トランプ米大統領の訪韓を控え、情報当局が緊張している。トランプ大統領の訪韓期間（７、８日）に北朝鮮が軍事的挑発をする可能性があるからだ。

情報当局者は６日、「北が９月１５日に『火星１２』中長距離ミサイルを発射した後５３日間にわたり静かな状況が続いている」とし「２月１２日から１４回、１９発の弾道ミサイルを相次いで発射した北が最近になって挑発を中断したが、追加で挑発する可能性があり、偵察資産を総動員して北の動きを眺めている」と伝えた。

北朝鮮は太平洋上での水素弾試験カードで米国に圧力を加えている。金正恩（キム・ジョンウン）労働党委員長の声明直後に米国を訪問中だった李容浩（イ・ヨンホ）外相は「太平洋上の水素弾試験」を主張した。先月末には北朝鮮外務省のイ・ヨンピル米国研究所副所長が米ＣＮＮのインタビューで「李容浩外相の発言を聞き流してはいけない」とし「李外相は我々の最高尊厳（金正恩）の意中を非常によく知っているため、李外相の発言を『言葉通り（ｌｉｔｅｒａｌｌｙ）』に受け止めるべきだ」と述べた。


特に９月２１日に金正恩委員長が声明で「米国に火の味を見せる」と公言した後、いかなる動きもないという点も、当局を緊張させる要素だ。政府当局者は「金正恩委員長が自身の名前で米国に報復を明らかにする声明を出しておきながら挑発しないのがむしろ異例といえる」と話した。これを考慮すると、核・ミサイルで米国本土を攻撃する能力を備えたと主張し、戦略的地位を認めるよう要求している北朝鮮としては、トランプ大統領の訪韓が軍事的緊張を高める契機になる可能性がある。

北朝鮮は４月１６日、ペンス米副大統領の韓国到着９時間前にも咸鏡南道新浦（シンポ）から「火星１２」ミサイルを発射している。当時ミサイルは発射直後に爆発したが、当局は北朝鮮がペンス副大統領の訪韓を狙ってミサイルを発射したと分析した。

国家情報院は２日の国政監査で「平壌（ピョンヤン）にあるミサイル研究施設（山陰洞兵器研究所）で車が活発に動くなどミサイルを発射する可能性がある」と報告した。ただ、北朝鮮のミサイル発射や追加の核実験が迫っているような動きは見られないという。軍関係者は「北の軍の通常の動きが観察されている」と話した。

北朝鮮の挑発が予想される中、韓米情報当局だけでなく米軍もこれに備えている。米国はトランプ大統領の北東アジア歴訪に先立ち、空母３隻（「ロナルド・レーガン」「セオドア・ルーズベルト」「ニミッツ」）を韓半島（朝鮮半島）近隣に急派し、グアムのＢ－１Ｂ戦略爆撃機を韓半島に随時出撃させるなど、万が一の事態に対応している。

米政治専門サイト「ポリティコ」は４日（現地時間）、「米国政府がトランプ大統領のアジア歴訪期間に北朝鮮がミサイルを発射することを懸念し、事前に対応計画を立てた」と伝えた。

トランプ大統領も５日に日本に到着した直後、東京の横田空軍基地で「韓国戦争（朝鮮戦争）中に米軍のパイロットは横田基地の滑走路から飛んで侵略者を追い払った」とし「大変な勇気だった」と語った。このため北朝鮮の立場ではトランプ大統領の訪韓が挑発と対米圧力の機会になる可能性があるが、米国に軍事的行動の口実を与えることになるという分析もある。

高有煥（コ・ユファン）東国大北朝鮮学科教授は「今は北が沈黙しているが、戦略的地位を高めるはず」とし「軍事的挑発で制裁と圧力、軍事的行動の口実を与えるよりも、トランプ大統領の北東アジア歴訪後に国際秩序がどのように進行するかを眺めるという意味で、挑発よりは観望に重心を置くだろう」と予想した。