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法隆寺の火災では金堂壁画失う…世界の文化遺産被害事例



20世紀に入って大きく注目された文化財消失事件として1949年1月26日、日本奈良県所在の千年の古刹法隆寺金堂の火災がある。解体修理工事中に起きた火災によって金堂の壁画(写真中央)が一瞬にして消えた。翌年7月2日には京都の鹿苑寺内の舎利殿(金閣、写真上)が全焼した。日本列島に衝撃が走ったこの火災の原因は20代の修行僧の放火だと明らかになった。現在の金閣寺は55年に復元されたものだ。続いた文化財消失に日本政府は「文化財保護法」を制定、法隆寺火災が起きた1月26日を“文化財防火デー”として宣布した。

同じような事例として、米国アトランタで起きた“マーガレット・ミッチェルハウス火災事件”がある。マーガレット・ミッチェルハウスは映画『風と共に去りぬ』の原作小説を書いた作家マーガレット・ミッチェル(1900~49)の書斎だ。94年、放火で一部棄損したこの書斎は96年、再び発生した火災で骨組みだけ残して消失。アトランタ五輪をひと月後に控えて起こった事件だった。


ユネスコ世界文化遺産であるドイツアンナ・アマリア(Anna Amalia)図書館(写真下)の火災も有名だ。1543年に発行されたルターの聖書、フムボルト研究著書など85万余冊の貴重な書籍が所蔵されていただけではなく、16世紀に建設されたことで建物そのものが文化財に指定されたこの図書館に2004年9月3日、原因不明の火災が発生した。ルターの聖書などは幸いにも災いを免れたが、建物とともに5万余冊の本が燃えて消えた。火災の直後に始まった復旧作業が3年たった昨年11月に終わったが、本来の姿を完全に取り戻すことはできなかった。

2007年8月、ギリシアで発生した山火事は古代オリンピア遺跡を脅かした。ギリシア国土の半分を燃やして50億ユーロという莫大な被害を出した歴史上最高の山火事だと記録される。一時スタジオン(古代競技場)まで火が及んだが、消防用ヘリコプターと軍隊の兵力を総動員した鎮火作業により無事守り抜くことができた。2004年のアテネ五輪を迎え、ギリシア政府がスプリンクラーなど火災防止装置を大幅に改善したことも被害を減らすのに役立ったという。



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