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記憶力がよみがえった…韓国の研究チーム、アルツハイマー病の悪循環を断つ「核心スイッチ」発見

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

今回の研究を行った基礎科学研究院(IBS)血管研究団のイ・セヨン主任研究員(左)とチョン・ウォンソク副研究団長 [写真 IBS]

韓国の研究チームがアルツハイマー病の症状を悪化させる核心的な原因を突き止めた。原因となる因子を調節することで、病気の連鎖反応を一度に防げる新しい治療法の開発に青信号がついた。

科学技術情報通信部は27日、基礎科学研究院(IBS)血管研究団の副研究団長を務めるチョン・ウォンソク氏の研究チームが、アルツハイマー病の初期段階で脳の神経回路を破壊する核心因子「ERBB4」タンパク質を解明した、と発表した。


アルツハイマー病は記憶力や認知機能が低下する代表的な神経変性疾患。これまで学界では、脳に毒性タンパク質「アミロイドβ」が蓄積すると脳の免疫細胞が過剰に活性化し、神経細胞同士の接続部位(シナプス)を除去することで病気が悪化すると考えられてきた。アミロイドを除去する治療薬も開発されたが、改善効果は限定的だった。病気の進行過程でほかの病理症状が複雑に絡み合い、アミロイドを除去しても脳の損傷を促進する悪循環が続いたからだ。


研究チームは、アルツハイマー病の初期段階で、細胞に栄養を供給して損傷した細胞を除去するグリア細胞が、興奮性神経細胞と抑制性神経細胞のシナプスのうち、特に興奮性神経細胞のシナプスだけを過剰に除去していることに注目した。詳しく調べたところ、本来は抑制性神経細胞に存在するはずの受容体タンパク質「ERBB4」が、興奮性神経細胞で異常に増加していた。興奮性神経細胞は新たな信号を受け取って記憶を形成する役割を担う。グリア細胞は、増加したERBB4によって過剰に活性化した興奮性神経細胞のシナプスを除去し、抑制性神経細胞のシナプスはそれより少なく除去することで、神経回路のバランスを崩していた。この過程でアミロイドは脳にさらに多く蓄積した。

◆アルツハイマー悪化させる真犯人

研究チームは遺伝子編集技術を使い、アルツハイマー病のマウスの興奮性神経細胞からERBB4を除去する実験を行った。その結果、過剰に活性化していた神経細胞の集団が安定を取り戻し、シナプスの損傷と脳の炎症が収まった。脳に蓄積していたアミロイドの毒性物質の量と面積も50%以上減少し、マウスの記憶力と空間認知能力が大幅に改善した。

反対に、正常なマウスの神経細胞でERBB4タンパク質を人為的に増加させると、アルツハイマー病に似た症状が表れた。実際、アルツハイマー病患者446人の脳データを分析した結果でも、ERBB4タンパク質が多いほど病気の進行が深刻になり、認知機能の低下が顕著になることが分かった。ERBB4の変化が単にアルツハイマー病に伴って起きる現象ではなく、複数の病理が連鎖的に進行するのを促進する核心的な調節因子であることを確認したのだ。

◆次世代治療薬の道は開かれるのか

今回の研究は、毒性物質の蓄積や炎症などアルツハイマー病のさまざまな症状を個別に扱ってきた従来の方法とは異なり、病気を悪化させる上位原因を突き止め、複数の症状を同時に抑えることができる治療への道筋を示したという点で大きな意味がある。研究論文は国際学術誌「ネイチャー」に27日午前0時に掲載された。チョン・ウォンソク副研究団長は「病気の悪循環の核心的な連鎖を標的とすることで、複雑で多様な病理を同時に緩和する新たな治療戦略の開拓に寄与するだろう」と話した。

ただ、実際の新薬開発につなげるためには解決すべき課題も残っている。ERBB4は正常な脳細胞の機能を維持するためにも必要な物質だからだ。KAIST脳認知科学科のキム・デス教授は「ERBB4全身抑止は危険であり、脳細胞の種類を選別して標的とする技術を組み合わせる必要があるという課題が残っている」とし「記憶を担う興奮性ニューロンだけでERBB4を正確に抑制できれば、認知症を早期に防ぐ道が開かれる可能性がある」と述べた。



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