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【コラム】財閥のない台湾vs財閥のある韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
台湾を訪れる機会があった。1990年代まで韓国と競争しながら高度経済成長をした国だ。両国ともに輸出主導成長戦略だった。異なる点はその尖兵として台湾は中小企業を、韓国は財閥をそれぞれ育成したという事実だ。

経済に暗雲が漂っているのは韓国も台湾も同じだった。ところが台湾の財界人は意外にも「韓国の選択の方がよかった」という話をよくする。「台湾経済はすでに中国というブラックホールに吸い込まれて自活力を失ったが、韓国は財閥という軸があってよく持ちこたえている」という反応だった。

台湾人は2001年以降、「失われた19年」を過ごしていると嘆く。経済が滑り落ちていく大沈滞を迎えている。経済成長率は2012年以降1-2%台にとどまっている。


さらに深刻なのはデフレーション(物価下落)だ。2002年に消費者物価上昇率が-0.2%となった後、物価は毎年0-1%台の上昇にとどまっている。賃金もほとんど上がらず、大卒の初任給は17年前から変わっていない。「すべてが停滞している」という声が出る理由だ。実際、台湾の首都の台北ではビルを建設するクレーンがほとんど見えない。スカイラインが10年以上も同じだ。

何があったのか。台湾の中小企業は2000年代に入ると安い賃金を求めて中国本土に工場を移した。iPhoneを生産する鴻海精密工業などの大企業も中国に投資を集中した。2010年代に入ってからは人材までも流出した。中国に行けば仕事が多く、多くの賃金を受けることができるからだ。IT(情報技術)高級人材の場合、3-4倍の賃金提示でスカウトされたりもした。現在100万人以上の台湾の人材が中国本土で仕事をしている。このように台湾の企業と資金、人材が中国に吸収された。

台湾の中小企業はグローバル企業に成長するのに限界があった。技術力の優位が大きくない中、単純部品の生産および組み立てに重点を置いたからだ。現在、台湾の1人あたりの国民所得は2万5000ドル台にとどまっている。

韓国に戻ってみよう。通貨危機を乗り越えて所得3万ドル時代を開いたのは財閥の役割が大きかった。電子・自動車・鉄鋼・石油化学などを中心に屈指のグローバル企業が数多く誕生し、経済を支えた。雇用誘発効果は落ちたが、これら企業が納めた税金のおかげで財政が増え、福祉を拡大することができた。

その財閥が現在、窮地に追い込まれている。2大航空会社の会長の同時退任は財閥の歴史が転換点を迎えていることを知らせる象徴的な事件だ。政府はもちろん資本市場参加者と会計法人が財閥のパワハラ経営と会計不正をこれ以上座視しないという雰囲気が形成されている。一部では、財閥が経済・社会二極化の主犯だとして事実上の解体論まで提起されている。

しかし台湾の事例と比べると、財閥は他国がうまらやしいと感じる韓国経済の資産だ。問題があれば懲戒して正せばよい。オーナーであっても経営能力が落ちて企業価値を毀損すれば市場の力で引き下ろせばよい。

もう財閥も自ら変化する時代を迎えている。納品・協力会社に対する強要をやめて共生の産業生態系を構築する必要がある。国内の小売流通と外食業・食品業、共有経済とプラットホーム事業など、中小・ベンチャー企業が活動する内需事業からは手を引くのが正しい。その代わりグローバル経営にまい進し、経済の確実な防波堤にならなければいけない。

企業も人と同じく社会的な存在だ。プラスの存在であることを絶えず認められてこそ生存できる。そうでなければ結局は捨てられる。

キム・クァンギ/経済研究所長/論説委員



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