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<インタビュー>「北のICBM実験を防げなければ第2の朝鮮戦争」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

「トゥキディデスの罠」という言葉を作り出したグレアム・アリソン米ハーバード大教授は先月30日、「北朝鮮がICBM実験をすれば第2の韓国戦争(朝鮮戦争)が起こるだろう」と主張した。

米中間の衝突が強まるほど世界的に広く知られる用語がある。「トゥキディデスの罠(Thucydides’s trap)」だ。紀元前5世紀のギリシャの歴史家トゥキディデスは都市国家アテネが浮上してスパルタと激突したペロポネソス戦争を目撃し、このように語った。「戦争が必然的だったのは、アテネの浮上とそれによりスパルタに生じた恐れのためだった」。

真理は時間を超越する。米国の著名な政治学者グレアム・アリソン・ハーバード大教授は、過去500年間に浮上した新興勢力が従来の支配勢力を脅かした16件の歴史的事例を分析した。その結果、16件のうち12件で戦争が起きた。戦争を避けた事例はわずか4件(25%)にすぎなかったということだ。アリソン教授は新興勢力と支配勢力が衝突するリスクが大きい状況を「トゥキディデスの罠」と定義し、この用語を世界的に広めた。

「平和と繁栄のための済州(チェジュ)フォーラム」に出席するため訪韓したアリソン教授に先月30日、済州で会った。アリソン教授は「最近の米中葛藤も軍事的衝突につながる可能性が十分にある」とし「台湾と北朝鮮が導火線になる可能性が高い」と診断した。


--現在の米中貿易紛争は。

「今の状況は深い次元で進んでいる重要な力学関係の変化による症状と見るべきだ。中国の浮上で支配国家の米国と多くの分野で衝突する危険が高まった。貿易紛争もその一つだ。貿易紛争が魔術のように解決しても先端技術、その次は供給網(サプライチェーン)、海外投資などいくつかの分野に争いが広がるだろう」

--今回の米中葛藤は過去の米ソ間の冷戦とは異なるのか。

「新興勢力と支配勢力間の衝突は複雑性を帯びて、各事例が多様な形態で表れる。米国とソ連の冷戦は主に軍事安全保障分野に限られていた。しかし今回のケースは完全に違う。中国は世界経済の中枢だ。米国だけでなく欧州・日本・韓国・シンガポールなど複数の国の主要貿易相手国だ。このため米国と貿易葛藤が生じても、中国が世界経済から疎外されることはないだろう。それでもトゥキディデスの罠は米中間の基本的な力学関係として作動するのは間違いない」

--こうした貿易葛藤が軍事的な衝突につながる可能性は。

「もちろん存在する。ほとんどすべてのケースで新興勢力と支配勢力はともに戦争を望んでいなかった。それでも第3国や偶然の事件が引き金になって武力衝突が発生した。第3国の行動に新興勢力が反応し、ここに支配勢力が対応し、状況が突然悪化するケースが多かった。1914年のオーストリア皇太子暗殺事件で第1次世界大戦が勃発したのもそうだ。米中間でも台湾問題が導火線になる可能性がある。最近ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が台湾問題で声を高めている。1996年のような台湾と中国の緊張状態が米中間の衝突に発展することも考えられる。韓半島(朝鮮半島)も台湾に劣らず危険だ」

--北朝鮮も導火線になるということか。

「そうだ。現在進行中の平和的解決努力が失敗し、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験をすれば、紛争が起こるリスクが高い。この場合、トランプ米大統領は北朝鮮を攻撃すると予想される。その場合、北朝鮮がソウルを攻撃し、『第2の朝鮮戦争』が勃発することになる。こうした状況で中国は傍観できず、米中間でも軍事的衝突が起こることになるだろう」

--そのほかの可能性は。

「偶然の事故が武力衝突に発展する可能性がある。現在、南シナ海では米国と中国の軍艦の間で力比べが見られる。一方の船が避けなければ衝突するしかない。一種のチキンゲームだ。実際に2001年には海南島付近で米軍の偵察機と中国の戦闘機が衝突した事件もあった。特に相手が自分たちを嫌うということを知れば、すべての行為を敵対的挑発と解釈しがちだ。誤解は事態を悪化させる主な要因となる」

--状況を悪化させる原因はほかにもあるのか。

「国内の政治もそうだ。政治的なパワーゲームになれば、反対派は執権勢力があまりにも消極的に対応していると批判するだろう。いま米国の民主党が中国に対して強力に対応していないとトランプ大統領を批判しているのが典型的な事例だ」

--このような危険を避ける方法は。

「すべての当事者が現実を正確に認識することが最も重要だ。中国は急速に浮上し、注目を引くほどの成果を出した。ますます強大になり、米国の位置に近づいている。米国は従来の支配勢力として約70年間にわたり立派に世界秩序を維持してきた。世界はこの2つの事実をともに認めなければいけない。韓国と台湾が引き金になり得るという現実も認めるべきだ。したがって米中はともにこうした国で紛争が起きないように協力しなければいけない。不幸にも今の現実はその反対だ。双方ともに紛争をさらに悪化させている状況だ。南シナ海でも同じだ。したがって双方の誤解と感情を自制させる戦略的論理を開発する必要がある」

--具体的にどんな方法か。

「ジョン・F・ケネディ大統領と宋国の戦略から学ぶのがよい。ケネディはソ連を悪の帝国として強硬に対応した。しかし第3次世界大戦の直前まで進んだキューバミサイル危機を経験してからは考えを変えた。世の中には多様な存在が共存できると認め始めたのだ。宋は北方の遼が強大になると平和条約を締結して『競争的パートナー』関係を結んだ。ある分野では善意の競争をするものの、他方では協力する方式だ。米国と中国にはこのような知恵が必要だ」



<インタビュー>「北のICBM実験を防げなければ第2の朝鮮戦争」(2)


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