<危機の韓日関係、連続診断18>過去問題のくびきから解放されてこそ歴史和解に向かうことができる(1)=韓日ビジョンフォーラム
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2020.06.29 08:31
◆朴チョル熙(パク・チョルヒ)教授の発題文要約
「韓国の法院(裁判所)が強制徴用日本企業に対する資産差し押さえ公示送達に着手して現金化は時間の問題になった。現金化が現実化すれば、韓日葛藤は両国間「報復措置-正面対抗」の「やられたらやり返す」(tit for tat)のチキンゲームに陥る可能性が高い。このようになれば韓日は「ルーズ・ルーズ(lose・lose)」状況になるが、両国政府は各自の算法で大きな誤判断を犯している。
韓国は「日本が報復してもこれに耐えうる力はある」と自信を持っている。しかし、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)状況に韓日葛藤まで加われば、後半期に深刻な経済危機を迎えることになりかねない。日本はまだ「水道の蛇口」を最後までひねりきったわけではない。韓国内の投資回収、在日僑胞(海外在住韓国人)・企業に対する報復、金融制裁などに続くおそれがある。世界貿易機関(WTO)提訴手続きは判定まで数年かかり、日本は輸出規制を維持しようとするため韓国にも実益がない。
日本も「報復措置をきっちりやれば韓国経済はグロッキー状態に陥る」とみている。しかし、報復措置を講じても短期的な影響を与えるだけで、長期的に韓国企業の「脱日本化」を加速させるだけだ。韓国は戦略物資の輸出統制システムを徹底して整備した。日本は強制徴用イシューのためだと認めない限り、輸出規制を持続する名分がない。
状況悪化を防ぐために現金化に対する5つの解決策がある。まず、被害者弁護団が司法府と調整を通じて現金化手続きを猶予する司法的方案がある。文喜相(ムン・ヒサン)案の再発議など、国会立法措置も可能性を残しておかなければならない。日本政府が自国企業に自律的に解決するよう指導する案もあるが、日本側法理上、可能性が高くない。国際法の手続きにより、仲裁・国際司法裁判所(ICJ)に進む案は領土・その他の過去問題まで波紋を広げかねない。最後に韓国政府が被害者に代位返済をして、日本に求償権を請求する方案だ。韓国は司法府の判断を尊重する一方で、道徳的優位で日本に責任追及を継続することができる」
今月初め、裁判所が強制徴用被告企業に対する差し押さえ命令公示送達を決めながら、強制徴用問題は8月4日から現金化手続きに移ることになる。韓日間のレッドラインとみなされた現金化措置の可視化で、両国関係には再び荒波が予想されている。26日「韓日ビジョンフォーラム」第18回会合では、現金化手続きがもたらす外交・経済的な波紋と、これに対する総合的な解決法が提示された。出席者は「国際舞台において、韓国に対する外交制約はもちろん、経済的にも打撃が避けられない」ということで共感した。発題者の朴チョル熙氏(ソウル大国際学研究所長)は「実際の現金化までは資産評価など手続きが残っている以上、その前に韓日政府が対応措置を準備する必要がある」と強調した。
▼申ガク秀(シン・ガクス)韓日ビジョンフォーラム委員長=日本の対応措置に対して韓国も対応措置を取れば一種の負のスパイラルによって両国間の葛藤が深まっていくだろう。問題は、韓日双方が負ける「ルーズ・ルーズ」の状況で、韓国が非対称的損害を受けることがあるという点だ。われわれが受ける被害を客観的、現実的に検討しなければならない。
▼柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交部長官=外交的にわれわれにとって大きな損害となる。北核問題、米中葛藤、韓米同盟関係という3つの側面で日本の役割は必須であることが、ジョン・ボルトン元ホワイトハウス大統領補佐官(国家安全保障担当)の回顧録でも確認された。そのような面で、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に触れたことは敗着の中の敗着だった。最悪の場合、米国が在韓米軍を日本に再配備する可能性も排除することはできない。経験上、日本は絶対に露骨に報復しない。
▼魏聖洛(ウィ・ソンラク)前駐ロシア大使=米中対立構図の中で捉えるべきだ。同盟管理に腐心している米国としては、今回の現金化問題で韓日関係が悪化すれば日本側に傾く可能性のほうが高い。今年下半期、習近平主席の訪韓で韓中が密着する姿まで加われば、決して韓国に有利だとはいえなくなる。主要7カ国(G7)のG11拡大も、既存メンバーである日本と対立しても何の得にもならない。日本との葛藤が深まれば韓国外交の行く先々で制約を受けることになる。
▼イ・ジョンユン元韓日経済協会副会長=韓日経済は相好依存性が高いため双方共に損害となる。日本の報復が本格化した場合、韓国政策当局はドイツなど第三国から代替輸入を増やせばよいというが企業は大きな内傷を負うことになる。経済は「費用-利益」を追求すべき問題だが、韓国企業は高費用で競争しなければならなくなる。米中通商摩擦に備えて東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など安全弁も作っておかなければならないのに、韓日関係が行き詰まっていて稼働に至っていない。
