欧州で始まった中距離ミサイル(INF=Intermediate-Range Nuclear Forces)の火がついに東アジアに移った。避けられない危険が近づいている。米国が日本と中距離ミサイル配備の協議を始めるからだ。朝日新聞によると、米高官は18日、日本を訪問し、防衛省と外務省の幹部と新型中距離ミサイルの配備について議論した。エスパー米国防長官はINF条約が終了した8月2日、豪州で「冷戦時代の軍縮条約(INF条約)から離脱しただけに、太平洋地域に数カ月以内に中距離ミサイルを配備したい」と述べてから2カ月ぶりだ。韓半島(朝鮮半島)を含む東アジア地域でミサイル競争が始まった。
米国の中距離ミサイル配備の動きに中国とロシアは強く反発している。中国はエスパー長官のミサイル配備発言に対し、国営環球時報(8月5日)を通じて「韓国・日本は米国の盾にも中国の敵にもなるべきでない」と警告した。韓国と日本が米国の中距離ミサイルを配備すれば中国は敵と見なすということだ。中国の魏鳳和国防相も21日、中国主導のアジア・太平洋地域安保対話の香山フォーラムで「(米国の中距離ミサイル配備は)地域の安保の不確実性を高めるだけだ」と述べた。ロシアはさらに激しい。ロシア下院のコサチョフ外交委員長は8月5日、タス通信のインタビューで「米国の中距離ミサイルを配備する国は潜在的な核攻撃目標になるだろう」と述べた。
INFがどういうものであって米国はアジア太平洋地域に配備しようとし、中露は激しく反発するのか。INF条約は米国のレーガン大統領と旧ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が1987年に合意した両国の軍縮条約だ。最も成功的な軍縮事例であり、この条約で射程距離500-5500キロのすべての地上発射および巡航ミサイルを廃棄した。
条約の締結過程はこうだ。1970年代、ソ連は米国と戦略核兵器の均衡を達成したと判断すると、当時の新型中距離ミサイルSS-20(5000キロ)を配備した。すると欧州が不安になった。米国は対応策として射程距離が短いパーシング2(1770キロ)ミサイルを欧州に配備して軍縮を提案した。パーシング2は正確度が30メートルの強力な武器だった。また不利になったソ連は米国の提案を受け入れた。
ところがロシアのプーチン大統領が問題を起こした。2008年から条約違反の中距離巡航ミサイルをまた開発したのだ。米国のオバマ政権が抗議したが、プーチン大統領は2017年から核弾頭を搭載したSSC-8(2500キロ)ミサイル100発を配備した。これに対しトランプ政権が「INF条約違反」として釈明を要求したが、プーチン大統領は応じなかった。プーチン大統領はむしろ新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備した。怒ったトランプ大統領は2月、INF条約からの離脱を宣言し、条約は6カ月後に終了した。
問題は今後だ。米国のINF条約離脱はロシアの反則がきっかけだったが、より大きな背景に中国のミサイルがある。INF条約国でない中国は莫大な予算を投じて中距離ミサイルを開発し、アジアの火薬庫になっている。しかし米国には中距離ミサイルがない。ハリー・ハリス駐韓米国大使は太平洋軍司令官時代、「中国がINF条約参加国なら弾道および巡航ミサイル2000発のうち95%は条約違反」と指摘した。中国が建国節の今月1日に北京天安門広場で公開した東風26(4000キロ)と東風21D(3000キロ)は韓日米にとって脅威だ。中国は中距離ミサイル500-1150発と核弾頭280個を保有している。
東風26はグアムまで飛行するため「グアムキラー」と呼ばれ、東風21Dは「空母キラー」と呼ばれる。中国東南側から白頭山(ペクドゥサン)近隣まで配備されている。白頭山付近の通化基地の東風21Dは韓半島(朝鮮半島)有事の際、韓国を支援する米空母を狙う。この基地の東風15(700キロ)は韓国打撃用だ。中国はこうした中距離ミサイルで韓国と日本の命綱となる海上輸送路(離於島-フィリピン)を2025年までに掌握するのが目標だ。中国が設定した第1列島線(日本南端-沖縄-フィリピンを結ぶライン)内側に入ってくる米空母を核弾頭ミサイルで破壊するということだ。拒否戦略だ。
中国の目標が実現すれば韓国・日本の貿易とエネルギー輸送は中国の影響圏に入る。東南アジア・インド・中東・アフリカ・欧州の輸出入物流量と石油がこの海上輸送路を通過するからだ。米国が東アジアを失うことも考えられる。事態が深刻化すると、米国は日本・豪州・インドなど共に中国に対応している。米国のインド太平洋戦略だ。生存がかかる日本は積極的だ。米国と中距離ミサイル配備協議に入った理由でもある。これに先立ち日本は米国とSM3ブロック2迎撃ミサイルを共同開発してイージス艦に搭載し、海岸にもSM3を配備して北朝鮮と中国のミサイルに対応している。しかし同じ立場の韓国はためらっている。すでにTHAAD(高高度防衛ミサイル)国内配備で中国の報復を受けているからだ。
