各国政府が景気低迷克服のため、今後総額２兆２１００億ドル（昨年末発表基準）を投入する計画だ。これは２００７年の世界の経常国内総生産（ＧＤＰ）の４％に達する規模だ。こうして金融危機を治癒する過程で政府の介入が拡大するものと予想した。また主要２０カ国（Ｇ２０）を中心に金融システムを改革するための議論が本格化するものとみられる。国際原材料価格は上半期までは弱まると分析した。

◆産業構造調整本格化＝研究所は消費心理冷え込みで産業景気は全般的に不振になるとみている。最終消費財産業のうち自動車が昨年より悪化（需要４．３％減少）し、家電や携帯電話部門は低迷を示すものと分析した。また国際競争力がある企業を中心に産業改編が本格化するものと予想した。特に１２月にデンマークのコペンハーゲンで開かれる気候変動当事国総会で「ポスト京都議定書交渉」が完了することで、グリーン市場を先取りするための競争が激しくなり、市場が拡大すると分析した。世界銀行によると、炭素排出権市場の規模は昨年の６４０億ドルから２０１０年には１５００億ドルに成長するものと予想される。

◆多元主義の拡散＝米国でオバマ氏が次期大統領に当選したのを契機に、政治・経済・文化など多様な分野で多文化と多人種を受け止めようという努力が広まるものとみている。欧州とアジアでも外国人と移民者などに対する包容が一層拡大するとの説明だ。最近世界の美術市場でアジア系作家の作品が旋風的な人気を呼んでいるなど、多元主義は各分野に広がっている。また米オバマ政権の協力外交で大国間の緊張が緩和するとの見方を示した。ただ中東と韓半島の不確実性は続くものとみている。

「世界の金融危機沈静化するが不況は深刻化」（１）