「原発ゼロでも日本は発展できる」。2011年3月11日の東日本大震災による福島第1原発事故の後、小泉純一郎元首相は「反原発伝導師」に変身し、全国を回って講演している。事故から6年が経過した今年3月には福島を訪問し、「安倍政権が原発スイッチを再び入れようとしている」と強く非難した。安倍首相に意向を伝えるのかという記者の質問には「話しても聞かない。変わらないようだ」と断言した。
6年前、津波のため原発が無惨に爆発する場面を目撃した当時の菅直人首相は全国のすべての原発の稼働を中断し、2030年まで「原発稼働ゼロ」を宣言した。世界で唯一原爆を経験した国として原子力に敏感に反応する日本国民の懸念を払拭するための決断だった。民主党の没落で2012年12月に発足した第2次安倍内閣もその基調を継続した。しかし最近になって安倍政権は脱原発政策を全面的に見直し、原発の再稼働を急いでいる。まず原発の安全を管理・監督する原子力規制委員会の動きが明確になった。
東日本大震災後に導入された「新規制基準」に基いて停止していた原発が一つ、二つと再稼働の準備に入った。九州電力の玄海原発3・4号機、関西電力が運営する大飯原発3・4号機など計8基の原子炉が相次いで安全審査を通過した状態だ。それだけではない。福島原発事故後にダブー視されてきた老朽原発の寿命延長と新規増設を本格的に進めているのだ。
最近の日本経済新聞によると、日本経済産業省は「エネルギー基本計画」を見直し、新規原発の増設を反映するための検討に入った。経済産業省は専門家の意見をまとめ、今年中に閣議決定まで終える計画だ。パリ協定に基づく炭素削減対策の準備と上昇する発電燃料単価を考慮すると、原子力の誘惑を振り払うのが難しい状況であるからだ。
日本政府は2050年まで地球温暖化ガスの排出量を80%減らすと公言してきた。このため原発の稼働を中止した後、化石燃料のうち相対的に炭素排出量が少ない天然ガスを代わりし使ってきたが、液化天然ガス(LNG)価格の上昇と依存度が問題に浮上している。また、脱原発陣営が「伝家の宝刀」のように考えてきた風力・太陽光など再生可能エネルギーの場合、敷地確保と費用の側面で限界が明白であり、需要に対応できないという判断だ。
安倍政権は全体の電源構成で原発の比率を2030年までに20-22%に引き上げる計画だ。現在稼働中の原子炉は4基。目標を達成するには原子炉約30基の完全稼働が必要だ。さらに原発の寿命は福島原発事故後40年に制限されている。実際、4月には原子力規制委が全国の原発の原子炉5基を2039-2045年までに廃炉処理するよう最終承認した。「40年ルール」に基づき老朽原子炉を廃炉しながら2030年に得られる最大発電量は電源全体の15%と予測される。新規増設しか答えがないということだ。
安倍政権が2030年以降の原発新規増設の必要性を提起するもう一つの理由は、LNG発電比率の急増による発電単価の上昇だ。原発事故前まで日本は年間6000万-7000万トン程度のLNGを輸入したが、毎年2000万トンほど追加で購入する状況を迎えた。実際、LNGの輸入拡大は日本を2011年から5年連続で貿易赤字にした張本人に挙げられる。また、LNG発電が増え、エネルギー自給率も2010年の19%から2015年には6%に急激に落ちた。その間、電気料金は家庭用が20%、産業用は30%近く上がった。
再生可能エネルギーの拡散速度も遅い。日本政府は再生可能エネルギーの電源比率も現在の14.9%から2030年には22-24%に高める計画だ。
しかし現実の壁は高い。NHKの経済報道番組『経済フロントライン』は最近、「採算が合わず日本国内で太陽光発電などをあきらめる事業者が続出している」と伝えた。2012年にはキロワット時あたり40円だった電力会社の再生可能エネルギー発電電気買い取り価格が今年に入って21円に落ちたからだ。日本当局は太陽光パネルなど設備単価が5年前に比べて半分以上落ちただけに買収価格の引き下げは避けられないという立場だ。