<Mr.ミリタリー>東アジアはミサイル競争…韓半島がさらに危険に(2)
米国の中距離ミサイル配備の動きに中国とロシアは強く反発している。中国はエスパー長官のミサイル配備発言に対し、国営環球時報(8月5日)を通じて「韓国・日本は米国の盾にも中国の敵にもなるべきでない」と警告した。韓国と日本が米国の中距離ミサイルを配備すれば中国は敵と見なすということだ。中国の魏鳳和国防相も21日、中国主導のアジア・太平洋地域安保対話の香山フォーラムで「(米国の中距離ミサイル配備は)地域の安保の不確実性を高めるだけだ」と述べた。ロシアはさらに激しい。ロシア下院のコサチョフ外交委員長は8月5日、タス通信のインタビューで「米国の中距離ミサイルを配備する国は潜在的な核攻撃目標になるだろう」と述べた。
INFがどういうものであって米国はアジア太平洋地域に配備しようとし、中露は激しく反発するのか。INF条約は米国のレーガン大統領と旧ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が1987年に合意した両国の軍縮条約だ。最も成功的な軍縮事例であり、この条約で射程距離500-5500キロのすべての地上発射および巡航ミサイルを廃棄した。
条約の締結過程はこうだ。1970年代、ソ連は米国と戦略核兵器の均衡を達成したと判断すると、当時の新型中距離ミサイルSS-20(5000キロ)を配備した。すると欧州が不安になった。米国は対応策として射程距離が短いパーシング2(1770キロ)ミサイルを欧州に配備して軍縮を提案した。パーシング2は正確度が30メートルの強力な武器だった。また不利になったソ連は米国の提案を受け入れた。
ところがロシアのプーチン大統領が問題を起こした。2008年から条約違反の中距離巡航ミサイルをまた開発したのだ。米国のオバマ政権が抗議したが、プーチン大統領は2017年から核弾頭を搭載したSSC-8(2500キロ)ミサイル100発を配備した。これに対しトランプ政権が「INF条約違反」として釈明を要求したが、プーチン大統領は応じなかった。プーチン大統領はむしろ新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備した。怒ったトランプ大統領は2月、INF条約からの離脱を宣言し、条約は6カ月後に終了した。
問題は今後だ。米国のINF条約離脱はロシアの反則がきっかけだったが、より大きな背景に中国のミサイルがある。INF条約国でない中国は莫大な予算を投じて中距離ミサイルを開発し、アジアの火薬庫になっている。しかし米国には中距離ミサイルがない。ハリー・ハリス駐韓米国大使は太平洋軍司令官時代、「中国がINF条約参加国なら弾道および巡航ミサイル2000発のうち95%は条約違反」と指摘した。中国が建国節の今月1日に北京天安門広場で公開した東風26(4000キロ)と東風21D(3000キロ)は韓日米にとって脅威だ。中国は中距離ミサイル500-1150発と核弾頭280個を保有している。
東風26はグアムまで飛行するため「グアムキラー」と呼ばれ、東風21Dは「空母キラー」と呼ばれる。中国東南側から白頭山(ペクドゥサン)近隣まで配備されている。白頭山付近の通化基地の東風21Dは韓半島(朝鮮半島)有事の際、韓国を支援する米空母を狙う。この基地の東風15(700キロ)は韓国打撃用だ。中国はこうした中距離ミサイルで韓国と日本の命綱となる海上輸送路(離於島-フィリピン)を2025年までに掌握するのが目標だ。中国が設定した第1列島線(日本南端-沖縄-フィリピンを結ぶライン)内側に入ってくる米空母を核弾頭ミサイルで破壊するということだ。拒否戦略だ。
中国の目標が実現すれば韓国・日本の貿易とエネルギー輸送は中国の影響圏に入る。東南アジア・インド・中東・アフリカ・欧州の輸出入物流量と石油がこの海上輸送路を通過するからだ。米国が東アジアを失うことも考えられる。事態が深刻化すると、米国は日本・豪州・インドなど共に中国に対応している。米国のインド太平洋戦略だ。生存がかかる日本は積極的だ。米国と中距離ミサイル配備協議に入った理由でもある。これに先立ち日本は米国とSM3ブロック2迎撃ミサイルを共同開発してイージス艦に搭載し、海岸にもSM3を配備して北朝鮮と中国のミサイルに対応している。しかし同じ立場の韓国はためらっている。すでにTHAAD(高高度防衛ミサイル)国内配備で中国の報復を受けているからだ。
<Mr.ミリタリー>東アジアはミサイル競争…韓半島がさらに危険に(2)
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