韓国の「半導体労働者の健康と人権を守る会」(パノルリム)、「健康な労働世の中」などの市民団体は2024年12月、仁川(インチョン)のある半導体企業前で記者会見を開き、高校生の実習生として働いていた際に肝移植手術を受けた20代の青年について、労災認定を求めた。[写真 パノルリム]
4日、韓国法曹界によると、ソウル行政裁判所は20代男性のAさんが勤労福祉公団を相手取り起こした療養不承認処分取り消し訴訟で、最近、原告の請求を棄却した。
Aさんは2020年から高校生の実習生として仁川(インチョン)にある半導体企業に入社し、1年2カ月間勤務した。はんだペーストの塗布やステンシルの洗浄などの作業を担当していたところ、吐き気や鼻血が止まらない症状が現れた。その後、急性肝炎を伴う毒性肝疾患や再生不良性貧血などと診断され、病状が悪化して2022年には肝移植手術を受けた。
Aさん側は、イソプロピルアルコール(IPA)・スズ・銅・エチレングリコールなど作業場で扱っていた有害化学物質に複合的に曝露したことで肝疾患を発症したとして、労災を申請した。これをめぐり「パノルリム」などの市民団体は労災認定を求める嘆願活動を行った。しかし、勤労福祉公団は有害物質が法定の曝露基準を超えていないことなどを理由に労災を認めず、Aさん側は行政訴訟を起こした。
Aさん側は裁判で、作業環境測定では実際の作業過程で生じ得る一時的な高濃度曝露や皮膚接触などが十分に反映されていないと主張した。しかし、裁判所はこうした主張を受け入れなかった。
裁判所は判決に先立ち、「産業災害補償保険法上、業務と災害との因果関係は必ずしも医学的・自然科学的に明確に証明されなければならないものではないが、労働者の健康状態、基礎疾患の有無、業務の性質および勤務環境などの間接事実によって因果関係を推認できる程度には証明されなければならない」との前提を示した。
裁判所は「Aさんが勤務していた2021年に実施された特殊健康診断では、肝機能および血液学的な異常は確認されなかった」とし、「はんだペースト・フラックスの塗布やアセトンを使ったステンシル洗浄作業を比較的頻繁に行い、化学物質への曝露がより多かった時期(入社初期)には特に異常所見はなかった」とした。また「客観的に確認される(化学物質の)曝露量は全般的に低く、発症時期との間に業務上の化学物質曝露との関連性を積極的に裏付ける事情は確認されない」と判断した。
裁判所はその一方で、Aさんが症状が本格的に現れる約6~7週間前に新型コロナワクチンの2回目の接種を受けていた事実に注目した。裁判所は「前述した化学物質への曝露経過と比較すると、ワクチン接種は本件疾病の発症時期と時間的により近接している」とし、「鑑定医もワクチン接種と症状発現との時間的関係などを考慮すると、ワクチンに関連した免疫性肝障害の可能性を完全に排除することは難しいとの意見を示した」とした。続けて「こうした医学的所見に照らすと、本件疾病の発症はむしろワクチン接種と関連したもので、業務外の免疫学的要因が関与した可能性を排除するのは難しい」と判決理由を明らかにした。
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