国際通貨基金（ＩＭＦ）が韓国で１９９７年のような通貨危機が発生する可能性は小さいと診断した。韓国経済の基礎体力（ファンダメンタルズ）も堅固だと評価した。ただ今後の韓国経済のアキレス腱として公共負債を挙げた。

ＩＭＦアジア太平洋担当局長のクリシュナ・スリニバサン氏は２５日の記者懇談会で、「韓国は今年国内総生産（ＧＤＰ）の４％水準の経常収支黒字を出すと予想する。ＧＤＰ基準４０％程度の純対外資産と２５％水準の外貨準備高を確保しているだけにファンダメンタルズは堅固だ」と明らかにした。

彼は最近のウォン安の原因としては韓米の金利逆転を挙げた。彼は「韓国はアジア諸国でいち早く緊縮に出たが、米国との金利逆転は為替相場に否定的影響を及ぼしかねない。ウォンは主要国と比べ最も劣勢を見せる通貨のひとつだが、米国の通貨緊縮加速にともなう金利差が大きくなりドルがアジア通貨に対し強くなっているため」と話した。


ただ１９９７年のような通貨危機が発生する可能性は小さいと診断した。スリニバサン氏は「通貨危機当時の韓国のＧＤＰ比外貨準備高比率は４％にすぎなかったが、いまは２５％で、短期対外債務比の外貨準備高比率もいまは３倍に拡大した」と話した。彼は経常収支と純対外資産、堅固な金融部門回復力などに言及し「全体的に非常に良い環境」と韓国経済の状況を評価した。

彼は「公共負債領域が懸念される。政府負債がＧＤＰの５５％水準まで増えたが、韓国政府はこの数値が６０％を超えないよう管理しなければならない」と強調した。

韓国経済の信管と指摘される家計負債に対しては、「増加傾向ではあるが主に住宅担保貸付の上に住宅担保認定比率（ＬＴＶ）や総負債元利金償還比率（ＤＳＲ）など慎重に管理されているだけに家計負債リスクは非常に少ないと判断している」と話した。

インフレ（物価上昇）抑制に向けた緊縮が引き起こす景気鈍化の懸念と関連しては「金利引き上げで成長率見通しが低くなるかもしれないが、インフレに正面から対応することが重要だ」と強調した。彼は「消費者物価上昇率（前月比）が今年ピークをつけた後、２０２４年ごろ目標水準に戻るだろう」と予想する。

ＩＭＦが予想した今年の韓国経済成長見通しは２．６％、来年は２．０％だ。来年の成長率は４月の見通しより０．９ポイント低くなった数値だ。