昨年10月末に下された韓国大法院(最高裁)の強制徴用判決で韓日関係が最悪の状態だ。日本・安倍政府は1965年韓日協定で韓国が請求権を放棄した以上、強制徴用の賠償はありえないと強弁する。日本側はこれに関連し、先月「政府間協議」を韓国に要求し、30日間の回答期間が終わる日が今月8日だった。このような動きに対して、韓国政府は無対応で一貫している。
これによって外交的協議が失敗に終わったことを受け、日本政府は翌月初めごろ、仲裁委員会にこの問題を持ち込む腹積もりだ。韓日協定は紛争が発生した場合、先に協議で解決を模索するものの、それでもうまくいかない場合には当事者国と第三国から1名ずつ任命した3人の「仲裁委員会」を構成して問題を解決するよう規定している。安倍政権は韓国大法院の判決が国際法を無視したもので、仲裁であっても国際司法裁判所(ICJ)であっても、国際社会では受け入れられないだろうと確信している。
だが、韓国はもちろん、日本の法律家の間でも正反対の意見がある。「日本は絶対に勝てない」という主張だ。このような意見を出している代表的な法律家、高木健一弁護士(74)と先月31日、ソウル光化門(クァンファムン)のホテルで会った。
--日本は負けると主張する理由は。
「何より日韓協定によって消えたのは『外交的保護権』であり、個人の損害賠償請求権は残っているという事実を日本政府が認めた例があるためだ」
--日本政府がいつ、どのように認めたのか。
「1991年8月の参議院会議で、当時外務省の柳井俊二・条約局長は『日韓協定は両国が国家として持つ外交的保護権を互いに放棄したもので、個人請求権を国内法的に消滅させたわけではない』と答弁した。私も現場にいたが、社会党の清水澄子議員に『日韓協定で個人請求権が消えたことなのか』と尋ねてほしいとメッセージで促してこのような回答を得た」
--日本政府がこのように答えた背景は。
「それ以前に、日系カナダ人が個人請求権関連紛争で日本政府を相手取って訴訟を起こした時、国家間の協定では個人請求権はなくならないという立場を公式に明らかにしたためだ」
資料を探したところ、高木弁護士が言及した日系カナダ人の事件の概要は以下の通りだった。太平洋戦争真っ只中だった1942年、カナダ政府は日系住民2万2000人余りを強制収用所に収容して財産を没収した。敵国出身の彼らが脅威になるという理由からだった。結局、日系カナダ人は戦争が終わって4年が過ぎた1949年にようやく解放される。
彼らは釈放されてから少し後に、奪われた財産を返してほしいとカナダ政府に要求した。だが、サンフランシスコ条約があるため順調にはいかず、日本政府を相手取って訴訟を起こした。日本と連合軍側45カ国と結んだこの条約は、フィリピン・インドネシアを除く多くの連合軍国家と日本の間には戦争に関連した請求権を消滅したと見なすというのが骨子だった。これに伴い、カナダ政府が日本国籍の住民から没収した財産に対しても請求権が行使できなくなった。
このような事態になり、財産を失うことになった日系カナダ住民はサンフランシスコ条約を締結したせいで請求権を行使できなくなったとして、日本政府に対して訴訟を起こした。これに対して日本政府は「条約でなくなったのは外交的保護権であって個人請求権は消滅したわけではない」とし、カナダ政府に対して訴訟を起こすよう明らかにした。韓日協定で個人請求権がなくなったという現在の立場とは正反対の主張をしたのだ。
高木弁護士は強制徴用被害者の請求権が今も有効であることを証明する別の論理も聞かせてくれた。日本が韓国人の個人請求権を認めないために別途法を作ったという。
--韓日協定でも個人請求権が今も有効だとしたら、日本裁判所はこれを認めることができたはずだが。
「そこで作られたのが日本国法律144号だ。日本政府は1965年、日本と日本人に対する韓国人の個人請求権を消滅させるという内容を骨子としたこの法を制定した。今、日本政府が主張しているように、日韓協定で個人請求権がなくなったとすれば何のためにこの法を作っただろうか。これは、協定だけでは個人請求権が消滅していないことを傍証することになる。そのため日本法律144号のような国内法が制定されなかった韓国では個人請求権が今も有効だと見るのが正しい」
最後に、高木弁護士は韓日協定に沿って日本が提供した経済的支援の性格を見るべきだと述べた。これをみると、強制徴用被害者に対する支払責任は韓国政府にあるという主張は話にならないと強調した。
