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【コラム】サムスンが逃した天才、「これ」を持って14年ぶり訪韓(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
スマートフォンにこのチップが搭載されればどんなことが起きるのか。Clovaのような利用者音声データの手動蓄積は必要ない。利用者は普段のようにスマートフォンを利用し、充電する間にこの情報が暗号化過程を経てアップデートされた後、また個別デバイスに広められる。対話内容のような個人の私的データでなく学習された内容だけが共有されるため、中間でハッキングされても個人情報の流出や悪用を防げる。

クラウドを活用する際に発生するトラフィック急増とエネルギー消耗問題も解決できる。言い換えれば駆動速度はさらに速くなり、電力消費量は大きく減少する。個別デバイスからデータセンターにデータを遠く移動させる必要なく、端末の中のチップ(エッジTPU)の中ですべて処理されるため速度ははるかに速い。

通常データセンターのサーバーを構築するのも大きな費用がかかるが、これよりもデータが行き来する過程でかかる費用の方が大きい。ところがスマートフォンのチップ内でデータが行き来するとこうした費用は大きく減る。またデータを移動させる代わりにすぐに演算処理をするためエネルギーの消耗も減らせる。環境問題までも同時に解決できるということだ。


ヤルカス氏はこのアイデアを持って2013年にグーグルを初めて訪れた際、果たして「受け入れられるだろうか」という心配もあったと打ち明けた。よく知られているようにグーグルはこうした分散化された方式ではなく、検索に適した中央化された接近法でAIを活用する企業だからだ。ヤルカス氏は「MSでの8年間は最高に良かった」とし「ただ、AIが急浮上した時期にグーグルはAIのトップ走者であり、MSは携帯電話分野で成功できなかったのが、会社を移る決心をした理由」と語った。スマートフォンという基盤がなければAIに必要なインタラクティブ技術を進歩させるのが難しいからだ。

ヤルカス氏が今回韓国を選択した理由も似た脈絡だ。米ピュー・リサーチによると、韓国のスマートフォン保有率は95%で、2位のイスラエル(88%)とも差が大きい。このような世界最高のスマートフォン普及率を誇る韓国はオンデバイスAI研究に魅力的であるしかない。

ヤルカス氏は意外にも韓国のAI水準を高く評価した。ヤルカス氏は「私たちのチームの中にも韓国出身者がかなりいるが、みんな画期的に優れた力を発揮している」とし「韓国の研究者の論文は寄与度が非常に高い」と述べた。また「韓国はAIで遅れているどころか、面積や人口を考慮すると非常に進んでいる」と評価した。今回の短い日程の中でもKAIST(韓国科学技術院)の研究者とも接触した。

ところがこの言葉を聞いて心配が先立ったのも事実だ。逆説的にグーグルがこのような人材を多く確保したということは、我々が人材をまともに活用できていないとも考えられるからだ。



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