中国の習近平国家主席は今月１４日、文在寅（ムン・ジェイン）大統領に電報を送り、新型コロナによる被害への対応に慰労の言葉を伝えた。習主席は「両国はお互い助け合って同じ船に乗った友好国」とし「感染病には国境がなく、世界各国は同苦同楽する運命共同体」と表現した。しかし習主席の今月の外交日程を見ると、電報を送った目的は慰労だけではなかったということが分かる。伝染病を最初に経験したのをきっかけに、中国が「ポストコロナ時代」にグローバル主導権の掌握をするという信号弾だった。

習主席の中国は首脳外交と伝染病情報の共有、物資・医療スタッフ支援を前に出し、コロナ事態以降を狙った世界秩序の改編に速やかに動き出した。習主席は今月に入って航空移動が難しくなると、電報・電話を通じた「非対面」首脳外交に集中している。中国国営インターネットメディアの新華網・中国網・人民網と中国外務省の発表などによると、習主席は今月に入って２日間に一度の割合で首脳外交をしている。１２日には国連のグテーレス事務総長と電話で「中国人民の努力が世界各国に伝染病防除のための貴重な時間を稼ぎ、重要な貢献をした」と述べたのが始まりだった。新型コロナが全世界に拡大して「中国責任論」が提起される可能性が高まると、「中国貢献論」で対抗してこれを事前に遮断しようという意図とみられる。

１３日には欧州連合（ＥＵ）の行政執行機関である欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と首脳会議体である欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長にそれぞれ電報を送り、支援の意思を明らかにした。中国で新型コロナが大規模に拡大した先月１日、中国の李克強首相はフォン・デア・ライエン委員長に電話をかけて医療物資の緊急購買を助けてほしいと要請したが、状況が逆転した３月には習主席が電報だけを送った点が注目される。


習主席は文大統領に電報を送った１４日、イランのロウハニ大統領とイタリアのマッタレッラ大統領にも見舞いの電報を送って支援を約束した。１６日にはイタリアのコンテ首相に電話で慰労の言葉を伝えた。１７日には新型コロナパンデミック状況でも北京を訪問したパキスタンのアルビ大統領と首脳会談をし、スペイン国王のフェリペ６世には電報を送った。

１９日にはロシアのプーチン大統領と電話会談し、「中国は感染事態を完ぺきに克服できる自信・能力・判断力があり、国際防疫協力を拡大して全世界の保健安全を守る」と述べた。プーチン大統領は「中国は感染発生国に直ちに支援の手を差し伸べて国際社会に模範になった」と称賛し、「こうした行動は中国を挑発して泥を塗ろうとする国に明快な答えを提示した」と強調した。中国が世界各国を支援することで、新型コロナ伝播の責任を問う米国などに対抗した、と評価したのだ。

２１日にはドイツ・フランス・スペイン・セルビアの首脳と対話し、２２日にはアフリカのナミビア、２３日には英国・フランス・エジプトと相次いで接触した。特に注目されるのは、２３日に習主席がフランスのマクロン大統領と今年３回目の電話会談をし、グローバル防疫管理と開発途上国の支援を共同でしようと提案した部分だ。フランスと手を握ってアフリカ・中東で防疫・医療主導国になるという習主席の構想が見える。首脳外交での発言を確認すると、目的はさらに明確に表れてくる。中国がまともに初期対応できず新型コロナが世界に拡大したことに対して真相究明と責任の所在を問う動きを事前に遮断することに焦点を合わせている。さらに新型コロナ被害国に防疫・医療を支援し、対策を助言して親中国家にするという意図も見える。従来の一帯一路プロジェクトに「保健医療シルクロード」を追加する姿だ。伝染病危機をむしろ機会にして国際社会で影響力を最大化するということだ。


【コラム】文大統領に送った習主席の「コロナ電報」…慰労で包装した思惑（２）