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【コラム】賢いIMF、笑う文在寅政権

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)政権に貴人が訪ねてきた。国際通貨基金(IMF)だ。最近韓国を訪れたIMF年次協議団は経済問題で支持率下落に直面した現政権が喜ぶ処方せんを提示した。

まずは大規模な補正予算の編成だ。韓国との年次協議結果発表文で「韓国の経済成長が中短期的に逆風を受けていて政策措置が必要だ」としたIMF協議団は記者会見で関連質問が出ると、「国内総生産(GDP)の0.5%を超過する水準」と明示した。韓国政府の成長目標(2.6-2.7%)を達成するには約9兆ウォン(約9000億円)台の補正予算が必要ということだった。

IMFは毎年、韓国政府にいくつかの政策助言をしてきたが、このように規模まで提示して補正予算を注文したのは異例だ。救済金融をしたという理由で財政支出にいちいち干渉した20年前の通貨危機当時を思い出させる。


補正予算の話は文大統領が今月初めに先に言及した。深刻な粒子状物質事態が民心離反につながると、補正予算を編成してでも粒子状物質を減らすべきということだった。しかし粒子状物質低減対策だけでは「ミニ補正予算」を超えるのに限界がある。

補正予算は成長率の数値を高めるのに最も良い手段だ。補正予算の正確な効果をめぐっては意見が分かれるが、政府が支出を増やせば当面の成長率は上がる。政府は内心悩んでいたはずだ。470兆ウォン(約47兆円)という歴代最大予算で新年を迎えたが、経済はうまくいかなかった。輸出は大幅に減少し、30-40代と製造業の雇用は急減した。ところが補正予算ほど効果が大きい浮揚カードはないと知りながらも3月に補正予算の話はできなかった。景気診断が間違っていたことを認める格好になるうえ、昨年12月に国会を通過した「スーパー予算」はまだ現場にまともに供給されていない。IMFの助言は内心願っていたことだ。IMFが「成長を支援すべき」として補正予算のお膳立てをしたことで、政府としては野党の補正予算反対を突破する名分を得ることになった。

さらにIMFは韓国銀行(韓銀)に向かって「韓銀は確実に緩和的な通貨政策基調にすべき」とし、事実上の利下げを促した。IMF側は「利下げをしても深刻な資本流出はないはず」「家計の負債は韓国政府のマクロ健全性措置でうまく対応できる」などの説明を付けた。利下げの副作用として考えられる資本流出と家計負債の危険性を一蹴したのだ。先月末「政策金利は依然として緩和的水準と引き下げを検討する段階ではない」と述べた李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁の認識とは距離がある。

もしかすると利下げ勧告こそ、現政権経済チームが喜ぶものだったのかもしれない。昨年下半期、不動産価格が急騰すると、与党関係者は朴槿恵(パク・クネ)政権当時の低金利が住居価格の暴騰と家計負債の原因だと韓銀を批判した。結局、韓銀は景気低迷と雇用危機の中、11月に金利を上げた。その後、景気回復のために利下げすべきだという主張は出てこなかったが、IMFがこれに言及したのだ。これから韓銀はIMFを背にした利下げ圧力に苦しむだろう。

IMFは韓国経済の雇用創出システムがなぜ故障したのか、企業の投資意欲がなぜ通貨危機以来の最低水準に落ちたのか、立場を明らかにしなかった。ただ、協議団が洪楠基(ホン・ナムギ)副首相に会って急激な最低賃金引き上げに懸念を表明したこと、洪副首相がIMFのそのような懸念を理解すると明らかにしたことだけが伝えられた。政府の防御論理がどれほど緻密だったのか分からないが、いずれにしても所得主導成長はIMFの批判を避けた。

実際、IMFの処方である補正予算編成と利下げは、景気低迷に対する鎮痛剤の役割はするが、雇用問題や投資危機を本質的に解決することはできない。急激な最低賃金引き上げや法人税引き上げなど企業を締めつける政策に対する根本的な修正なしには経済心理は簡単には回復しないだろう。

IMFは今回も「韓国経済はファンダメンタルズが堅調」と評価した。IMFは通貨危機に向かっていた1997年にも同じ評価をしたことがある。その後に韓国社会が経験した苦痛にIMFはいかなる責任も負わなかった。韓国経済がまた「ファンダメンタルズ論」に安心してしまわないか心配だ。

イ・サンリョル/経済エディター



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