悪化の一途をたどる韓日関係の出口を模索して望ましい未来像を見いだすための「韓日ビジョンフォーラム」第12回会合が26日、開かれた。韓国政府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了決定で両国関係がさらに冷え込んだ中で開かれたこの日の会合では、両国間の衝突が金融分野に広がるのではという懸念が出てきた。
発題者の尹暢賢(ユン・チャンヒョン)ソウル市立大経済学部教授(元韓国金融研究院長)は「日本発経済ショックと金融危機」をテーマに、グローバル金融ネットワークの中で日本がいかなるカードを取り出す可能性があるかを緊急診断した。続く討論では「金融の特殊性のため日本の不安が韓国の金融を脅かす引き金の役割になり得る」という警戒論と、「韓国経済の体力は過去とは異なり過度に心配する必要はない」という見方が示された。
◆尹暢賢ソウル市立大教授の発題文
金融ではリスク管理が重要となる。こうした側面で韓国の金融が直面した日本という不確実性(uncertainty)をチェックする必要がある。現在の葛藤局面は予想できずに直面する「黒い白鳥(Black Swan)」現象というより、明確に存在を直視しながら突然突進するサイをいう「灰色のサイ(Grey Rhino)」危機に注意しなければいけない時だ。なぜなら金融市場では常に「自己実現的予想」が現実化する可能性を排除できないからだ。いかなることが起こりそうだという噂によって「集団行動」が発生するということだ。
海外資本は国内に入ってくる時は階段を上るようにゆっくりと流入するが、国内状況が良くないと判断されればエレベーターに乗って下降するように一気に抜けていく。いわゆる「サドンストップ(sudden stop)」と呼ばれる海外資本の急激な流出だ。通貨危機当時にこれを経験した我々としては日本発リスクを常に考慮しなければいけない。通貨危機当時も日本の資本が先に抜けるのを見て欧州の銀行が後を追う状況だった。
日本の輸出規制措置に関連して「相互依存性の武器化(weaponization of interdependence)」の観点が言及されたりもする。お互い依存する状況にした後の不意打ちという意味だ。金融でもこれを警戒する必要がある。
対外資産と負債を比較した国際投資対照表をみると、韓国は金融構造で日本の比率が低い方だ。また、日本の銀行が韓国の優良企業からすぐに資金を回収する可能性も低いとみられる。政府が「日本発リスクを心配しなくてもよいほど」と主張する根拠だ。しかし輸出減少など経済状況が悪化して対応能力が落ちる状況で見れば心配になるしかない。GSOMIA破棄で実際に日本系資金が離脱する現象が発生すれば、第三者に影響を与える可能性は排除できない。自己実現的な予想もサドンストップの犠牲になる可能性が依然として存在するという点で、強硬一辺倒の対応はさらに大きな災いを招くことになる。
崔光海(チェ・グァンヘ)ウリィ金融経営研究所代表=通貨危機当時とは違い、今は国内に外貨が多い。ソウル江南(カンナム)の富裕層が持つ外貨やドルだけでも相当な規模だという冗談もあるほどだ。日本に対する純負債は韓国全体の対外純資産の10分の1程度だ。極端な場合を仮定して日本が資金をすべて回収しても、我々の外貨準備高で解決できる水準だ。日本との金融問題で危機を迎える可能性は低いと見る。今回の事態が日本を克服する良い契機になる可能性もある。現政権の所得主導成長・革新成長・公正経済政策のうち今までは所得主導成長ばかりが強調されたが、対日従属を克服するための部品・素材国産化イシューと重なって自然に革新成長が強調される環境が生じている。
金東煥(キム・ドンファン)韓国金融研究院副院長=日本からの借入金はかつて銀行間取引が大半だったが、最近は企業が日本の銀行から直接借りる形態に変わっている。今回の事態が発生した後、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が急いで訪日して日本3大金融グループの会長に会ったのもそのためとみられる。海外進出した韓国大企業が日本の資金を多く活用したため、今後は融資がふさがるのではと考えて心配する部分がある。そうだとしても韓日金融葛藤の可能性は高くないとみる。通貨危機当時、日本の資金流出がトリガー(引き金)の役割をしたが、今は日本の影響力は過去に比べて低い。日本は「日本円の国際化」のためにも我々との金融協力が必要だ。
金広斗(キム・グァンドゥ)国家未来研究院長=中小企業が設備・装備輸入に関連して金融問題が発生すれば、輸入が円滑に進むか心配だ。これに関連した実態調査が必要だ。
尹暢賢ソウル市立大教授=企業が日本の機械を導入する際、日本金融機関のリースを通じて輸入する場合が多い。部品・素材だけでなくこうした設備・装備も重要だ。一つでも問題が発生すれば工場が停止することもある。