太陽光パネルや風力発電機を稼働するためには広い敷地が必要だが、適切な敷地の確保も難しくなっている。一部の電力会社では需要に比べ電力供給源があふれるという理由で地域内の太陽光電気の買い取りを拒否する事例までが生じている。
一方、再生可能エネルギーによる消費者の負担は増えている。電気料金にかかる標準家庭の1カ月の「再生可能エネルギー発電賦課金」が2012年の56円から今年は686円と12倍ほど上がった。結局、生産者・消費者ともに不満を抱く状況が続くということだ。
こうした状況の中でも原発拡大論に火をつけるのは安倍政権には負担となる。議会で野党が「原発ゼロ」を主張しながら強く反発し、世論も反対の意見がはるかに多いからだ。毎日新聞が3月に全国で実施した世論調査によると、原発再稼働への「反対」が55%と、「賛成」(26%)を圧倒した。
野党と市民社会は目の前に近づく老朽原子炉廃炉問題さえも解決できず原発を再稼働して新規増設まで論じるのは問題だと主張する。実際、日本政府は廃炉が確定した5基の原子炉から出る計2万6820トンの放射性廃棄物をどう処理するか答えを出せずにいる。特に放射能の半減期を勘案すると、地下70メートルで10万年間保管するべき使用済み核燃料棒(使用済み核燃料)など高レベル放射性廃棄物の場合、周辺住民の反発で処理場建設場所を確保するのが難しい状況だ。
こうした中、実際の原発再稼働と増設についてはLNGの価格が変数になると指摘されている。オックスフォードエネルギー研究所(OIES)のペク・グンウク研究員は「中国当局がパイプラインガス(PNG)を利用したように日本経済産業省は原発の再稼働をLNG供給業者との価格交渉過程でテコとして活用しようとするようだ」とし「将来、原発稼働率がどれほど上がるかはガス生産国との交渉結果にかかっているといっても過言でない」と述べた。
6年前、津波のため原発が無惨に爆発する場面を目撃した当時の菅直人首相は全国のすべての原発の稼働を中断し、2030年まで「原発稼働ゼロ」を宣言した。世界で唯一原爆を経験した国として原子力に敏感に反応する日本国民の懸念を払拭するための決断だった。民主党の没落で2012年12月に発足した第2次安倍内閣もその基調を継続した。しかし最近になって安倍政権は脱原発政策を全面的に見直し、原発の再稼働を急いでいる。まず原発の安全を管理・監督する原子力規制委員会の動きが明確になった。
東日本大震災後に導入された「新規制基準」に基いて停止していた原発が一つ、二つと再稼働の準備に入った。九州電力の玄海原発3・4号機、関西電力が運営する大飯原発3・4号機など計8基の原子炉が相次いで安全審査を通過した状態だ。それだけではない。福島原発事故後にダブー視されてきた老朽原発の寿命延長と新規増設を本格的に進めているのだ。
最近の日本経済新聞によると、日本経済産業省は「エネルギー基本計画」を見直し、新規原発の増設を反映するための検討に入った。経済産業省は専門家の意見をまとめ、今年中に閣議決定まで終える計画だ。パリ協定に基づく炭素削減対策の準備と上昇する発電燃料単価を考慮すると、原子力の誘惑を振り払うのが難しい状況であるからだ。
日本政府は2050年まで地球温暖化ガスの排出量を80%減らすと公言してきた。このため原発の稼働を中止した後、化石燃料のうち相対的に炭素排出量が少ない天然ガスを代わりし使ってきたが、液化天然ガス(LNG)価格の上昇と依存度が問題に浮上している。また、脱原発陣営が「伝家の宝刀」のように考えてきた風力・太陽光など再生可能エネルギーの場合、敷地確保と費用の側面で限界が明白であり、需要に対応できないという判断だ。
