米国と中国の貿易紛争が激化の一途だ。トランプと習近平の2人の指導者のプライドをかけた戦いだ。銃を撃たなかっただけで戦争と違わない。流れ弾がどこへ飛んでいくか分からない。来月末、大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で合意に至らなければ、世界が大きな渦巻に巻き込まれるかもしれない。金正淑(キム・ジョンスク)大統領夫人が黄教安(ファン・ギョアン)自由韓国党代表とどうして握手をしなかった、などのような暇で子供じみたことを言っている場合ではない。米中交渉に注目しなければならない理由はもう一つある。両国の交渉はさまざまな面で米朝非核化交渉と似ている。今後、どのような状況が展開するのか予測することがとても重要な分析になる。共通点は3つ。
#1、米国と中国はともに時間が味方だと考えている。ちょうど米朝ともに非核化交渉を急いでいないのと同じだ。中国の1-3月期成長率は年率で6.4%。米国も2.4%で記録的な好況だ。両国が互いに25%の輸入関税を賦課する全面戦争に入ることになれば、中国が1.22%ポイント、米国が0.31%ポイント成長率に打撃を受ける(IMF予測)という分析も出ているが、両国はともに「その程度は全く問題にならない」と言って譲らない。互いに「プランB」を出さない。ハノイ以降、中長期戦態勢に突入した米朝と類似している。「政治」を考えるトランプと、「尊厳」を考える習近平の交渉スタンスも非核化交渉のトランプ-金正恩(キム・ジョンウン)と似ている。
#2、両国の顕著な認識および基準の違いも酷似している。中国は米国からの合意案草案をレビュー(検討)すると言っただけで、合意したことはないと主張する。米国の考えは全く違う。中国が貿易構造を改善する法的措置を検討すると言った時、米国は「法律改正(legislation)」という意味で受け取ったが、中国はそれより下位概念である「施行令(regulation)」として受け取った。非核化交渉で米国が「北朝鮮全体の核廃棄」を、北朝鮮が「寧辺(ヨンビョン)」に限定していることと似ている。グーグル・インテル・クアルコムを通じて中国の首を徐々に締めつけていくことや、国連経済制裁を通じて北朝鮮を圧迫していくことも同じだ。
#3、最後は「一つ間違えれば最も困ることになるのは韓国」という点だ。中国の対米輸出が急減する場合、中国向けに中間材を輸出している韓国が最大の直撃弾を受けることになる。対中輸出のうち、中間材比率が79%に達するためどうすることもできない。これを予想した金融市場の不安を、すでにわれわれは目にしている。ワシントンでは米中貿易交渉が決裂した場合、最大20%ほどウォン安になるとみている。1ドル=1350ウォンまで進むということだ。生産・消費の減少にくわえてウォン相場まで動揺すれば、韓国経済がどうなるかは火を見るより明らかだ。仲裁者を叫んだものの、ワシントンの無関心、北朝鮮の嘲弄、日本の無関心の中で孤立していく韓国外交と事情は同じだ。
事実、経済も外交も、韓国のスタンスに大きな共通点があるようだ。それが「限りない楽観論」だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今月9日、「1人当たりの所得3万ドル以上、人口5000万人以上の国家(30-50クラブ)のうち、(韓国が)米国に次いで成長率が高く、今でもそのような傾向が続いている」とバラ色の分析を出した。だが、それからたった10日後、われわれは「30-50クラブ(7カ国)で最下位」「経済協力開発機構(OECD)加盟22カ国のうち1-3月期の経済成長率が最下位」というみじめな「本当の成績表」を手にすることになった。大統領の話が物笑いの種に転落した。いっそ何も言わければよかったと思っただろう。ハノイ会談のわずか25分前まで米朝首脳会談の成功に自信を持っていたことと同じだ。経済も外交も暗雲が立ち込めていて、傘を準備するべきなのに、「バラ色の幻想」が大韓民国を覆っている。
経済は結果だ。リーダーシップは資質ではなく実績だ。トランプがどのようなほらを吹こうが、盛り上がる好況でどの店にも客があふれ、行く先々で「来年もトランプ!」を叫ぶ米国民の姿を見て、改めて感じる動かしがたい真理だ。
金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
#1、米国と中国はともに時間が味方だと考えている。ちょうど米朝ともに非核化交渉を急いでいないのと同じだ。中国の1-3月期成長率は年率で6.4%。米国も2.4%で記録的な好況だ。両国が互いに25%の輸入関税を賦課する全面戦争に入ることになれば、中国が1.22%ポイント、米国が0.31%ポイント成長率に打撃を受ける(IMF予測)という分析も出ているが、両国はともに「その程度は全く問題にならない」と言って譲らない。互いに「プランB」を出さない。ハノイ以降、中長期戦態勢に突入した米朝と類似している。「政治」を考えるトランプと、「尊厳」を考える習近平の交渉スタンスも非核化交渉のトランプ-金正恩(キム・ジョンウン)と似ている。
#2、両国の顕著な認識および基準の違いも酷似している。中国は米国からの合意案草案をレビュー(検討)すると言っただけで、合意したことはないと主張する。米国の考えは全く違う。中国が貿易構造を改善する法的措置を検討すると言った時、米国は「法律改正(legislation)」という意味で受け取ったが、中国はそれより下位概念である「施行令(regulation)」として受け取った。非核化交渉で米国が「北朝鮮全体の核廃棄」を、北朝鮮が「寧辺(ヨンビョン)」に限定していることと似ている。グーグル・インテル・クアルコムを通じて中国の首を徐々に締めつけていくことや、国連経済制裁を通じて北朝鮮を圧迫していくことも同じだ。
#3、最後は「一つ間違えれば最も困ることになるのは韓国」という点だ。中国の対米輸出が急減する場合、中国向けに中間材を輸出している韓国が最大の直撃弾を受けることになる。対中輸出のうち、中間材比率が79%に達するためどうすることもできない。これを予想した金融市場の不安を、すでにわれわれは目にしている。ワシントンでは米中貿易交渉が決裂した場合、最大20%ほどウォン安になるとみている。1ドル=1350ウォンまで進むということだ。生産・消費の減少にくわえてウォン相場まで動揺すれば、韓国経済がどうなるかは火を見るより明らかだ。仲裁者を叫んだものの、ワシントンの無関心、北朝鮮の嘲弄、日本の無関心の中で孤立していく韓国外交と事情は同じだ。
事実、経済も外交も、韓国のスタンスに大きな共通点があるようだ。それが「限りない楽観論」だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今月9日、「1人当たりの所得3万ドル以上、人口5000万人以上の国家(30-50クラブ)のうち、(韓国が)米国に次いで成長率が高く、今でもそのような傾向が続いている」とバラ色の分析を出した。だが、それからたった10日後、われわれは「30-50クラブ(7カ国)で最下位」「経済協力開発機構(OECD)加盟22カ国のうち1-3月期の経済成長率が最下位」というみじめな「本当の成績表」を手にすることになった。大統領の話が物笑いの種に転落した。いっそ何も言わければよかったと思っただろう。ハノイ会談のわずか25分前まで米朝首脳会談の成功に自信を持っていたことと同じだ。経済も外交も暗雲が立ち込めていて、傘を準備するべきなのに、「バラ色の幻想」が大韓民国を覆っている。
経済は結果だ。リーダーシップは資質ではなく実績だ。トランプがどのようなほらを吹こうが、盛り上がる好況でどの店にも客があふれ、行く先々で「来年もトランプ!」を叫ぶ米国民の姿を見て、改めて感じる動かしがたい真理だ。
金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
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