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米国務長官に会わずジャガイモ畑に行った金正恩氏、なぜ?

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が白頭山(ペクドゥサン)付近の三池淵(サムジヨン)を訪問して現地指導をしたと、朝鮮中央通信など国営メディアが10日報じた。金委員長は最近、相次いで平壌(ピョンヤン)を訪問した米国のポンペオ国務長官(6-7日)、韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官(3-6日)に会わなかった。金委員長が意図的に2人に会わず平壌から北に636キロ離れた三池淵地域を訪問した可能性も排除できない。この場合、6・12米朝会談後の非核化交渉が進んでいない状況で金委員長の動き自体が対米メッセージとなる可能性がある。

訪問地が三池淵という点も注目される。金委員長は重要な決心をするたびに三池淵を訪問してきた。昨年12月に三池淵を訪れて白頭山の天池(チョンジ)に登った後、今年1月1日の「新年の辞」で平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)参加の意思を明らかにしたのが一つの事例だ。2013年には側近をつれて三池淵を訪れた後、叔母の夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長を処刑した。

三池淵は金委員長が愛着を抱いている場所だ。平壌ではなく元山(ウォンサン)で金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男として生まれた金委員長は、自分が金日成(キム・イルソン)主席、金正日総書記に続く「白頭血統」であることを強調するために三池淵を活用してきた。2016年には3-4年以内に三池淵を「革命の聖地」にするよう指示した。金委員長には自身の正統性と体制保証の基盤ということだ。


統一部の当局者は10日、記者らに「金正恩委員長が今年の新年の辞でも主要建設事業の一つとして三池淵郡への注力に言及した」とし「今回の公開活動も(このような脈絡と)関係があるとみている」と述べた。単なる現地指導でなく政治的な意味を込めた訪問ということだ。これは自分の正統性と体制保証を確実に約束すべきだという米国への無言のメッセージとも考えられる。

金委員長の今回の三池淵訪問は過去と比べて動きが異なる。まず訪問地域とメッセージが増えた。労働党機関紙の労働新聞が今回の訪問で金委員長が「最も関心を向けた問題」として紹介したのはジャガイモを栽培する中興農場だ。ここで金委員長は「三池淵郡をジャガイモ農業の見本単位に、農村の総合的機械化を実現した単位にすること」を注文したと、労働新聞は伝えた。続いて「金委員長はジャガイモ粉生産工場も視察した」とも報じた。住民の食料問題を管理する指導者の姿を見せたのだ。

こうした行動には北朝鮮が政権樹立日として大々的に記念する9月9日、いわゆる9・9節が2カ月後に迫っていることも念頭に置いていると考えられる。金委員長には住民が体感できる民生経済の発展が重要だ。しかし米国は非核化時点まで対北朝鮮制裁を維持するという立場を守っている。

ポンペオ長官は6、7日の訪朝直後、「最大限の圧力(maximum pressure)」という発言をした。こうした状況で自力で農業を発展させるという意志を見せ、同時に中朝国境地帯の三池淵で中国との経済協力の可能性まで間接的に見せたとも考えられる。金委員長が米朝首脳会談後の最初の公開活動として中朝の国境に近い新義州(シンウィジュ)・薪島( シンド)の化学繊維・化粧品工場などを訪れたのも同じ脈絡だ。

金委員長の今回の三池淵訪問で目を引く点はシラカバを植えることを指示し、「生態環境保存」を強調したことだ。金委員長は「三池淵郡山林緑化設計をうまく進めるべき」と述べ、金正日委員長が好んだシラカバを植えるよう注文した。

これは南側との山林分野協力のための分科会談を進めていることと関係があると考えられる。生態環境を強調しながら、同時に南側との山林緑化事業を強調する対南メッセージとも見なすことができる。北朝鮮メディアはこの日、金委員長の三池淵訪問を大々的に報じた。労働党機関紙の労働新聞は普段より2面多い8面に増やし、今回の金委員長の訪問を詳細に紹介した。うち5面が三池淵訪問関連の内容だった。



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