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暑くていら立つ夏を迎える平壌(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
今月7日、米国と韓国は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系を配備すると発表した。朴槿恵(パク・クネ)大統領が説明したように今回の決定は軍事的な理由からだ。しかし、もう北朝鮮との対話に興味がなく、さらに強力な圧力が必要だという米国の政治的な意図も根底にある。米国は北朝鮮に食糧支援をする代わりに核活動を中断するという2012年の合意がうやむやになった後、新しい対話に出にくい立場だ。特に北朝鮮が誤った行動を続ける限り、オバマ米大統領の残りの任期中に行動をとるのはほとんど不可能だ。その代わり今月6日に米財務省が人権じゅうりん容疑で金正恩(キム・ジョンウン)委員長を制裁対象に指定するなど、さらに広範囲かつ厳格な制裁に動いている。したがってTHAAD配備は北朝鮮に対する制裁強化の一部と解釈される。

もちろん北朝鮮がTHAAD配備決定に激しい反応を見せているのは予測した通りだ。金正恩委員長を制裁対象に選定したことに対しても「宣戦布告」という反応を見せた。この表現は大変なことのように聞こえるが、実際、北朝鮮は1997年から少なくとも200回ほどこうした表現を使っている。したがって本当に攻撃が迫ったという意味でなくとも、北朝鮮が嫌がっているという意味として通じる。北朝鮮の最初の応答は今月9日の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射だった。翌日、北朝鮮は「(唯一の朝米対話通路である)ニューヨークチャンネルを遮断する最初の段階になるだろう」と発表した。14日にはTHAAD配備地域に核兵器を使用することも可能だと脅迫し、19日には東海(トンヘ、日本名・日本海)に弾道ミサイル3発を発射した。

中国が敵対的な最初の反応を出したのも完全に予測した通りだ。北京の保守派は以前からTHAAD配備が中国を刺激すると警告してきた。しかし極端な怒りは少しの間だった。中国はTHAADが配備される星州(ソンジュ)に向けてミサイルを照準すべきだと主張した環球時報の記事はすぐに新聞社のウェブサイトから消えた。その後、中国メディアでTHAADに関する話は比較的少ない。こうした種類の沈黙は、主に共産党指導部が事案について悩んでいることを意味する。


中国は考慮すべきことが多い。中国はTHAADのXバンドレーダーが北朝鮮より中国のミサイルに対する早期警報体系として作動すると考えるため怒りを抱く。しかし米国は日本にすでにこのレーダーを配備しているうえ、これを搭載したイージス艦を運用している。韓国にTHAADを配備したところで変わることはあまりない。また中国は公式には言及しないが、同盟国の北朝鮮の無責任でとんでもない行動がなかったとすれば、韓国がTHAADを配備しなかったという点を知っている。平壌(ピョンヤン)が北京を困惑させたのだ。

さらに中国はTHAADより重要な問題に直面している。今月12日に国連海洋法条約(UNCLOS)の仲裁裁判所は、中国の南シナ海九段線は無効だとし、暗礁の上に人工島を建設すべきではないと判決した。習近平主席の外交がまた深刻な挫折を迎えたのだ。習主席は経済成長の減速や腐敗との戦争など問題点を抱え、今年夏の元老との「非公式」会合の北戴河会議、来年冬の第19回党大会を行わなければいけない。

習近平主席と李克強首相を除いた政治局常務委員5人全員が引退する来年の党大会は、習主席には大きな試練となるかもしれない。反習近平勢力が強まる可能性もある。フィリピンに続いてベトナムも国連海洋法条約提訴の動きを見せているという点を勘案すると、習主席の主な関心事はTHAADではないだろう。THAAD発表による最初の衝撃は過ぎ去り、実際の配備が始まるまでは中国国内で大きなイシューにならないと予想されるからだ。習主席は来年の党大会まで配備されないことを願いながら、中国の外交力を国連海洋法条約問題に集めている。THAADに対してほとんどいかなる措置も取らないのは驚くことでない。(中央SUNDAY第489号)



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