安藤忠雄氏が設計した東京の公園のトイレ。Satoshi Nagare撮影 [The Nippon Foundation]
渋谷駅から5分の距離にある小さな公園に印象的な円形建築物が完成した。日本を代表する建築家の一人、安藤忠雄氏(79)が設計した神宮通公園のトイレだ。東京渋谷の公共施設をアップグレードするための「THE TOKYO TOILET」プロジェクトに取り組んできた非営利財団の日本財団は最近、安藤氏が設計したトイレを公開した。同プロジェクトの6番目の完成作となる。このプロジェクトは、日本のプライドをかけて代表的な建築家とデザイナーを前に出しながら計16カ所のトイレをリデザインするという内容だ。
もともと2020東京オリンピック(五輪)に向けたプロジェクトだったが、五輪が延期になったため、別の日程で次々と完成したトイレを公開している。このプロジェクトは日本財団が計画し、渋谷区と渋谷観光協会の協力、大和ハウスグループやTOTOなどの後援で進行された。
今回公開されたトイレはプリツカー賞を受賞した安藤忠雄氏が設計したトイレだ。プリツカー賞は建築界のノーベル賞と呼ばれる世界的な建築賞で、日本は1979年からこれまで8人の受賞者を輩出している。安藤氏は1995年の受賞者だ。
2014年にプリツカー賞を受賞した板茂氏は外から透けて見える透明トイレを設計して話題になった。利用者が入ってドアを閉めれば壁が透明になる先端施設だ。板茂氏は「公共トイレを利用する時は清潔か、安全かが心配になる」とし「透明ガラスの壁を通じてトイレが清潔かどうか、他の使用者がいるかどうかを確認できる」と説明した。1993年の受賞者の槇文彦氏はトイレのブロックの上に換気と採光のために緻密に設計された屋根をのせた構造を公開した。
日本財団のホームページによると、安藤氏は今回のプロジェクトに参加し、「この小さな建築物が公共トイレの境界を越え、大きな公共価値を提供する都市景観の中の『場所』になることを望む」と明らかにした。
神宮通公園のこのトイレは桜の木で囲まれている。入口を入ってそれぞれ男性用・女性用トイレに向かう途中に洗面台を設置し、円形トイレの外壁は垂直金属ルーバー(vertical metal louvres)で囲まれている。
安藤氏は「快適で安全な空間をつくることが私にとって最も重要だった」とし「利用者は垂直ルーバーの円筒形の壁の中に入り、採光と換気が良い内部で快適さを感じ、また反対側からも出入りできる構造から安全を感じられるようにした」と述べた。続いて「神宮通公園の緑地に隠れたこのトイレがこの公園の小さな休憩場所として知られることを望む」と話した。
建築家のソン・サンウ氏(a0100z代表)は「建築でルーバーは視野を遮るものの風通しの機能がある」とし「一日中採光が変わるため、円形のトイレを囲むルーバーの間から入る光とその影が時間の流れによって違って見える。都心の小さな公園のトイレでも自然に風と光を感じられるよう設計されている点が印象的」と話した。
安藤忠雄氏は1941年に大阪で生まれ、高校を卒業した後、1962年から1969年まで世界各地を旅行しながら独学で建築を学んだ。1969年に自身の建築設計事務所を設計し、代表作に光の教会、ピューリッツァ芸術財団、地中美術館などがある。イェール大、コロンビア大、ハーバード大招聘教授を歴任、東京大の名誉教授。
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