「孤独な星」を意味するローンスター（Ｌｏｎｅ　Ｓｔａｒ）と聞けば、何を連想するだろうか。星一つが入った州旗を使う米国テキサスを思い出すかもしれない。「Ｌｏｎｅ　Ｓｔａｒ　Ｓｔａｔｅ　ｏｆ　Ｍｉｎｄ」というタイトルの音楽アルバム（１９８７）や映画（２００２、韓国では『テキサスの間抜け』というタイトルで上映）が思い浮かぶ読者もいる。韓国では断然、ローンスターファンド（ＬＳＦ）を思い出す人が多い。ローンスターは米ダラスに本部があるグローバル私募ファンドだ。１９９５年に創立したローンスターは６００億ドルにのぼる１５件の私募ファンドを運営している。

ローンスター問題ほど韓国と外国の見方が異なるケースは珍しい。また韓国ほどローンスターの悪名が高い国もない。悪夢が始まったのは２００３年だ。ローンスターは１兆３０００億ウォンを投入し、外換銀行を買収した。２００５年からローンスターは外換銀行を売却しようとしたが、２０１２年にハナ金融に３兆９０００億ウォンで売却するまで金融当局の許可が出なかった。その間、韓国でローンスターのイメージは失墜した。「莫大な利益を得た外国企業が税金も納めようとしない」という報道で韓国内の世論が沸いた。検察はローンスターに「全面戦争」を宣言した。

１０年ほど歳月が流れたが、戦争はまだ終わっていない。新たな戦闘が進行中だ。ローンスターが世界銀行傘下の仲裁機構である国際投資紛争解決センター（ＩＣＳＩＤ）に韓国政府を相手取り投資家－国家訴訟（ＩＳＤ）を起こしたのだ。ローンスターは５兆ウォン台の損害が発生したと主張している。不合理な課税のほか、当局の拒否による売却遅延を問題視している。韓国はいかなる問題もないという立場だ。最終判定が出るまで１年以上かかる可能性がある。仲裁裁判長は英国国籍のＶ．Ｖ．Ｖｅｅｄｅｒだ。彼は過去にローンスターに有利な判定を出したことがあると、韓国メディアは報じた。


どちらの言葉が正しいのか。審理が進行中の事案に関しては予断を避けるのがよい。ローンスター問題は極めて複雑だ。争点も多い。ローンスターに対するコメントはほとんどが極度に偏向的だ。ローンスターに対する韓国人と世界の他国の人々の間の認識の違いは懸念されるほど大きい。

韓国にはローンスターに対して良い表現がない。「吸血鬼」や「食い逃げ（ｅａｔ－ａｎｄ－ｒｕｎ）」などの言葉が多い。ローンスターは「韓国の国富を盗み出した強盗」という非難を受けている。銀行を救済したのではなく銀行強盗をしたということだ。

しかし外国の見方は全く違う。もちろん外国でも２００８年の金融危機以降は私募ファンドやヘッジファンドに冷たい視線を向ける人が少なくない。また、租税負担を減らそうと海外子会社を活用するのは非難の対象になっている。ローンスターの場合はベルギーにある子会社を動員した。



【外から見る韓国】ローンスターに対する外国と韓国の視線の違い（２）