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【コラム】すでに我々のすぐそばに来ている先進国、しかし…=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
涼しくなると自転車に目がいく。始まりはソウル市の公共自転車。1000ウォン(約90円)を決済すれば自転車を24時間使用できる。ただ、特定人の自転車独占を防ぐため1時間以内に他の貸与所に返却して借り直さなければいけない。1時間があまりにも短ければ2000ウォンを出して2時間続けて使用できる。興味を感じて帰途に利用してみた。地下鉄の駅で借り、かごに書類がばんを入れた後、ペダルを踏むとすぐに漢江(ハンガン)。ネイバー地図の「自転車道探し」でどこから漢江に入れるのか、どこで返却すればよいのかを検索しておいた。

ソウルに暮らしながら享受できる最も大きな幸運は漢江だ。世界のどの都市に行っても都市を横切るこれほど大きな川は珍しい。セーヌ川のような素朴な川ではなく小さな海のような川の流れを眺めながら自転車道を走る。夏の間はずっと事務室のコンピューターの前にいたが、快適な初秋の風を浴びながら大都市の空を少しずつ染めていく夕日を見ると解放感を感じる。枝をぶら下げた柳、緑が広がる芝、ウィンドサーフィンを借りて川へ向かう少年たちの間を通り過ぎながら豪州のブリスベンを思い出した。ブリスベンの川辺にある市民の休息空間サウスバンクを歩きながら、この人たちがらが享受する生活に嫉妬を感じたが、いつのまにか我々もそれに劣らない美しい市民の空間を増やしていた。ハーバード大学の学生がレガッタの練習をする米ボストンのチャールズ川の秋だけが美しいのではなかった。事務室に座って遠方の美しい風景ばかり追憶する間、市民はすでに我々が持つ美しさを日常として楽しんでいた。

ソウルの森のそばを過ぎて中浪川(チュンナンチョン)を渡り、奉俊昊(ポン・ジュノ)監督の映画の『怪物(グエムル)』がいるような橋脚を過ぎ、漢江を渡った。生態公園の湿地を見物し、夜景が美しい汝矣島(ヨイド)水光広場噴水につくと、子どもが水遊びをしていた。国民所得がいくら、金メダルをいくつ獲得した、輸出をどれほどした、いつも聞いても分からなかったが、漢江沿いを自転車で走ってみると、我々も知らない間に本当の「先進国」になっていた。数百億ウォンずつ稼ぐ人たちと一緒に分けた平均数字でなく、美しい川と木、芝生、公園、道、一緒に使用する自転車が初めてそのように感じさせてくれた。あとは誰でも望めば日が沈む頃に川に出て、我々のすぐそばにすでに来ている、しかしみんなが一緒に楽しめていないこの「先進国」というものを享受できるようにすることではないだろうか。


ムン・ユソク判事/『個人主義者宣言』著者



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