２６日、盧泰愚（ノ・テウ）元大統領死去に対し、文在寅（ムン・ジェイン）大統領は別途の哀悼メッセージを出さなかった。青瓦台（チョンワデ、大統領府）核心関係者は「盧元大統領に対する国家葬の実施と文大統領の礼遇方式が連動する部分がある」とし「礼遇に対する判断が下されるまで大統領のメッセージをひとまず保留することにした」と伝えた。

まだ決定していない葬儀方式などに関連し、文大統領がどのような判断を下すのかに対しても関心が集まっている。盧元大統領は国家葬が可能な対象だ。だが、無条件で国家葬を行うわけではない。全海チョル（チョン・ヘチョル）行政安全部長官が遺族の思いを考慮し、文大統領に国家葬を推薦すれば国務会議審議を経て文大統領が決める。２７日に国務会議が予定されているが、決定はそれよりも遅れる可能性もある。国民世論を考慮した政務的判断があるものとみられる。

どこに安置されるかも関心事だ。軍事反乱などの容疑で１９９７年に懲役１７年刑を宣告された盧元大統領の国立顕忠院の埋葬は不可能だ。遺族は声明を通じて「葬儀の手続きは政府と協議中であり、埋葬地は故人が在任中に作った統一トンサンがある京畿道坡州（キョンギド・パジュ）にすることを協議中」と明らかにした。


政界は哀悼の意を表わしたが、故人の生涯に対する与野党の評価は交錯した。与党「共に民主党」の李龍彬（イ・ヨンビン）報道官は「謹んで故人の冥福を祈る」としつつも「盧元大統領は１２・１２軍事クーデター（粛軍クーデター）の主役であり、５・１８民主化運動強制鎮圧（光州事件）に加担した歴史の罪人」と論評した。ただし「北方政策と南北基本合意書の採択などは評価できるだろう」とした。李在明（イ・ジェミョン）民主党大統領選候補はフェイスブックのコメントを通じて「盧元大統領は現代史に光と陰の両方を残した。故人の子女が５・１８英霊に何回もお詫びして参拝したことは評価される」としながら「故人の冥福を祈る」とした。李候補は２７日午後、葬儀室（ソウル大学病院葬儀場）に弔問に訪れる計画だ。

野党「国民の力」の許垠娥（ホ・ウナ）首席報道官は「故人の永眠を祈る」としながら「故人は南北同時国連加入、南北基本合意書採択、北方外交などの成果も収めた。だが、１２・１２軍事クーデター、５・１８民主化運動民間人虐殺介入などの過ちはいかなる理由でも覆うことはできない」と論評した。国民の力の大統領予備選候補の尹錫悦（ユン・ソクヨル）前検察総長は「北方政策や、冷戦終わりごろに我が国の外交の地平を開いてくれたことは意味ある成果だった」と評価し、洪準杓（ホン・ジュンピョ）議員は「最もうまくやった政策は北方政策と犯罪との戦争だった」と述べた。

正義党大統領選候補である沈相ジョン（シム・サンジョン）議員は「全斗煥（チョン・ドゥファン）と共に軍事クーデターを主導した大きな汚点がある方でも、最後の別れの道である以上、礼節を守りたいと思う。故人の冥福を祈る」とした。

全斗煥元大統領は訃告を聞いて沈黙の中で涙を流したという。全元大統領側の関係者は電話取材に対して「死去の知らせを聞いて何も言わずに涙だけを浮かべたと李順子（イ・スンジャ）夫人が伝えた」と話した。

法的には故人の婿であるＳＫグループ会長兼大韓商工会議所会長の崔泰源（チェ・テウォン）氏は当初早ければ２７日に米国出張に向かう予定だったが、日程をややずらして礼を尽くすのではないかというのが財界の見方だ。

盧元大統領死去のニュースに中国外交部の趙立堅報道官は「盧泰愚先生は早くから韓中修交を追求し、両国関係発展に重要な貢献をした」とし「中国は盧泰愚先生の死去に深い哀悼を表する」と追慕した。主要外信も盧元大統領死亡を速報として流した。ブルームバーグ通信は「故人は任期初年度の１９８８年にソウル五輪を開催して韓国を国際舞台に広く知らしめ、在任期間に韓国の１人当たり国内総生産（ＧＤＰ）は倍に上がった」と評した。