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【時視各角】ポピュリズムの罠に掛かった大韓民国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国の現政権発足後からずっと抱いてきた疑問の一つがポピュリズム政権ではないのか、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はポピュリストかということだった。ポピュリズムの必読書『ポピュリズムとは何か』の著者、プリンストン大学のヤン=ヴェルナー・ミュラー教授はいくつか特徴を挙げた。大きく6つだ。すべて当てはまれば典型的なポピュリストだ。ちょうど1年前、その基準で文在寅政権を診断するコラムを書いた(ポピュリズム鑑別法、2018年10月4日付)。当時は明確でなかった。例えるなら、心証はあるが診断は下せない悪性腫瘍のようだった。1年が経過した後、確実になった。チョ・グク法務部長官事態のおかげだ。

(1)組分け=ウゴ・チャベス前ベネズエラ大統領の選挙スローガンは「チャベスがまさに国民だ。我々は数百万人であり、あなたもチャベスだ」だった。最近、執権陣営で浮上するスローガンも「200万人が集まった、私がチョ・グクだ」だ。組分けの頂点は司法の差別化、「差別的法治主義」だ。荒く表現すれば「私たちは無罪、あなたたちは有罪」だ。この基準で見ると、チョ・グク長官と彼の家族は当然、欠陥一つない「無罪」だ。

(2)自分たちは良い=野党当時は反対したが、執権すれば問題にしない。野党時代にはあれほど検察改革が至急だと訴えていたが、執権2年間は放置した。むしろ「積弊清算」を煽った。「他人の国民」には人権も他人事だった。子どもたちの前で家宅捜索にあったビョン・チャンフン検事、縄で縛られたまま法廷に立ったイ・ジェス機務司令官は自ら命を絶った。当時、チョ・グク民情首席秘書官や文在寅大統領は「人権」の「人」も口にしなかった。その大統領が今になって「人権尊重検察権行使」を話す。自分たちだけが国民で、チョ・グク長官だけが人権なのか。


(3)犠牲者コスプレ=執権後にも犠牲者のように振る舞う。主流でありながら非主流のように、多数でありながら虐待を受ける少数者のように行動する。そうしてこそ他人のせい、組分けをしやすい。チョ・グク長官は「歯を食いしばって出勤している」とし「自分が一日を生き延びるのが改革」と語った。権力の頂点にいながらも迫害を受ける弱者の振る舞いだ。このような姿勢は敵の鋭鋒を避けて反撃するのに有利だ。ポピュリストの戦略に通じているという意味だ。

(4)永久執権を夢見る=国民の正当な代表者は自身だけであるため永久執権を「当然」と考える。「法より国民の利益が先」と言いながら、それに合うよう選挙制度を変えて憲法を変えようとする。与党代表が「100年執権」を公然と話す理由だ。

(5)反エリート主義=ポピュリストは既得権に反対する。この政府は「主流勢力の交代」という。しかし権力を握れば同じく不道徳なことをする。ただ、罪悪感なく厚かましくするという点が違う。身内びいきも堂々とする。不正腐敗や不道徳を取り上げればポピュリストを攻撃できると信じるのはあまりにも単純だ。チョ・グク長官を見ればよい。彼は「国民が私を叱りながらもろうそくを手にした。驚いた」と語った。国民を利用するのもこれほどになれば達人の境地だ。もちろん彼が話した国民は「自分たちの国民」だ。5000万人のうち3000万人の反対は無視する。自分たちの国民ではないからだ。

(6)後見主義=「国家が(個人の生活の)責任を負う」と言う。支持を受ける対価に反対給付をする。文在寅政権は「国家が国民の生活を全生涯周期にわたり責任を負わなければいけない」と話す。このため3年間に予算を100兆ウォン(約9兆円)以上も増やしたが、不平等は深まり、中産層は減り、国の負債は増えている。

ポピュリズムの終着地は誰もが知っている。国を分裂させ、国民を分裂させ、財政を破綻させる。チャベスのベネズエラ、ペロンのアルゼンチンがリアルに見せた。前政権当時はそれでも日本化(Japanification)を心配していた。ベストセラーも『世界が日本なる』だった。この政権に入って経済のすべての指標が下降している。最後の砦となる輸出は前年同月比で10カ月連続で減少し、物価までがマイナスだ。デフレ懸念が広がり、「日本ほどで済めば幸い」という声も出ている。これほどになればいくらポピュリズム政権といえでも恥を知らなければいけない。

イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト



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