<危機の韓日関係、連続診断18>過去問題のくびきから解放されてこそ歴史和解に向かうことができる(2)=韓日ビジョンフォーラム
「韓国の法院(裁判所)が強制徴用日本企業に対する資産差し押さえ公示送達に着手して現金化は時間の問題になった。現金化が現実化すれば、韓日葛藤は両国間「報復措置-正面対抗」の「やられたらやり返す」(tit for tat)のチキンゲームに陥る可能性が高い。このようになれば韓日は「ルーズ・ルーズ(lose・lose)」状況になるが、両国政府は各自の算法で大きな誤判断を犯している。
韓国は「日本が報復してもこれに耐えうる力はある」と自信を持っている。しかし、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)状況に韓日葛藤まで加われば、後半期に深刻な経済危機を迎えることになりかねない。日本はまだ「水道の蛇口」を最後までひねりきったわけではない。韓国内の投資回収、在日僑胞(海外在住韓国人)・企業に対する報復、金融制裁などに続くおそれがある。世界貿易機関(WTO)提訴手続きは判定まで数年かかり、日本は輸出規制を維持しようとするため韓国にも実益がない。
日本も「報復措置をきっちりやれば韓国経済はグロッキー状態に陥る」とみている。しかし、報復措置を講じても短期的な影響を与えるだけで、長期的に韓国企業の「脱日本化」を加速させるだけだ。韓国は戦略物資の輸出統制システムを徹底して整備した。日本は強制徴用イシューのためだと認めない限り、輸出規制を持続する名分がない。
状況悪化を防ぐために現金化に対する5つの解決策がある。まず、被害者弁護団が司法府と調整を通じて現金化手続きを猶予する司法的方案がある。文喜相(ムン・ヒサン)案の再発議など、国会立法措置も可能性を残しておかなければならない。日本政府が自国企業に自律的に解決するよう指導する案もあるが、日本側法理上、可能性が高くない。国際法の手続きにより、仲裁・国際司法裁判所(ICJ)に進む案は領土・その他の過去問題まで波紋を広げかねない。最後に韓国政府が被害者に代位返済をして、日本に求償権を請求する方案だ。韓国は司法府の判断を尊重する一方で、道徳的優位で日本に責任追及を継続することができる」
今月初め、裁判所が強制徴用被告企業に対する差し押さえ命令公示送達を決めながら、強制徴用問題は8月4日から現金化手続きに移ることになる。韓日間のレッドラインとみなされた現金化措置の可視化で、両国関係には再び荒波が予想されている。26日「韓日ビジョンフォーラム」第18回会合では、現金化手続きがもたらす外交・経済的な波紋と、これに対する総合的な解決法が提示された。出席者は「国際舞台において、韓国に対する外交制約はもちろん、経済的にも打撃が避けられない」ということで共感した。発題者の朴チョル熙氏(ソウル大国際学研究所長)は「実際の現金化までは資産評価など手続きが残っている以上、その前に韓日政府が対応措置を準備する必要がある」と強調した。
▼申ガク秀(シン・ガクス)韓日ビジョンフォーラム委員長=日本の対応措置に対して韓国も対応措置を取れば一種の負のスパイラルによって両国間の葛藤が深まっていくだろう。問題は、韓日双方が負ける「ルーズ・ルーズ」の状況で、韓国が非対称的損害を受けることがあるという点だ。われわれが受ける被害を客観的、現実的に検討しなければならない。
▼柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交部長官=外交的にわれわれにとって大きな損害となる。北核問題、米中葛藤、韓米同盟関係という3つの側面で日本の役割は必須であることが、ジョン・ボルトン元ホワイトハウス大統領補佐官(国家安全保障担当)の回顧録でも確認された。そのような面で、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に触れたことは敗着の中の敗着だった。最悪の場合、米国が在韓米軍を日本に再配備する可能性も排除することはできない。経験上、日本は絶対に露骨に報復しない。
▼魏聖洛(ウィ・ソンラク)前駐ロシア大使=米中対立構図の中で捉えるべきだ。同盟管理に腐心している米国としては、今回の現金化問題で韓日関係が悪化すれば日本側に傾く可能性のほうが高い。今年下半期、習近平主席の訪韓で韓中が密着する姿まで加われば、決して韓国に有利だとはいえなくなる。主要7カ国(G7)のG11拡大も、既存メンバーである日本と対立しても何の得にもならない。日本との葛藤が深まれば韓国外交の行く先々で制約を受けることになる。
▼イ・ジョンユン元韓日経済協会副会長=韓日経済は相好依存性が高いため双方共に損害となる。日本の報復が本格化した場合、韓国政策当局はドイツなど第三国から代替輸入を増やせばよいというが企業は大きな内傷を負うことになる。経済は「費用-利益」を追求すべき問題だが、韓国企業は高費用で競争しなければならなくなる。米中通商摩擦に備えて東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など安全弁も作っておかなければならないのに、韓日関係が行き詰まっていて稼働に至っていない。
<危機の韓日関係、連続診断18>過去問題のくびきから解放されてこそ歴史和解に向かうことができる(2)=韓日ビジョンフォーラム
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