フランス極右指導者で国会議員のマリーヌ・ル・ペン氏と、極右政党・国民連合(RN)のジョルダン・バルデラ代表が、6月9日(現地時間)、フランス・ロワレ県モルマン=シュル=ヴェルニソンで開かれた行事で舞台に上がり手を振っている。[写真 ロイター=聯合ニュース]
フランスでは極右政党・国民連合(RN)が昨年から実施された各種世論調査で30%を超える支持率で首位を走っている。フランス世論調査機関エラブが7月に発表した結果では、RNのジョルダン・バルデラ代表が大統領選に出馬した場合、大統領選1回目投票で36%の支持率を得るという予測が出た。
英国では、極右・ポピュリズム色の強い英国改革党が支持率でトップだ。今年5月の世論調査で支持率29%を記録し、与党の労働党(22%)、第1野党の保守党(16%)を上回った。ドイツでは、8月25日(現地時間)に実施された世論調査機関フォルサの調査結果で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が26%の支持率で与党のキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)(25%)を抑えた。
イタリアやオランダなど、他の欧州諸国ではすでに極右・反移民政党が政権獲得に成功している。しかし、欧州で経済規模が最も大きな英国・フランス・ドイツで極右・ポピュリズム政党が並んで支持率トップを記録し、政権獲得の可能性が高まったのは過去初めてのことだ。
変化の原因は他の欧州諸国と変わらない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「専門家は、コロナ禍以降に欧州で移民が増え、物価が急騰したことで市民の不満が大きくなったことを主要な理由と見ている」と伝えた。
昨年、英国で受理された亡命申請件数は10万8100件で、前年比20%増加した。ドイツもまた、外国出身住民の比率が2017年の15%から2024年には22%に跳ね上がった。フランスでも昨年末から国境統制を強化する移民法が必要だという声が高まっている。
一方、経済は成長が停滞するなかで物価だけが上昇した。SNSを通じた世論の両極化は反エリート感情を増幅させた。コンサルティング会社マクラーティ・アソシエイツのジェレミー・ガロン欧州担当は「景気停滞と急激な移民が結びついた悪循環が、有権者を既成政党に対する反感へと導いた」と述べた。
これを受け、極右政党は反移民感情の刺激に熱を上げている。英国改革党は政権を取れば5年以内に不法移民60万人を追放すると公言している。AfDは不法移民追放とドイツの欧州連合(EU)離脱などを掲げ、RNも反移民・反イスラムのスローガンを前面に押し出している。
3カ国の中で最も火急なのはフランスだ。フランソワ・バイル首相は公的債務の解決のため、8月15日に支出凍結(国防予算を除く)、法定祝日の廃止などを含む財政緊縮案を打ち出した。しかし世論と野党の反発が強まると、8日に信任投票で正当性を確保しようとしている。
だが仏メディアはこれを「自殺行為」と評している。議会の多数を占める左右野党が不信任投票を行い、バイル内閣が崩壊する可能性が高いためだ。その場合、エマニュエル・マクロン大統領は早期総選挙を行うことができるが、支持率トップを走るRNなどが議会の主導権をより強く握ることにもなり得る。後任の首相を指名するとしても、野党の反対を突破するのは容易ではない。
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