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【噴水台】「文化輸出」の強迫のために韓国固有の感性を犠牲にしてはいないか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・フェリョン記者。

「K-POPスター」(SBS、ソウル放送)というオーディション番組をたまに見る。歌の競演だが、歌を期待して見るのではない。若い仲間たちの挑戦と努力、毎段階成長する姿がほほえましくて見ごたえがあるからだ。脱落者たちを見ると残念だが、その一方では彼らのためには良かったという気持ちにもなる。歌さえうまければ誰もが歌手になれるわけじゃないという現実を早く悟って、新しい人生を探すのも大切なことだからだ。

ところで前回、初めて参加者の歌に鳥肌が立つほどの感動を感じた。参加者ホン・ジョンヒさんが歌手チェ・ペクホの『ロマンについて』を歌った時だった。その瞬間「そうだ。私たちにはこんな歌があった」という思いがハッと浮かんだ。感動が大きかったのか彼女の脱落の瞬間、当事者も淡々としていたが私1人が涙を流して大げさに感動していた。専門家の審査委員パク・チニョン氏は「感動的ではなかった」が、私の「感動のツボ」は何だったのだろうか。私が非専門的である上に好みが古臭かったからなのだろうか。

そうするうちにとんでもない理由の1つが浮かんだ。4年前、韓国料理の国際化を標ぼうして有名シェフが料理バトルを行う『シェフバトル』というコーナーがあった。当時、1つのチームが韓牛で洋風ステーキをつくったが、試食をしながら皆、言葉を忘れるほどだった。今まで肉の味をこんなふうに生かしておいしく料理したものを食べてみたことがない。しかし結果は相手チームの勝利。もちろんそのチームは立派だった。韓国料理を応用し、各地の特産物を発掘し、アイデアも最高だった。韓国料理の国際化の趣旨にぴったり合っていたので結果は当然だった。ところが今になって、ふと気になる。「味と材料を扱う内面性で評価していたら結果はどうだったのだろうか」、「なぜ私たちは料理バトルで味や食べ物の基本に集中できなかったのだろうか」。使命感あるいは強迫観念のようなものがあった。外国人に韓国のものを紹介して、韓国料理を国際化するにはどうすべきかという強迫。それで食べ物の基本である味と材料に対する内面性にプラスの点数を与えなかった。


考えてみると、しばらく歌を聴かなくなっていた。もちろんK-POPスターの国威宣揚のニュースはほほえましい。1つ、彼らの歌はよく分からないし、率直に言って感動がない。そうしているうちに今回のステージを見ながらK-POPが歌うK-POPではなく歌唱力の優れた韓国人の歌手が歌った韓国歌謡、私たちの情緒に濃厚に訴えて胸をジーンとさせるように感性を揺さぶって癒す歌があったということを改めて思い出した。そして気になった。ひょっとして私たちは、外国人がソウル、R&B、ヒップホップなどを混ぜ合わせた洗練されたK-POPが好きだという言葉に、ねばっこくて濃い韓国の歌をあきらめたのではないのか。外国人らとトレンドは共有しても底辺にある情緒まで共有することは大変だという点で、文化輸出の強迫に韓国の情緒を犠牲にしたのではないのか。K-POPの洗練美に韓国の歌謡の馬鹿正直な情緒はやぼったいとして目を背けたのではなかったのか。そして、こういう洗練された歌を聴いて私たちは十分に幸せだったのかということだ。

ヤン・ソンヒ論説委員



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