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【コラム】文在寅大統領だけが知らない経済危機の可能性(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅政権にとって労働改革は聖域なのか。政権誕生の産婆役といわれる全国民主労働組合総連盟(民主労総)は大統領の夕食会にも出席しないほど強気を見せている。社会的な対話機構の経済社会労働委員会への不参加を宣言し、21日にはゼネストに入る。

積弊の烙印を恐れる財界人は声を出せなくなっている。20年前の鄭世永会長は違った。1988年6月1日、労働組合のゼネストに対抗して6カ月間の工場閉鎖を宣言した。半月ほど過ぎると強硬姿勢だった労働者が動揺し始めた。ところが盧泰愚(ノ・テウ)大統領は「社会が不安定になって共産化するおそれがある」として再稼働しようとした。鄭世永会長はこの決定について労働組合に「押し通せば手に入る」という考えを抱かせると批判した。鄭世永会長は1987年から10年間に賃金が4、5倍に増え、先進国の英国より高くなったと遺憾を表した。1992年、労働組合が工場を不法占拠すると、工場に駆けつけた。鉄パイプで重武装した組合員にバリケードを片づけろと叱り、立ちはだかる組合員の覆面をはがした。激しく対抗すると思われた組合員の勢いは弱まった。ひとまず成功だった。しかし労働部次官が労働組合の幹部に会い、会社側の方針とは関係がなく一方的に交渉を妥結した。労使自律の原則を崩したのは政府だった。

鄭世永会長は創業第1世代だ。彼らは政府に言うべきことを言った。その一方で部品会社には丁寧に対応した。鄭世永会長は下請け会社という「下待」という用語をなくし、協力会社と呼んだ最初の財界人だ。今はそのような共生の包容力と決起を同時に持つ財界人が見えない。


韓国経済の規模は大きくなったが、政府の力量と責任感は改善されていない。強硬姿勢の貴族労働組合は年俸4000万ウォン(約400万円)の雇用1万件を創出しようという「光州型雇用」を拒否している。自動車産業が揺らいで成長と雇用が崩れ、新産業の動力が枯渇し、この国の経済には通貨危機の亡霊がちらついている。鄭世永会長の勇気を振り返りながら危機の兆候を警告しなければいけない現実が怖くて悲しい。

李夏慶(イ・ハギョン)/主筆



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