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【コラム】韓日葛藤は独断的民族主義のせい、普遍的理性が消えた(2)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
これが事実ならば、民族主義的な独断論を抜け出させるのは論理的説得や普遍的人間主義訴求力以上の措置が必要だと言える(すべての植民主義経験がそういう致命的傷を残すのではないだろう。オーストラリアの土着民政策は出生児を両親から隔離させるような特に苛酷な案を含んだ。意図は人間形成の文化的基礎から変えようということだったという)。

こうした苛酷な植民地体験に一致するものではなくても、植民地後世代の民族意識にはこれに似て単純な意識次元を超越する後成遺伝子的要因が染み込んでいるといえる。しかし普通の植民地体験または政治体験を後押しするのはもう少し意識の次元に作用する概念の力だ。韓国社会に広く広まっている考えに憤怒を培い社会正義を実現できるというものがある。こうしたすべての要素が政治の力になる。それは攻撃的な力でもあり、対抗的結束をもたらす力でもある。正常な状況で力は国だ。この力に民族が追加されれば、それはさらに強いものになる。いずれの場合でも国の権力は強力な力で、その力は人の暮らしをいろいろねじれさせる。今回見ることになった韓日対立がすぐに暮らしのさまざまな細部を変えたことからもそれを感知できる。それがやたらに人生の細部、極めて小さい次元ではそのニュアンスを変えておくという点で自由意志を抑制する力ということもできるが、人々がそういう力でも感じられることを望む。集団は個人にとって個人的実存の脆弱性を超えて行けるようにする。

いま世界で広く見られる現状のひとつは国単位の民族主義の再登場だ。トランプ米大統領の「米国第一主義」はその代表的なケースだ。欧州のさまざまな国でも民族主義政権または政党の勃興を見る。


英国が欧州連合(EU)から離脱するというブレグジットもそうした流れの少し違った表現だ。北東アジアでの強化されるものとみられる国と民族のアイデンティティもこうした流れに合わせて入っている。

◇カントは「貿易発達が平和媒介者」に注目

それを後押しするのは肯定的でも否定的でも国単位または集団的力に対する熱望だ。より大きな枠組みで統合されることによって弱くなった民族のアイデンティティを再び確認し、そこに立脚して自分たちの問題解決の力を得られると感じるものだ。韓日対立はそれなりに具体的な原因により誘発されたものだが、それを強化するのも民族主義再勃興の流れといえる(そしてそれはいつもさまざまな目的のために政治の力を強化する方便だ)。

世界化は地球をひとつにまとめる歴史的流れに見えた。しかしそれは地域の問題を解決できないという感を与える。そしてそれに対応する政治力を得られなかった。そうして階層、地域、国の利益を背負う政治力に対する要請が生まれる。

しかし、より普遍的な人間以上に対する渇望が消えることはない。そのためには地域そして世界をひとつにまとめることができる文化、理性的文化が存在しなければならない。欧州でそうした文化は歴史的発展の一部を成し遂げたものと言える。EUはそうした発展のひとつの結実だ。ただそれは最近になり一旦試練に入ったとみられる。北東アジアにそうした文化は微弱だというほかない。北東アジアに必要なものはそうした文化の樹立または共有できる理性的談話の空間だ。しかしそれは最近のできことでさらに遙遠な理想になった。

ただこうした理想とは別に、カントは貿易の発達が平和の媒介者になるという事実に注目した。今回触発された韓日不和関係でもそれが激烈な対決に突き進まないのは物質的人間的交流に相当な進展があったためというだろう。しかしより広い理性的談論空間の樹立は未来の課題として残る。そしてそれは結局は具現されてしまう実践的理想だろう。

金禹昌(キム・ウチャン)/高麗大学名誉教授



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