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【社説】韓国は安全社会なのか、三流国家なのか(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
白いテントの中へ、人々が列をつくって入っていった。しばらくして号泣があふれ出た。

「私の息子を救って!救って」。

テントから出てきたある中年男性は、後に続いてきた若者に尋ねた。「○○ではないだろう?」「はい。違います」。ある中年女性は地面にどっかりと座り込んだ。「うちの子が来ません。うちの子が…」。ほかの女性は力なく独り言を言った。「あの子と一緒にいたはずなのに…」。


昨日(20日)、全羅南道珍島郡(チョンラナムド・チンドグン)の彭木港(ペンモク)港にある「身元確認所」には、不明者の家族が休む暇もなく集まった。息子や娘の顔を確認した家族は嗚咽し、確認できなかった家族は充血した目でテントから出てきた。

この日、セウォル号沈没事故の死亡者捜索と引き揚げが久しぶりに活気を帯びながら、彭木港は身を切るような悲しみと、悶々とした待機が交錯していた。事故前は閑静だった港も、救急車や放送局の中継車、ボランティアのテントなどで昼夜を問わず渋滞と混雑をなしている。「家族支援状況室」の建物向い側にある「死亡者名簿」現況版には、死亡者の人相や着衣が新しく書かれるたびに、家族らが集まっては散っていく。

こうした状況が5日も続きながら、不明者の家族には疲れも見え始めている。期待は挫折に、悲しみは怒りへと変わっている。珍島室内体育館にいた家族は、昨日明け方「政府が信じられない。朴槿恵(パク・クネ)大統領に会わせてほしい」と要求してきた。家族代表100人余りが観光バスに分乗して青瓦台に向けて出発しようとしたが、警察が制止すると荒々しい抗議をしながら体当たりした。その過程で彼らを引き止めようときた鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相が2時間以上、車内に閉じ込められもした。チェ・サンファン海洋警察庁次長も一昨日(19日)午後、室内体育館で会見を行ったが「なぜ同じ話ばかり繰り返すのか」という家族の反発で会見を中断せざるをえなかった。

このように政府に対する家族の不信が大きくなったのは、政府の災難対応能力があまりにも簡単に限界を見せているためだ。事故直後「(生徒)全員救助」という誤った発表が出てきたのに続き、中央災害安全対策本部(中対本)の出遅れた対処が非難の的になった。さらに乗船者・不明者・死亡者・救助者の集計が数回訂正されて、部署間の行き違いの中で捜索まで出遅れながら不信の悪循環に陥ってしまった。安山(アンサン)檀園(ダンウォン)高校の保護者は「今まで政府がしたことは、私たちの要求を後追いしているだけではないのか」と反問していた。



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