安倍政権は全体の電源構成で原発の比率を2030年までに20-22%に引き上げる計画だ。現在稼働中の原子炉は4基。目標を達成するには原子炉約30基の完全稼働が必要だ。さらに原発の寿命は福島原発事故後40年に制限されている。実際、4月には原子力規制委が全国の原発の原子炉5基を2039-2045年までに廃炉処理するよう最終承認した。「40年ルール」に基づき老朽原子炉を廃炉しながら2030年に得られる最大発電量は電源全体の15%と予測される。新規増設しか答えがないということだ。
安倍政権が2030年以降の原発新規増設の必要性を提起するもう一つの理由は、LNG発電比率の急増による発電単価の上昇だ。原発事故前まで日本は年間6000万-7000万トン程度のLNGを輸入したが、毎年2000万トンほど追加で購入する状況を迎えた。実際、LNGの輸入拡大は日本を2011年から5年連続で貿易赤字にした張本人に挙げられる。また、LNG発電が増え、エネルギー自給率も2010年の19%から2015年には6%に急激に落ちた。その間、電気料金は家庭用が20%、産業用は30%近く上がった。
再生可能エネルギーの拡散速度も遅い。日本政府は再生可能エネルギーの電源比率も現在の14.9%から2030年には22-24%に高める計画だ。
しかし現実の壁は高い。NHKの経済報道番組『経済フロントライン』は最近、「採算が合わず日本国内で太陽光発電などをあきらめる事業者が続出している」と伝えた。2012年にはキロワット時あたり40円だった電力会社の再生可能エネルギー発電電気買い取り価格が今年に入って21円に落ちたからだ。日本当局は太陽光パネルなど設備単価が5年前に比べて半分以上落ちただけに買収価格の引き下げは避けられないという立場だ。
太陽光パネルや風力発電機を稼働するためには広い敷地が必要だが、適切な敷地の確保も難しくなっている。一部の電力会社では需要に比べ電力供給源があふれるという理由で地域内の太陽光電気の買い取りを拒否する事例までが生じている。
一方、再生可能エネルギーによる消費者の負担は増えている。電気料金にかかる標準家庭の1カ月の「再生可能エネルギー発電賦課金」が2012年の56円から今年は686円と12倍ほど上がった。結局、生産者・消費者ともに不満を抱く状況が続くということだ。
こうした状況の中でも原発拡大論に火をつけるのは安倍政権には負担となる。議会で野党が「原発ゼロ」を主張しながら強く反発し、世論も反対の意見がはるかに多いからだ。毎日新聞が3月に全国で実施した世論調査によると、原発再稼働への「反対」が55%と、「賛成」(26%)を圧倒した。
野党と市民社会は目の前に近づく老朽原子炉廃炉問題さえも解決できず原発を再稼働して新規増設まで論じるのは問題だと主張する。実際、日本政府は廃炉が確定した5基の原子炉から出る計2万6820トンの放射性廃棄物をどう処理するか答えを出せずにいる。特に放射能の半減期を勘案すると、地下70メートルで10万年間保管するべき使用済み核燃料棒(使用済み核燃料)など高レベル放射性廃棄物の場合、周辺住民の反発で処理場建設場所を確保するのが難しい状況だ。
こうした中、実際の原発再稼働と増設についてはLNGの価格が変数になると指摘されている。オックスフォードエネルギー研究所(OIES)のペク・グンウク研究員は「中国当局がパイプラインガス(PNG)を利用したように日本経済産業省は原発の再稼働をLNG供給業者との価格交渉過程でテコとして活用しようとするようだ」とし「将来、原発稼働率がどれほど上がるかはガス生産国との交渉結果にかかっているといっても過言でない」と述べた。
この記事を読んで…