「強制徴用判決、ICJ・仲裁に進んでも韓国が勝つ」(2)
これによって外交的協議が失敗に終わったことを受け、日本政府は翌月初めごろ、仲裁委員会にこの問題を持ち込む腹積もりだ。韓日協定は紛争が発生した場合、先に協議で解決を模索するものの、それでもうまくいかない場合には当事者国と第三国から1名ずつ任命した3人の「仲裁委員会」を構成して問題を解決するよう規定している。安倍政権は韓国大法院の判決が国際法を無視したもので、仲裁であっても国際司法裁判所(ICJ)であっても、国際社会では受け入れられないだろうと確信している。
だが、韓国はもちろん、日本の法律家の間でも正反対の意見がある。「日本は絶対に勝てない」という主張だ。このような意見を出している代表的な法律家、高木健一弁護士(74)と先月31日、ソウル光化門(クァンファムン)のホテルで会った。
--日本は負けると主張する理由は。
「何より日韓協定によって消えたのは『外交的保護権』であり、個人の損害賠償請求権は残っているという事実を日本政府が認めた例があるためだ」
--日本政府がいつ、どのように認めたのか。
「1991年8月の参議院会議で、当時外務省の柳井俊二・条約局長は『日韓協定は両国が国家として持つ外交的保護権を互いに放棄したもので、個人請求権を国内法的に消滅させたわけではない』と答弁した。私も現場にいたが、社会党の清水澄子議員に『日韓協定で個人請求権が消えたことなのか』と尋ねてほしいとメッセージで促してこのような回答を得た」
--日本政府がこのように答えた背景は。
「それ以前に、日系カナダ人が個人請求権関連紛争で日本政府を相手取って訴訟を起こした時、国家間の協定では個人請求権はなくならないという立場を公式に明らかにしたためだ」
資料を探したところ、高木弁護士が言及した日系カナダ人の事件の概要は以下の通りだった。太平洋戦争真っ只中だった1942年、カナダ政府は日系住民2万2000人余りを強制収用所に収容して財産を没収した。敵国出身の彼らが脅威になるという理由からだった。結局、日系カナダ人は戦争が終わって4年が過ぎた1949年にようやく解放される。
彼らは釈放されてから少し後に、奪われた財産を返してほしいとカナダ政府に要求した。だが、サンフランシスコ条約があるため順調にはいかず、日本政府を相手取って訴訟を起こした。日本と連合軍側45カ国と結んだこの条約は、フィリピン・インドネシアを除く多くの連合軍国家と日本の間には戦争に関連した請求権を消滅したと見なすというのが骨子だった。これに伴い、カナダ政府が日本国籍の住民から没収した財産に対しても請求権が行使できなくなった。
このような事態になり、財産を失うことになった日系カナダ住民はサンフランシスコ条約を締結したせいで請求権を行使できなくなったとして、日本政府に対して訴訟を起こした。これに対して日本政府は「条約でなくなったのは外交的保護権であって個人請求権は消滅したわけではない」とし、カナダ政府に対して訴訟を起こすよう明らかにした。韓日協定で個人請求権がなくなったという現在の立場とは正反対の主張をしたのだ。
高木弁護士は強制徴用被害者の請求権が今も有効であることを証明する別の論理も聞かせてくれた。日本が韓国人の個人請求権を認めないために別途法を作ったという。
--韓日協定でも個人請求権が今も有効だとしたら、日本裁判所はこれを認めることができたはずだが。
「そこで作られたのが日本国法律144号だ。日本政府は1965年、日本と日本人に対する韓国人の個人請求権を消滅させるという内容を骨子としたこの法を制定した。今、日本政府が主張しているように、日韓協定で個人請求権がなくなったとすれば何のためにこの法を作っただろうか。これは、協定だけでは個人請求権が消滅していないことを傍証することになる。そのため日本法律144号のような国内法が制定されなかった韓国では個人請求権が今も有効だと見るのが正しい」
最後に、高木弁護士は韓日協定に沿って日本が提供した経済的支援の性格を見るべきだと述べた。これをみると、強制徴用被害者に対する支払責任は韓国政府にあるという主張は話にならないと強調した。
「強制徴用判決、ICJ・仲裁に進んでも韓国が勝つ」(2)
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