米国とイランの武力衝突が長期化し原油価格が急騰するとみられる中で、京畿道城南市の大韓送油管公社ソウル支社周辺をタンクローリーが行き来している。[写真 聯合ニュース]
国際原油価格の基準点の役割をするブレント原油は7日、英ロンドンICE先物取引所で8.5%上昇の1バレル=92.69ドルで取引された。ロシアとウクライナの戦争勃発により国際原油価格が急騰した2022年3月以降で1日最大上昇幅だ。中東の緊張の高まりで供給支障の懸念が大きくなり国際原油価格が高騰した。実際にこの日アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ石油公社とクウェート国営石油会社(KPC)は緊張状況に対応し原油生産を予防的に減らすと明らかにした。
韓国の石油製品価格も上がっている。韓国石油公社の原油価格情報によると、8日午後現在でソウルのガソリンスタンドでのガソリン平均価格は1945.73ウォン、軽油は1967.19ウォンと2000ウォン水準に近付いている。
先月に韓国銀行が今年2%の経済成長率を予想したときに基準として仮定したブレント原油平均価格は1バレル=62~64ドルだった。国際原油価格がこれより大きく高い水準で動き今年の経済成長率2%達成の可否も不透明になった。原油価格上昇は運送・生産コストを引き上げ、消費など経済全般に悪影響を及ぼすためだ。現代経済研究院も国際原油価格が年平均100ドルを超える場合、韓国の経済成長率が0.3ポイント、150ドルを超える場合には0.8ポイント下落するものと予想した。
ここに米国の雇用鈍化のシグナルまで重なった。米労働省労働統計局は6日、先月の非農業雇用が1カ月前より9万2000人減少したと明らかにした。専門家見通しの5万9000人増加を大きく下回った。ロイター通信は「雇用鈍化と原油価格上昇が同時に現れスタグフレーションの懸念が大きくなっている」と診断した。
高麗(コリョ)大学経済学科のキム・ジニル教授は「米国で議論される4~6週間以内の戦争終了シナリオが現実化されないならば今年の韓国の成長率も2%以下に下がる可能性がある。原油価格上昇が長期化すれば1970年代のようなスタグフレーションのリスクが拡大しかねない」と指摘した。
物価安定を最優先課題に掲げた政策を展開してきた韓国政府には大きな悪材料だ。李在明(イ・ジェミョン)大統領は5日の閣議で「危機状況を悪用した不当な価格引き上げ行為に対し制裁案があるか点検せよ」と指示した。韓国政府は30年以上施行されたことのない石油製品最高価格指定制カードも持ち出した。産業通商部の金正官(キム・ジョングァン)長官は8日、「(指定制施行に必要な)準備をほとんど終えた。市場の状況をもう少し見守って対応する計画」と話した。
石油価格が大きく騰落する際に政府が最高額を決めることができる根拠は石油事業法第23条に規定されている。だがこの措置は1997年に原油価格が自由化されてから施行されたことがない。淑明(スンミョン)女子大学消費者経済学科のチェ・チョル教授は「仮に(最高額指定で)石油会社が損失を出すことになり供給を減らせば品薄が起きるかもしれない」と話す。価格統制により石油元売りやガソリンスタンドが負う損失を政府が補填できるという条項も法律にあり、莫大な財政負担として返ってくるリスクもある。
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