<危機の韓日関係、連続診断12>日本発金融危機の可能性は高くないが安心も禁物(2)
発題者の尹暢賢(ユン・チャンヒョン)ソウル市立大経済学部教授(元韓国金融研究院長)は「日本発経済ショックと金融危機」をテーマに、グローバル金融ネットワークの中で日本がいかなるカードを取り出す可能性があるかを緊急診断した。続く討論では「金融の特殊性のため日本の不安が韓国の金融を脅かす引き金の役割になり得る」という警戒論と、「韓国経済の体力は過去とは異なり過度に心配する必要はない」という見方が示された。
◆尹暢賢ソウル市立大教授の発題文
金融ではリスク管理が重要となる。こうした側面で韓国の金融が直面した日本という不確実性(uncertainty)をチェックする必要がある。現在の葛藤局面は予想できずに直面する「黒い白鳥(Black Swan)」現象というより、明確に存在を直視しながら突然突進するサイをいう「灰色のサイ(Grey Rhino)」危機に注意しなければいけない時だ。なぜなら金融市場では常に「自己実現的予想」が現実化する可能性を排除できないからだ。いかなることが起こりそうだという噂によって「集団行動」が発生するということだ。
海外資本は国内に入ってくる時は階段を上るようにゆっくりと流入するが、国内状況が良くないと判断されればエレベーターに乗って下降するように一気に抜けていく。いわゆる「サドンストップ(sudden stop)」と呼ばれる海外資本の急激な流出だ。通貨危機当時にこれを経験した我々としては日本発リスクを常に考慮しなければいけない。通貨危機当時も日本の資本が先に抜けるのを見て欧州の銀行が後を追う状況だった。
日本の輸出規制措置に関連して「相互依存性の武器化(weaponization of interdependence)」の観点が言及されたりもする。お互い依存する状況にした後の不意打ちという意味だ。金融でもこれを警戒する必要がある。
対外資産と負債を比較した国際投資対照表をみると、韓国は金融構造で日本の比率が低い方だ。また、日本の銀行が韓国の優良企業からすぐに資金を回収する可能性も低いとみられる。政府が「日本発リスクを心配しなくてもよいほど」と主張する根拠だ。しかし輸出減少など経済状況が悪化して対応能力が落ちる状況で見れば心配になるしかない。GSOMIA破棄で実際に日本系資金が離脱する現象が発生すれば、第三者に影響を与える可能性は排除できない。自己実現的な予想もサドンストップの犠牲になる可能性が依然として存在するという点で、強硬一辺倒の対応はさらに大きな災いを招くことになる。
崔光海(チェ・グァンヘ)ウリィ金融経営研究所代表=通貨危機当時とは違い、今は国内に外貨が多い。ソウル江南(カンナム)の富裕層が持つ外貨やドルだけでも相当な規模だという冗談もあるほどだ。日本に対する純負債は韓国全体の対外純資産の10分の1程度だ。極端な場合を仮定して日本が資金をすべて回収しても、我々の外貨準備高で解決できる水準だ。日本との金融問題で危機を迎える可能性は低いと見る。今回の事態が日本を克服する良い契機になる可能性もある。現政権の所得主導成長・革新成長・公正経済政策のうち今までは所得主導成長ばかりが強調されたが、対日従属を克服するための部品・素材国産化イシューと重なって自然に革新成長が強調される環境が生じている。
金東煥(キム・ドンファン)韓国金融研究院副院長=日本からの借入金はかつて銀行間取引が大半だったが、最近は企業が日本の銀行から直接借りる形態に変わっている。今回の事態が発生した後、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が急いで訪日して日本3大金融グループの会長に会ったのもそのためとみられる。海外進出した韓国大企業が日本の資金を多く活用したため、今後は融資がふさがるのではと考えて心配する部分がある。そうだとしても韓日金融葛藤の可能性は高くないとみる。通貨危機当時、日本の資金流出がトリガー(引き金)の役割をしたが、今は日本の影響力は過去に比べて低い。日本は「日本円の国際化」のためにも我々との金融協力が必要だ。
金広斗(キム・グァンドゥ)国家未来研究院長=中小企業が設備・装備輸入に関連して金融問題が発生すれば、輸入が円滑に進むか心配だ。これに関連した実態調査が必要だ。
尹暢賢ソウル市立大教授=企業が日本の機械を導入する際、日本金融機関のリースを通じて輸入する場合が多い。部品・素材だけでなくこうした設備・装備も重要だ。一つでも問題が発生すれば工場が停止することもある。
<危機の韓日関係、連続診断12>日本発金融危機の可能性は高くないが安心も禁物(2)
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