俳優のキム・レウォンが、初めて映画「仁寺洞（インサドン）スキャンダル」（サムジ・アイビジョン、パク・ヒゴン監督）のシナリオに接したのは、ドラマ「食客」の撮影がスタートする前だった。

いくら考えても素晴らしいストーリーだった。劇中、美術品を復元する専門家のイ・カンジュン役にも魅了された。いつかは一度演じてみたかった役柄。しかしドラマを決めた時点だったことから、惜しくも断らざる得なかった。


それから数カ月が過ぎ、「食客」の撮影が終わるころ、映画会社から再びラブコールがあった。もうためらう理由がなかった。直ちに電話をかけ、やりたいという気持ちを伝えた。こうしてイ・カンジュンはキム・レウォンと出会った。

「映画会社のチョン・ホジン代表とは、前作『ひまわり』をした経験と信頼があって、惑わなかった。そして、イ・カンジュンがあまりにも魅力的な人物だった。ただ立っているだけでも魅力的な男を演じるのはとてもうれしい」。

その日から直ちに撮影の準備に入った。当日、京畿道果川（キョンギド・クァチョン）の現代美術館を訪問し、美術品復元専門家に会った。色あせた東洋画を破いた後、完璧に復元する技術を見てビックリした。よく見たが、継ぎはぎの部分が全く見当たらないのが信じられなかった。継ぎはぎ・裏打ちなど魔術のような復元の世界を体験した。こうしたトレーニングをもとに、映画の中の復元シーンをすべて自分でこなした。

「ちょっと照れる話だが…専門家を演じるため自宅で画仙紙に絵を描く練習をたくさんしていたら、後になって床の柄やシャワー室のタイルのマーブル柄などがどれも、東洋画の山や川のように見えてきた。そして、現代美術館の先生からも“今後、美術館で働くのはどうか”とまで言われるようになった」（笑い）。



キム・レウォン「“仁寺洞スキャンダル”が新たな出発点」（２）