米国の対中制裁に中国も「歯には歯を」で同じく真っ向から対抗する戦略を固守しているというが、実際に中国が取っている対米制裁は過去の制裁の再版で力が落ちる場合が多いと中華圏のネットメディア「多維」が１１日に報道した。事実上手ぬるい制裁に近いという話だ。

代表的なケースが１０日に中国外交部が発表した米政治家と非政府組織（ＮＧＯ）関係者１１人に対する制裁だ。これは米財務省が７日に香港の政治的自由抑圧を理由に中国と香港の高官１１人を制裁したことに対する対抗措置だ。

米政府は香港特別行政区のトップである林鄭月娥（キャリー・ラム）行政長官をはじめ中国国務院香港マカオ事務弁公室トップの夏宝竜主任ら多くの大物を制裁対象に上げた。また、彼らの米国内資産凍結と取引禁止を明確にした。


しかしこれに対する反発で中国が１０日に発表した１１人の米高官は重量感が落ち、一部は制裁が重複するので目新しくないと指摘を受ける。中国の制裁対象には米議員６人とＮＧＯ関係者５人が上げられた。

ところが６人の議員のうち、テッド・クルーズ議員、マルコ・ルビオ議員、クリス・スミス議員の３人はすでに制裁対象になっている人物だ。７月初めに米財務省が４人の中国官僚を制裁する際に中国もそれに対抗する報復としてこの３人の議員を制裁すると明らかにしている。

また、今回制裁対象になったＮＧＯ関係者のうち、ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス事務局長とフリーダム・ハウスのアブラモビッツ会長もすでに昨年１２月から中国政府の制裁対象に上がっている人物だ。

ロス事務局長は１月から中国への入国が禁止されている状況だ。今回の中国の対米制裁対象の個人と団体が過去の制裁対象の焼き直しという話が出る背景だ。中国外交部の趙立堅報道官はまた、制裁の具体的な内容も明らかにしなかった。

最も決定的なことはトランプ米大統領の核心参謀に対し中国がだれも手を出せないということで、こうした中国のスタイルは米国との対立を拡大したくないという中国の本心を示すものだと多維は分析した。

しかし中国環球時報の胡錫進編集長は１１日、「米関係者１１人の制裁リストは非常に正確に選んだものであり、叩く力も強い」と話し、中国政府の措置は無条件で正しいと支持する中国国営メディアの属性を改めて赤裸々に示した。

一方、今回の米中の制裁合戦の飛び火が林鄭月娥行政長官の息子に飛び、学業に問題が生じたとみられると香港メディアの伝真社が９日に報道した。林鄭月娥長官の次男の林約希氏は現在米ハーバード大学で博士学位課程を踏んでいる。

ところが７月末に友人に「家に緊急なことが起こった」として香港に戻るとの言葉を残して連絡が途絶えたという。学業を継続するには現在暮らしている米国の家に対し再契約をしなくてはならないが、７日現在まだ再契約をしていない状態という。

林鄭月娥長官は８日、米国の制裁に対して「私の米国ビザは２０２６年まで有効だが米国に行く意思はなく自発的に抹消できる」と大見得を切ったが息子に余波が及んでいる。