と最近公言したためだ。既存の流通産業発展法規制存続期間は11月23日までだ。規制効力が消える前に新しいルールを決めなければならないだけに、第21代国会では流通産業発展法改正案が大量に提出された。23日まで12件の案が提出され審査中だ。提出された法案には最初から事業をするなという水準の要求も多い。保存区域を伝統市場の半径20キロメートルに拡大しようという金禎鎬議員の案が代表的だ。
現在もソウルなど各都市で大規模店舗の進出は難しい。ロッテショッピングのソウル・上岩洞(サンアムドン)ショッピングモールは2万644平方メートルの敷地を用意したが土地用途変更承認を受けられないまま7年にわたり宙に浮いている。近隣伝統市場17カ所のうち1カ所と共生合意がまとまっていないためいつ解決するか見通しが立たない。
2016年に3万4000平方メートルの用地を取得したスターフィールド昌原は地域商人の深刻な反対により3年間にわたり漂流し、昨年市民200人が参加した公論化委員会で6カ月の議論の末に出された賛成案が受け入れられ推進を継続することになった。
京畿科学大学スマート経営科のチョ・チュンハン教授は「法案趣旨とは違いすでにショッピングインフラが整備されているソウル首都圏は生かし、不十分な地方は殺す規制になるだろう」と話した。チョ教授は「羅州(ナジュ)革新都市失敗の原因を見るとショッピングインフラなどがないため。広州(クァンジュ)や清州(チョンジュ)など地方の消費者が週末に首都圏のアウトレットや複合ショッピングモールに集まり地域商圏が衰退する現象を見なければならない」と話した。
大手流通企業関係者は「流通産業は新規店舗を出して成長する業態なのに、結局何もせずに成長も止めろということ。オンライン流通による市場の激変と新型コロナウイルスまである状況で企業に足かせをはめるもの」と話した。
◇流通雇用蒸発
さらに大きな問題はこのように足かせをはめれば雇用が消えるということだ。大型マートや百貨店、大型ショッピングモールは雇用誘発効果が高い業種だ。2016年にオープンしたスターフィールド河南は地域住民5000人、2017年にオープンしたスターフィールド高陽(コヤン)は3000人を雇用した。首都圏の大型マート核心店舗1カ所の雇用平均人数は200人水準だ。地域開発のためショッピングモール誘致がしばしば使われる理由だ。スターフィールド昌原の市民公聴会で賛成が70%を超えたのも地域開発効果を期待した世論が力を得たためだ。新世界関係者は「スターフィールド昌原建設にともなう生産誘発効果は1兆ウォン、雇用効果は年間1万7000人と推算する」と話した。
義務休業を拡大しても雇用は減少する。韓国経済研究院は全国の複合ショッピングモールが月2回休業すれば6161件の雇用が減ると分析した。百貨店、ショッピングセンターでだけ義務休業を拡大しても5万件余りの雇用が消えると推定した。一部改正案に入っている免税店、フランチャイズ型チェーンまで加えれば失われる雇用は急増する見通しだ。
◇規制期待効果と違った「副作用」
2013年に始まった大型マートの月2回義務休業が小商工人保護という期待効果を上げたのかは論争の的だ。義務休業の予想できなかった影響のひとつが準大規模店舗を運営して規制から抜け出た食材マートの浮上だ。食材マートは伝統市場近くに店舗を出し、マート義務休業日の需要を吸い込んでいる。
大規模店舗開設を登録制から許可制に転換しようという提案も簡単な問題ではない。営業の自由はさておき、消費者の選択権の過度な制限という結果につながりかねない。このため公正取引委員会も「新規事業者の参入を制約し競争を制限する規制となって価格引き上げと消費者厚生の減少をもたらしかねず慎重な検討が必要だ」との意見を出した。ここに小売業市場へのアクセスを自由にした世界貿易機関(WTO)サービス協定違反の素地もあるとの指摘も出る。
◇免税店がそこでなぜ出てくるのか
流通産業の均衡的発展、小商工人保護という表向きの趣旨とかけ離れた法案も多い。民主党の李東洲(イ・ドンジュ)議員が発議した法案は、免税店(保税販売店)も営業時間を制限し月1回日曜日の義務休業を適用しようという。秋夕(チュソク、中秋)と旧正月は必ず義務休業日に指定し、流通産業従事者の長時間労働を防ぐという趣旨だ。だが免税店関係者は「免税店はグローバル競争で休日に営業しなければ2泊3日の週末旅行圏である韓日中免税店競争で不利になる。月1回の日曜日と名節まで含め年間14日の休業で売り上げへの直接的な影響だけ計算しても9500億ウォンに達する」と話した。さらに特許事業で競争入札を通じて事業権を確保した免税店事業者に流通産業発展法で規制するのは二重規制に該当する。
李東洲議員の案は免税店のほかにもそれなりの規模のオフライン事業者をすべて義務休業と営業制限対象に含めた。複合ショッピングモールと百貨店だけでなく、アウトレットと大企業から商品を供給される商品供給店、大規模店舗や準大規模店舗に準ずる企業が直営する直営店型チェーン事業、フランチャイズ型チェーン事業が月2回の公休日に休業しなければならない。民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)議員は複合ショッピングモールの月2回休業は自治体首長が決めようと提案した。韓国経済研究院によると複合ショッピングモールが月2回の公休日義務休業をすれば売上額は4851億ウォン減少する。義務休業対象を百貨店、ショッピングセンター、専門店にまで広げれば2兆5221億ウォン減ると分析される。
◇流通パラダイムの変化反映できず
雨後のタケノコのように発議された流通産業発展法が流通の現実を反映できていないという指摘も出る。統計庁によるとオンライン市場規模は2014年の45兆3000億ウォンから昨年は79兆6000億ウォンと急激に成長している。今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン市場の規模はさらに大きくなる見通しだ。これに対しオフライン市場規模は2012年の291兆ウォンから昨年は293兆ウォンと成長停滞期だ。
淑明(スクミョン)女子大学経営学科のソ・ヨング教授は「複合ショッピングモールは流通店舗というよりはレジャー・観光施設で、これを休日に義務的に休ませる規制はオフライン流通の競争力を弱め関連雇用をなくすこと以外に意味はないだろう」と懸念する。続けて「新型コロナウイルスを契機に完全に電子商取引が主導する小売り産業の変化を全く理解できていない法案」と話した。
韓国流通学会が7月に発表した研究結果によると、大型マート義務休業日に消費者は近隣のスーパーマーケットで買い物をするケースが23.66%で最も多く、伝統市場を利用するケースは5.81%と多くないことがわかった。義務休業規制が適用される日曜日に大型マート利用者のカード使用額減少率が平日に比べ大きかった。これに対しオンラインショッピングは持続して日曜日の使用額増加率が高いことが明らかになり、義務休業の恩恵はオンラインに回っていると分析した。
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