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【グローバルアイ】安倍の涙、安倍の笑み

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
安倍晋三日本首相の今年最初の外出は映画館だった。 新年の連休中、東京・六本木の映画館で昭恵夫人と「レ・ミゼラブル」を見た。 安倍首相は自他ともに認める映画好きだ。

毎日新聞の記者が尋ねた。 「(レ・ミゼラブルを見て)泣きましたか」。「年取って涙もろくはなったが、あれでは泣かなかった。女房は泣いていたが。この前、DVDで『サッチャー』を見たが、あれはなかなか…」。

記者がまた尋ねた。 「どの場面でグッときましたか」。「一つは、フォークランド紛争に勝利をおさめた後、英下院で国民に団結を呼びかけるシーン。もう一つは、歳出カットで国民的批判を浴び、激しく攻撃されながらも初志を貫き通すところだった」。


「安倍の涙」は、安倍首相の性向と志向点を示唆している。 不条理に抵抗して社会的弱者の側に立つことには大きな関心がない。 より大きくて強い国家をつくることに感動している。 横や後ろを見るよりも、遠い先を見て疾走する。 そっくりだ。 激しい国内の抵抗にもかかわらず日米安保条約締結を強行した岸信介のことだ。 「安倍の涙」は、7月の参議院選挙勝利後、心を決めて貫こうとする平和憲法改正の予告編だ。

一方、「安倍の笑み」は進行形だ。 日本の株価は昨年11月から2カ月間で30%も上がり、日本円は15%ほど値下がりした。 11週連続の株価上昇は、なんと1971年以来42年ぶりのことだ。 今年の為替レートを1ドル=78円に設定した日本企業は大きな為替差益を手にすることになった。 このため、誰もが「安倍首相はうまくやっている」と歓呼している。 安倍首相としては気分が良いはずだ。

中央銀行の首を捻って金融を緩和するという、荒っぽい「アベノミクス」(安倍首相の経済政策)に西側諸国は警戒と懸念を送っている。 しかし日本国内でその声はあまり響かない。 「円高時代、私たちが欧米に不平を言ったことはあるのか」「15年間のデフレから抜け出そうとしているのに何の文句があるのか」ということだ。

「安倍の涙」「安倍の笑み」はともに軽く受け流すことではない。 隣国の憲法が若干変わり、為替がいくらか動いたという次元の問題ではない。 核心は日本という国と国民が急速に自信を回復している点だ。 先週末NHKでは、日本のある大手電子企業が倒産危機の中、中国と韓国に大逆転して復活するという内容のドラマ「メイドインジャパン」が始まった。 ソニーを描写したのか、パナソニックをモデルにしたのかは知らないが、絶妙のタイミングだ。 日本の政府・市場・メディア、そして国民がお互い肩を組んで呼吸を合わせていく様相だ。 少なくともこの10年間には見られなかったことだ。 だから緊張する。 日本は私たちが考えているような“終わった”国ではない。

金玄基(キム・ヒョンギ)東京総局長



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