中国は現在人口の４０％以上が新型コロナウイルスワクチンを１回以上接種した。１日平均ワクチン接種回数も２０００万回以上で世界１位だ。だが国境は依然として封鎖されており、中国国内の移動制限も容易には解けずにいる。先月１３日にワクチン接種率３５．８％の時点でマスク着用と社会的距離確保指針を緩和した米国とは対照的だ。中国はなぜ封鎖を解かないのか。

ブルームバーグは２日、中国が高いワクチン接種率にも国境閉鎖を維持するなど防疫の手綱を緩めていないと現地の雰囲気を伝えた。

ブルームバーグによると、中国は最近ワクチン接種を力強く押し進めている。当局が現金によるインセンティブまで掲げて速度戦を広げた結果、９日間で１億回、さらに５日間で２億回を接種した。ブルームバーグによると現在中国の新型コロナウイルスワクチン累積接種回数は６億８１００回を超えた。


感染者数も２桁を維持している。中国国家衛生健康委員会の３日の発表によると、前日の新規感染者は２４人で、市中感染が１５人、海外流入が９人だった。死亡者数も０人で、１３カ月間に新型コロナウイルスによる死亡者数は１人にとどまった。

だが中国は依然として緊張を緩めずにいる。特に先月２６日に中国南部広東省で２件の感染事例が出てから１日２０人前後の感染者が発生すると防疫はさらに強化された。

１５３０万人の広東省の人口に比べ少ない数だが当局は広東省広州などに外出禁止令を出し厳格な統制に出た。先月３０日からは広州白雲国際空港から出発する数百便の航空便の運航を中止した。広州市民は新型コロナウイルス陰性であることを証明するグリーンパスがなければ市外に出ることはできない。

中国で「ＳＡＲＳの英雄」と呼ばれる中国工程院の鐘南山院士も「広東省の拡散を抑制するためにさらに速く、さらに厳格で、さらに正確な措置を採択しなければならない。人口移動と会合を減らし、できるだけ速く新型コロナウイルス検査を増やさなければならない」と述べた。

ブルームバーグは「昨年新型コロナウイルス初の事例発生地だった湖北省武漢ほど厳格な統制がされている。香港などアジア地域がワクチン接種開始後に一部制限を解除し始めたのとは異なる歩み」と評価した。

その上で、中国が高いワクチン接種率にも封鎖解除に出られないのは中国製ワクチンの効果に対する確信が不足しているせいでもあるだろうとの観測も出した。

実際にシノファーム製ワクチンに依存しているインド洋の島国セーシェルも５月初めまで世界で最も高いワクチン接種率を見せていたが、最近接種完了者の感染事例が３７％に迫り、中国製ワクチンの効果に疑問が提起されたとブルームバーグは伝えた。

また、地域間の接種不均衡も原因に挙げられた。首都北京の接種率は８０％を超えるなど大都市住民の半分以上が接種を終えたが、周辺地域は接種率が１０％にも満たない。特に地域間移動や海外入国者が出入りする海沿いと国境地域の接種率も低く安心できない状況という。

現在中国は新型コロナウイルス感染事例が発生した地域では高位公務員を解雇するなど感染事例に重大な責任を追及している。ブルームバーグは「昨年防疫成功で経済成長を遂げたという強い自負心が新型コロナウイルス感染事例を容認しないという『非寛容原則』につながった」と分析した。

その上で「世界で新型コロナウイルス死亡者数が最も多い米国もこの病気を風土病と認識して制限を解除している。ワクチン接種開始とともに日常復帰に向かう世界的な流れから外れる場合、中国製ワクチンに対する不信を育て孤立を自ら招きかねない」と指摘した。