サムスン、ＬＧ、ポスコ、ＳＫ…。

名の知られた韓国代表企業の名簿だ。しかし最近この名簿は大小の事故を起こした不名誉企業のリストになった。今年に入り対外的に知らされた企業の安全事故は９件。このうち６件は今月に起きた。４日に１件ずつだ。２２日には同時多発的に事故が起こった。午前１０時にＳＫハイニックス清州（チョンジュ）工場で塩素ガスが漏れ、同日午後８時にはポスコ浦項（ポハン）製鉄所では火災が起きた。ポスコが世界に誇ってきたファイネックス工場の溶融炉でだ。午後１０時には慶尚北道亀尾（キョンサンブクド・クミ）のＬＧシルトロンの工場でフッ化水素酸などが流出する騒動が起きた。１４日に麗水（ヨス）で起きた大林（テリム）産業での事故に対する収拾がまだ終わる前にだ。事故状況を報道する記者らは「またか」を連発した。市民の心配ははるかに大きい。ソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）には「安全に対する感覚は喪失したのか」「日本で地震により化学物質が漏れ出たという話は聞いたことがない。韓国は地震よりも恐ろしい安全不感症を持って生きている」などの書き込みが相次いだ。

事故の前後を確かめるとこのような心配はさらに大きくなる。亀尾のＬＧシルトロン工場は２日にも同様の事故が起きた所だ。これまでに把握された漏出原因は配管に開いた穴という。世界的に名前が知られた企業で配管の穴ひとつまともにチェックができないのだ。１月にフッ化水素酸漏出事故が起きたサムスン電子華城（ファソン）事業所に対する政府の特別監督では１９３４件の産業安全保健法違反事例を摘発した。世界１位を受けた安全成績表にしてはみすぼらしい。後処理はもっと問題だ。約束でもしたかのように事故は遅い通報と隠蔽議論がつきまとう。インターネットに上げられた市民からの情報を見て消防当局が収拾に出たという。企業は一様に「誤解だ」「迅速な措置をした」と抗弁する。


しかしこれらは昨年亀尾でフッ化水素酸事故を起こした中小企業とは違う。ああだこうだ悪口を言っても国民がそれでも信じて頼る企業だ。その上海外事業の割合が絶対的な大企業は国のイメージとも直結する。大企業の安全事故が国全体の信頼問題につながるのもそうした理由だ。最近の事例で見るように産業現場の事故は人命と地域社会の安全まで脅かす問題になりかねない。そのため安全管理は企業活動の基本だ。米国は１９７６年、ドイツは９１年から危険物質流出事故に対し厳格な企業責任主義を採択している。企業を信じてその工場のそばに住むことが安心できる企業、事故が起きても迅速ですっきりと後処理をする企業、それがグローバル企業の基本だ。