ドナルド・トランプ米大統領(左)と習近平中国国家主席
また、「台湾独立と台湾海峡の平和は、水と火のように相容れない(水火不容)」とも述べた。台湾独立問題が台湾有事の導火線であることをうかがわせる発言だ。しかし問題は、何をもって台湾独立とみなすのかについて、米国・中国・台湾それぞれの考え方が異なる点にある。台湾の頼清徳総統は、台湾と中国が互いに従属しない状態こそが台湾独立だと述べる。
トランプ大統領は、台湾が新たな国家樹立を宣言するような、法理上の独立を追求することだと考えている。しかし中国は違う。中国が台湾に対して主権を有することを受け入れないこと、すなわち中国との統一を拒否すること自体が台湾独立だという立場だ。現在、台湾で独立を望む人は約20%であり、現状維持を支持する人は60%を超える。変化を望まない人が多数派なのだ。
結局、台湾で事態が起きるとすれば、忍耐の限界に達した中国が積極的に統一へ向けた行動に乗り出すことで発生する可能性が高い。そのような日が来るのだろうか。もちろん容易ではない。米国が介入する可能性もあり、中国軍指導部が汚職粛清によって混乱しているなど、悪材料も少なくない。しかし油断は禁物だ。台湾は「灰色のサイ」だ。見過ごされがちな巨大なリスクという意味だ。特に、台湾問題の解決が習主席の政権運営の正統性と結び付いている点などを考慮すれば、何が起きても不思議ではない。
率直に言って、ウクライナ戦争やイラン戦争を事前に正確に予測した人がいただろうか。「まさか」あるいは「大したことは起きないだろう」といった安易な考えは捨てた方がよい。いつでも起こり得るリスクであるという認識の下、国も企業も事前に万全を期しておくことが最善策だ。
何事も「備えあれば憂いなし」と言うではないか。
ユ・サンチョル/中国研究所長/チャイナラボ代表
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