台風9号「MAYSAK(メイサーク)」のときに被害を受けた釜山市海雲台区(プサンシ・ヘウンデグ)のある高層マンション
釜山海雲台(ヘウンデ)のある高層アパート36階に住むパクさん(39)は8日、「台風9号が釜山に上陸した3日未明、地震が起きたのではないかと思うほどの揺れに苦しめられた」とし「朝起きてみるとマンションの花壇にあった金剛松がどれも根こそぎ倒木していて修羅場のようだった。また1~10階の低層部では外壁の窓ガラスが割れたところも相当あった」と語った。
ビル風は風が都市高層建物の間を通り抜けながら互いにぶつかり合い、従来の速度の2倍に達するほどの強い旋風に変わる現象だ。特に下降するビル風は重力が増して圧力が加わる。
マンション低層部でビル風による被害が大きいのはこのためだ。
政府主管のビル風研究を進めている釜山大学学術サービスチームの今月3日の調査結果によると、国内最高層アパートである101階エルシティ建物の後方には前面と比較して50%強い風速の風が吹いた。建物一帯の平均風速が秒速40メートルのとき、エルシティ周辺の特定地点の風速は秒速60メートルに達した。
台風10号が襲来した7日には、ビル風を測定しようとしたが断念した。ビル風研究サービス団長で釜山大学社会環境システム工学科教授のクォン・スンチョル氏は「7日午前8時、海雲台区マリンシティで秒速50メートルを超える強風を測定することには成功したが、エルシティ周辺は秒速60メートルを超えたせいでこれ以上測定することができなかった」とし「同じ時刻、海上測定値が秒速23メートルだったことと比較すると、ビル風のために風が2倍以上強くなるということが確認されたことになる」と話した。
ビル風の危険性は今回の台風状況で如実に現れた。3日にはエルシティとシグニエル釜山ホテルの一部外壁タイルや施設構造物などが剥がれたほか、広安里(クァンアルリ)海水浴場前にあるマンションでも外部のガラスが破損した。7日にはエルシティ前の信号灯の鋼鉄柱が折れて横断歩道の上に落ちるヒヤっとする事故が発生した。高層建物で割れたガラスの破片がビル風を乗って周辺に飛び散る場合、歩行者負傷など2次被害につながりかねない。
だが、50階以上の超高層建物の場合、強い地震に備えて耐震設計はされているものの風対策は講じられていないのが実情だ。クォン教授は「現行建築法上、ビル風は災害環境影響評価対象から外れているため、ビル風被害を予防する制度的装置がない」と指摘した。
海外でもビル風に対する悩みは大きくなっている。英国ロンドン市は秒速8メートル以上のビル風防止対策を策定し、日本では都心の高層建物設計時にビル風から歩行者の安全を守ることができるようにするための研究が行われている。
クォン教授は「今すぐ代案として提示できるものは、超高層ビルの周辺に防風林を作って防風フェンスを設置すること」としながら「だが、各種騒音や美観上の問題のせいで根本的代案にはなれないため、ビル風を考慮した技術的設計基準を用意しなくてはならない」と話した。これに関連して河泰慶(ハ・テギョン)「国民の力」釜山市党委員長は▼建築許可時にビル風の環境影響評価基準を含める▼防風施設などビル風を考慮した設計義務化▼ビル風予報・警報システムの構築--などの方案に対する立法化を提案した。
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