「可能性」と「危機」。

財界会長らが挙げた新年の経営方針だ。現代自動車グループの鄭義宣（チョン・ウィソン）会長は「可能性」に注目した。彼は「今年は『可能性を顧客の日常』として実現する年にする」という新年メッセージを３日に社員らに伝えた。この日の鄭会長のメッセージは現代自動車グループが構築したメタバースプラットホームを通じて伝えられた。メタバースは現実世界のような社会・経済・文化活動が営まれる３次元仮想世界だ。

ロッテの辛東彬（シン・ドンビン、重光昭夫）会長と新世界の鄭溶鎮（チョン・ヨンジン）副会長は新年の辞でカナダの有名アイスホッケー選手であるウェイン・グレツキーの言葉「打たないシュートは、１００％外れる」を引用して実践の重要性を強調した。辛会長はこの日「失敗から教訓を見つけて挑戦し続けるならば新たな機会をつかむ可能性が高くなるだろう」とし、鄭副会長は「われわれの目標は第２のウォルマート、第２のアマゾンではなく、第１の新世界」として完璧なデジタル企業への変身を注文した。


ハンファの金升淵（キム・スンヨン）会長も新年の辞を通じ「風が激しいほど弓を強く引かなければならない。過ぎた時間に証明された危機克服能力と跳躍の本能を信じ、１００年企業ハンファの新たな歴史をともに作り出そう」と強調した。

ＣＪグループの孫京植（ソン・ギョンシク）会長は今年を「冷厳な現実を厳重に認識しＣＪの大変革を始めなければならない時」と規定した。彼は成功企業に進むための方法論として▽デジタル転換加速化▽果敢な研究開発投資と先端技術確保▽オープンイノベーション強化――などを挙げた。この日グループ会長に就任したＬＳの具滋殷（ク・ジャウン）会長は既存の主力事業だけでなく未来新事業とのシナジーも最大化する二刀流経営を強調した。

ＫＢ金融・新韓・ハナ・ウリィ・ＮＨ農協の５大金融グループ会長は今年の新年の辞を通じてデジタル化とＥＳＧ（環境・社会・ガバナンス）経営などを主要目標に挙げた。昨年過去最大の実績を出したが、５大金融持ち株会社の危機感はいつになく大きかった。昨年末に証券市場に上場されたカカオペイとカカオバンクなどビッグテック金融企業の時価総額が既存の金融会社を上回るなど変化の兆候がすでに表面化したためだ。参考で昨年末の終値基準で時価総額はカカオペイが２３兆１４０億ウォン、カカオバンクが２８兆３４０億ウォンといずれも業界１位であるＫＢ金融の２２兆８６９０億ウォンを超えた。

解決法は少しずつ異なる。ＫＢ金融の尹鍾圭（ユン・ジョンギュ）会長はこの日「ＫＢよりインターネット専門銀行が市場で高い評価を受けている。家計向け融資で成長制限が予想されるだけに、企業金融とキャピタルマーケット領域にさらに力を集めて成長活路を模索していこう」とした。

新韓金融のチョ・ヨンビョン会長は迅速なデジタルプラットホーム転換を強調した。彼は「系列会社のデジタルプラットホーム全般を、正しく、早く、他と違うように運営し、ビッグテックとプラットホーム企業との競争で堂々と先を進もう」と話した。ハナ金融の金正泰（キム・ジョンテ）会長は「市場はわれわれを規模だけ大きい恐竜とみており、恐竜は結局絶滅した。原点からわれわれの力を改めて設計し、全社的な協力を基に金融の境界を超えなければならない」とした。ウリィ金融の孫泰升（ソン・テスン）会長はデジタル基盤の総合金融グループ完成を目標に提示した。孫会長は「ウリィ金融グループが全社員の力を集め思い切り大きな海に進めばもっと大きな機会が開かれるだろう」と話した。ＮＨ農協の孫秉煥（ソン・ビョンファン）会長は「多様な事業モデル許容と業務範囲が拡大し、マイデータ時代とともに総合金融プラットホーム競争が本格化するだろう」と予想した。